↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

我々の目的と計画について

 さて、我々の目的と計画についてもう少し補足しておく。


 何でアネットに金を借りたのか、という所にもリンクする話だ。


 この今の俺、メイル・ファームは既出の通り序盤の弱ボスだ。


 もう少し詳しく解説すると、俺の立ち位置は共通ルートの必須ボスだ。

 

 このゲームは複数主人公からの選択式。


 だが、どの主人公のシナリオにも俺は登場し倒される事になる。


 これは強制。運命。しかも序盤で。


 このディルフィング・サーガ、シナリオやイベントの自由度は超高い。


 何も考えずにやってたら、毎回どこかしら違ったプレイ体験になるだろう。

 

 だからこそ何周でもできる。好きな奴は本当にハマりにハマって抜け出せなくなる。


 けど、それでも強制イベントって言うのはあるからな。


 だから数々のRTAや実況、縛りプレイにおいて、メイルはその数だけ倒されて来たってわけ。


 俺だって俺を何回倒したか分からない。


 必須イベントだからこそ、俺をどう処理するかが腕の見せ所にもなる。


 最速撃破で、プレイタイムの短縮を目指すもよし。


 逆に可能な限り倒すのを後ろに引っ張るのもよし。


 後の方が俺のレベルが少し上がって技が増えて、新技をカウンターした方が処理早いとかあるからな。


 主人公とランダム技の組み合わせによるけど。

 

 強くなったのに戦闘時間は短くされて、哀れな俺だ。


 まあ、そのルート初めに開拓したの俺だけど。


 これでもガチRTA勢だったし、世界最高齢のRTA記録を持ってる。


 え? うん。日本人の俺はジジイだったよ?


 つい先日、ばーさんや子供や孫達に看取られて大往生した。


 そんな俺の晩年の青春がこのゲームだったわけだ。


 で、メイルの事に話を戻す。


 俺は序盤必須ボス。それはいいでしょう。


 そんなの嫌だから逃げてやれ――とは思えない。


 何故かと言うと、このゲームはダークファンタジー要素も強く、ゲーム内の時間が経過すればするほど世界は崩壊して行き、被害規模も拡大してしまうから。


 要は時間が過ぎれば過ぎる程に人が死ぬ。


 何の被害対策イベントもやらずに時間を進め過ぎれば、世界崩壊エンドが待ってる。  


 ――俺が逃げたら、世界はそっちに流れかねない。


 俺はそれを良しと出来ない。


 つい先日まで気づかなかったように、この世界はそこで生きていればリアル以外の何物でもないから。


 アネットだって、領地の住民達だって、生きた人間にしか思えない。


 彼等を守り、被害を最小に食い止めるには――


 それこそ、必須シナリオを最短でエンディングまで駆け抜けるRTAだ。


 多分、それが一番早いと思います。


 そのためには、俺は逃げてはいけない。攻略チャートが乱れる。


 現実世界で言うと、自分が死ななきゃ日本が崩壊する、ってなった時に受け入れられるかって話だ。


 受け入れられないって人も多いと思う。それはそれで間違いじゃない。


 でも俺は――もう既に一回、人生大往生してるんだよな。

 

 自分のためにはもう生きた。


 思い残す事はない。



 だからこの余生、世のため人のために生きてみたっていい。



 俺の晩年の青春、愛するこの世界のために――体張ってやろうじゃないか!


 ただし、何の工夫も無くシナリオ上倒される時を待つのも芸がない。


 ここにちょっとしたスパイスを加えれば、RTA史上最速タイムも可能だと俺は思うのだ。


 で、そのスパイスとは――俺のレベルをあらかじめ異常なまでに上げまくっておく事、だ。


 敵とのレベル差があればある程、取得経験値は増す。


 主人公が俺を倒した瞬間、一気にクリア可能レベルにまで引き上がり、そのままノンストップでラスボスを倒してクリア!


 そうなれば世界的な被害は最小。必須ボスではないアネットが倒される必要も無くなる。


 これだ。これを狙う。


 メイルとしての俺のプレイで攻略チャートを大幅短縮できる、唯一の手だと思う。


 というわけで世界をスピード攻略に導くために、今日からレベルを上げまくるぞ!



 ただし、ステが上がり過ぎると主人公が俺を倒せなくなる。



 レベルを上げつつ、ステは上げない。超高レベル超低ステという謎ビルドを目指すのだ。


 侯爵家の恥部、悪徳貴族メイルとしての社会的評価も維持しつつ、な!


 そのための軍資金が、アネットから借りた金だ。

  

  ◆◇◆


 と言うわけで、俺は地元の街の道具屋に来ている。


「どうも。これ、全部もらえる?」


 カウンターには、紫の液体が入ったビンがぎっしり並んでいる。

 

 やはり毒だよな、毒。


 大物食い(ジャイアントキリング)と言えば、だ。


 俺、メイルは大物食い(ジャイアントキリング)の才能は割とあると思っていい。


 出来るなら、初めからガツンと行くべし。


 今後の長いレベル上げのルーティンを早く確立するためにも、だ。


「あ、あの……メイル様、こんなに大量の毒を何にお使いに……?」


 店主の親父はかなり怯えた様子だ。


 まあ、俺メイルと言えば地元では札付きのワル、悪徳貴族だ。


 下手すれば、犯罪の片棒を担がされることにもなりかねない。


 不安がるのも無理はないだろう。


 先日は自領内で勝手に税金徴収して悪さしてたしな。


 アネットのほうの領地ではやってないが、こっちではガチでやらかしている。



「まあそうだな、世界平和のため、かな?」


「せ、世界平和ですか?」

 

 これを使ってレベル上げをする⇒レベルの上がった俺を主人公が倒す⇒俺の経験値で超レベルアップした主人公がラスボスを倒す⇒世界平和。


 こういうチャートだから間違っちゃいない。


「そう。だから――この通り、決して悪いようには使わないから売ってくれ。頼む」


 俺は店主に向かって頭を下げた。


「メ、メイル様……」


 店主が驚きと共に、少しほっとしたように俺を見た。


 侯爵家の札付きと思っていたが、意外と素直な所もある?


 そんな心の声が聞こえてきそうだ。


 ……いかんいかん。


「これでも断った場合、お前と家族の身の安全は保障しない」


「ひいっ!? わ、分かりました……!」


 どうしようもない悪徳貴族という社会的立場の遵守も重要だ。


 攻略チャートの乱れに繋がるからな。

 

 というわけで準備は出来た。


 アネットから借りた金は全部毒に化けたぞ。


 じゃあ早速、実践行ってみよう!


ここまで読んで下さりありがとうございます!


『面白かったor面白そう』

『応援してやろう』

『続きよろしく!』


などと思われた方は、ぜひ積極的にブックマークや下の評価欄(☆が並んでいる所)からの評価をお願い致します。


皆さんに少しずつ取って頂いた手間が、作者にとって、とても大きな励みになります!


ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。