【第5話】美味しい飯屋と幼馴染
魔族の国にも酒場はある。
魔族は酒場で仕事の疲れを癒し、飯を食い、騒ぎ……夜はいつも祭りのようだ。
そんな酒場の一つ、場所は南区『転んだリスの紅茶亭』から歩いて5分ほどの場所。
メリアがたまによくいく『毒キノコの尻尾亭』と言う名の酒場兼飯どころがあった。
「……で、アメリはまた王様に求愛されたわけか~いやー、お前も罪な女だ事」
「ボクは男だ!それと……アメリっていうのやめろっ!」
『毒キノコの尻尾亭』の四人掛けのテーブル席に二人で座っていたメリアは、目の前に座っているニヤニヤと笑っている眼帯を付けた、ポニテ金髪赤目の魔族の少女を睨んだ。
「良いじゃねえか、アメリでも。可愛いし」
そう言った彼女の名は、イザベル。角の生えたいたって普通の魔族種の少女であり、メリアと同い年の腐れ縁……俗にいう、幼馴染と言うような関係の少女であった。
「可愛いのが問題なんだっ!いつもボク言ってるだろ!メリアって呼べって!」
そう言ってメリアはぷんぷんと腕を組む。
「変わらねえだろ」
「変わるよっ!」
「どう変わるんだよ」
「アメリはほら、女の子の名前っぽいじゃん?それに比べてメリアって……メリア………」
そう言って少しの間固まったメリアは、「えーと」と唸りながら、しばらく考えた。
「兎に角ッ!アメリはやめろ!」
「理由思いつかなかったんだな、よしよし……」
「ふへぇ……って、子ども扱い辞めろー!」
そう言って手をどかしたメリアは、むふーと頬を膨らませた。
「良いじゃねえかー私の方が背が高いんだし」
「背が高いって言っても、1cm……って、そもそもその1cmも角の長さであって、頭の位置はボクの方が高いじゃないか!」
「ふ、それでも、私の方が高いのには変わらないんだよ、少年」
「ぐ、ぐぬぬ……こ、こにょぉ……」
「フッ」とドヤ顔で嗤うイザベルを見て、メリアはわなわなと手を動かした。
「……お前らどっちも背が低いじゃねえか」
「ドングリの背比べ……って奴ですよね」
そう声をかけてきたのはメリアたちの一回り以上大きな、二人の魔族だった。
一人は、豚が二足歩行しているようなごつい容姿の魔族。
もう一人はスラっと細長い、トカゲのような、蛇のような魔族だった。
「待たせたな、いやー仕事が長引いちまってよ」
「嘘をつきなさい、公園でいびきかいて寝てたのは何処のどいつですか」
「あーえーっと、お前?」
「貴方ですよっ!まったく」
そう言うとトカゲのような魔族は、やれやれと頭を抱えた。
彼らもまた、メリアの幼馴染だ。
豚のような彼は、ゴウケツ。
トカゲのような彼は、レオリオと言った。
「とりあえず、さっさと飲もうぜ。おーい!こっちにビール二本くれ!」
「はあ、そうですね……あ、食事も……そうですね。二人はもう何か食べました?」
そう言うとレオリオはチラリとメリアとイザベルの二人を見た。
「サラダ系をちょこっとね。お酒もまだ一杯くらいしか飲んでないかな」
そう言うと、五分の一まで減ったビールをメリアは見せた。
「ならがっつり行きましょうか……すみません、パエリアと肉串を五……10本ください」
「あ、ついでに私たちの酒も無くなりかけてるし、追加でビール二本くれー!」
こうして四人そろった食事会は騒がしくもゆるりと始まっていくのだった。




