【第4話】貴族社会と変態魔王
「……そういや、昨日はなんか貴族の嬢ちゃんに絡まれたんだって?」
床の掃除をしながら、テディはメリアにそう話を振った。
「ん、あーそうだねー」
「災難だったな……とは言わねえぞ?だってこの国の貴族はどいつもこいつもプライド高いやつが多いし、北は貴族の家が多い場所だからな。それが分からんお前でもないだろう?だから、わざわざ行くお前が悪い」
「ひどい良い分だなぁ……事実ではあるけど」
テディは手を止め、メリアを見た。
「それにしても、不思議なんだが……なんでこの国の貴族共は庶民を見下すんだ?別に王様はそういう考え方はしないどころか、国民に対してもフランクに接してるだろ?」
「そうだねー王様はまあ、うん……国民に対して優しいよね~……変態だけど」
そう、メリアがうんざりしたように言った時だった。
突然店の扉がバーンと開き、一人の男が入ってきた。
「変態とは失礼な!私のは愛だ!とりあえず結婚してくれ!」
「いや、変態でしょ……毎回会うたび結婚を申し込むのはさ」
そう言って「はぁ……」とため息をついたメリアは、目の前に立っているこの国の王 ライル・グラファイトに対して冷たい目を向けた。
彼は、宝石魔と呼ばれる種族の魔族であり、黒い角ばった黒曜石のように輝く、一見すると人型のゴーレムという風な見た目をしていた。
そんな彼はいつも豪華絢爛な如何にもな王、魔王という服を着ているのだが、今においては……見る人が見ればいい物でわかるが、一見するとそうは見えない、旅人の着るようなラフな服にフード付きのマントを着ていた。
「変態ではない!せめて変質者と呼んでくれ!」
「むしろ悪化してるだろうが」
そう思わずテディが突っ込んだ。
「それで、今日は一体全体何をしに来られたんですかねぇ?」
「何って、分かり切っておるだろう?結婚……」
「そうですね、分かり切ってますね。答えはNOです。お引き取りください」
「せめて最後まで言わせて……」
「さっき言ってただろうが」
そう言って膝から崩れ落ちるライルにテディはまたまたツッコミを入れた。
「あのねぇ、大体からして……ボクは男でお前も男だろ?」
「関係ない!愛に性別は関係ないと、えらい人が言ってたからな!」
「どこの誰だよ……」
「私だ!」
「お前かよ!」
「確かに偉い人ではあるな」
そう言ってテディは納得し、手をポンと叩いた。
「……っていうか、あと、ボクは平民だぞ!仮に、仮にも性別の所が解決したとしても血筋にうるさい貴族連中とかが……」
「何言ってるお前は。大体お前は平民平民言ってるが、住んでる場所が平民街なだけで、十分蓄えを持ってるし、何より黒き森の魔女様の子だろう?これ以上ない血筋の持ち主はいないだろうに」
「養子だしっ」
「養子だろうと、魔女様の子であるというだけで貴族は黙らせられるのだ」
そう言ってライルは胸を張って言った。
「あとさ、僕人間……」
「それがどうというのだ、人間だから問題あるという人間がいたら、黙らせる!」
「どうやって?」
「力で」
「脳筋ダっ!」
そう言ってライルはぐっとサムズアップして見せた。
「あとはお前の気持ちだけ……だから問題などないぞ」
「いや、あの、えっと、それと……えっと……そもそもとして、ボクが問題大ありなんだよおおおおお!!」
キラリと歯を見せて笑うライルを前に、メリアは頭を抱えるのだった。




