【第二話】コーヒー好きの珈琲中毒
突然だが、ボクはコーヒーが好きだ。
毎日三食+起きて寝る前二杯。
最低五杯は確実に飲んでいる。
僕の一日はコーヒーで始まり。コーヒーで終わる。
だというのに。
「……これは一体……どういう事かなテディ。何でだろ、コーヒー豆が僕の目には空に見えるんだけど、これ夢だよね。そうだよ、夢だ、夢じゃなきゃおかしいもん。まだボクは夢の中にいるんだ……」
「いや、現実だぞ。しっかりしろ」
そう言ってテディはぽむぽむと死んだ目をしたメリアの頬を柔らかい手で叩く
「……駄目だ、うんともすんともいわねぇ」
が、死んだ目をしながらブツブツと永遠に主人を前に、テディは「やれやれだぜ」とため息をつくとキッチンの棚へと頭を突っ込んだ。
「よし、こうなりゃ粗治療だ。まったく、くまったもんだぜ」
すぽんと頭を抜いたテディの手に握られていたのは、フライパンだ。
このフライパンをどう使うか。テディは屈伸を一度すると、一気に飛び跳ねた!
「あ~さ~だぞっ!おっきろー!」
思いっきりフルスイングしたフライパンはメリアの頭を直撃!
思わずメリアはよろめき、その場に倒れ込んだのだった。
「っ……いったぁ……ちょっと!テディ何するのさ!」
「何って、フライパンでぶん殴っただけだが?」
「そうだけどっ、そうだけどそうじゃなくてっ!」
「ああ、何で殴ったかってことか。そりゃ単純な話だ。壊れた物は叩けば治る”」
「壊れた物を叩いたら壊れるだけだよっ!!」
そう言って思い切り叫ぶメリア。
そんなメリアに、テディはあっけらかんと言う。
「何言ってんだ。壊れた物を叩いたら治っただろ」
「どれがっ!」
「それ」
テディの指さした先をなぞってメリアもまた指をさす……
「ボク?」
「そう」
「……ボク?」
「YES」
「………ボク?」
「お前が壊れてたんだよ。全く……」
フライパンを片付けてるテディを見ながら、メリアは「うーん、そうだったかぁ」と腕を組んで頷いていた。
コーヒーが切れたらいつもメリアはこうなる。
だから、テディにとってもなれた物だ。
少しでも認識すればこうなるんだから、言動には細心の注意を払わないといけないな。
珈琲なくなっただけでこうなるんだから……重度の中毒患者ってのはコレだからめんどくせぇ。
「……ところで、今日の朝ご飯はハチミツたっぷり塗った昨日の残りのミートパイでいいか?」
「……ミートパイだけでいいよ」
「そうかぁ? ハチミツはたっぷり塗ったほうがおいしいしそっちの方がいいと思うんだが……ん?」
そう言ってテディはキッチンのハチミツの壺を手に取って、ぞっとした。
やけに軽い。
何故こんなにも軽いのか。
「まさか………いや、そんな馬鹿なことあるわけが…………」
そう言って中を見ると、そこには一切合切何も入っていなかった。
虚無。
闇。
「あぁ……ハチミツがない、この世の終わりだぁ……」
そう言って、その場に膝から崩れ落ちるテディ。
「……あ、壊れた………やれやれ」
ハチミツが無くなったくらいで、大げさだなぁ……
全く、これだから重度の中毒者ってのはめんどくさいなぁ。
「えっと~何処にフライパン片付けてたっけぇ~?」
フライパンを探しながらメリアは心底そう思ったのだった。




