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「外道」スキルって何? 可愛い彼女とキャッキャ、ウフフしたいだけなのに、世界征服するんですよねと言われて困惑してます  作者: ちくわ天。


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第2話 影道くんの選択

「影道くん、昼休みに屋上にきてください。花山」


 下駄箱の上履きの中に可愛い紙のメッセージが入っていた。



 罠だ。



 でも花山さんだから、もしかしたら本当かもしれない。


 そのメッセージを握りしめながら俺は必死に考える。今まで、このパターンで3回馬鹿にされてる。絶対に行くなと本能が告げている。でも、昨日読んだラノベのスイート展開が俺の判断を鈍らせる。


 花山さんは緊張しないで話せる唯一の女の子だ。何か相談があるのかもしれない。最悪、花山さんだって脅されてるかもしれない。そんなことを考えながら屋上の階段を音も立てずに上がっていく。大きく息を吸ってドアをガチャリと開けると眩しい光が差し込んできた。



 現実はラノベなんかじゃなかった。



 ずらっと並んだ5人の男と3人の女。全員、見覚えがある。花山さんは……いなかった。


「おいおい。影道~。まさか花山さんが告白するって思っちゃった?」


 思ってねえよ。


「うっわあ。キンモ~。影道の癖に生意気」


 人をのび太みたいに言うな。心がドンドン冷えていくのが分かる。


「花山は、もう彼氏いんだよ。残念でしたあ」


 ネイルをデコった女が馬鹿にしたように片目をつぶってくる。いやあ、バカっぽい話し方だなあ。思わずクスリと笑った俺を、こいつらは見逃さなかった。


「何笑ってんだあ、影道!!!」


 グーで俺の頬を殴りつけてきた。これは本気だな。後ろを羽交い締めにされたまま、サンドバッグのように叩かれた。筋肉の効果も薄いようでメチャクチャ痛え。


 みぞおちを蹴られて、さすがに崩れ落ちてしまった。その瞬間、後ろの男たちが前に突き飛ばす。スリッパのようになった上履きで女たちが踏みつけてきた。


「影道、いいことを教えてあげる。花山も笑いながら、このゲームに参加してくれたんだからね」


 まさかと思いながら完全に否定できない。花山さんだって、こいつらから詰められたら断れない。ま、どうでもいいことだけど。しばらく蹴ったり叩かれたりしながら、俺は空を見上げていた。


 空はあんなに綺麗なのになあ。


「ね、ねえ。もう、やばいんじゃね?」


 デコネイルの女が気味悪そうに話す。10分ほど蹴られたり、叩かれたりした俺が動かないからだ。そりゃ、動けねえよ。


「な、なあ。もう止めね? こいつ、動かなくなったんだけど……」


 男たちも気まずそうに話し始める。さすがに殺したらシャレにならないと分かるようだ。けれどリーダー格の男は更に激昂した。頭のねじが外れてしまったらしい。


「ビビってんじゃねえ。こいつがうぜえから悪いんだよ!!」


 さらに激しく俺を蹴り上げる。周囲の仲間たちは、やめろと言いながら逃げていく始末だ。俺は口から血を流すものの、手で拭うことすらできない。


 ボクっという大きく鈍い音を聞いた瞬間、俺は意識を失ってしまった。



 §



 気がつくと、俺は真っ暗な道にぽつんと一人で立っていた。


(もしかして、死んだ?)


 あいつ、思い切り蹴りやがって……。


 周囲を見渡すと、半径5mほどの半円の穴がずっと先まで続いている。前はぼんやり明るくて、後ろは、


 犬? いやワニ?


 大きく口を開けた4本足の黒い動物が俺に迫ってくる。俺は猫は好きだが犬は大嫌いだ! しかも大口を開けるなんて犬じゃなくてオオカミっぽい! その上、口から火を吐き出してる。


 その瞬間、俺は全力でダッシュした。


「グワッ!」


 ダッシュする俺のすぐ後ろに、その化け物がいる! しかも、時々、口を開けて噛みついてくる。怖すぎる! もう、逃げるしかない!


 ハアハアと俺の息だけが響く洞窟を300mは走ったろうか?


 前方に小さな明かりが見えてきた。


 大きく安堵のため息をつき、その明かり目がけて猛ダッシュだ。犬っぽいものはいつの間にか姿を消していた。進んだ先に大広間があって部屋が3つに仕切られている。


 右の部屋には女神みたいに綺麗な女の人がいた。ひらひらの白のドレスがまぶしいぜ。


 中の部屋には右より若い少女がいて、幼い顔立ちだけど、やっぱり神々しい感じがするぜ。服は中世ヨーロッパの神官みたいな感じで綺麗なブルーだ。


 左の部屋は……中年の見た目がヤバイ白スーツの男性。場違い感が著しいぜ。


 ということで、俺は右の綺麗な女の人の部屋に一直線に進んでいった。男なら、ラノベ好きなら、この選択は納得してくれると思う。もしかしたら、これからその女神的な人と何かが起こるかもしれない……って、コミュ障の俺には無理か。


 などと思っていたのに、全く予想していなかったことが起きてしまったのだ。

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