オヤジの殺害
3人の出身である施設光が岡園には今も問題を抱えている子もいる。悪い連中に付き合って、巻き込まれることも。そしてある日事件が起きてしまった。
3人の活躍で、全てが順風満帆のようだった。出身の施設の光が岡園も有名になり、本橋や直子がたまにテレビのインタビューにでることもあった。3人にあこがれて中学や高校で陸上部に入る子どももいた。噂ではこの活躍ぶりを朝の連続テレビ小説になるのではないかと言われるほどたった。
しかし、いろいろな環境から来た子どもたちのいる園は、いつもうまくはいくはずがなかった。ある少年が高校を中退し、半グレの連中とつき合うようになっていた。
圭二「兄貴ぃ」
「おめぇも豊玉連合に入りたかったら、もっとやれや」
「は、はい」
「気合が足りねぇんだよ」
「服全部脱いで今から川でも泳げや」
「そっ、それは勘弁してください」
「うるせぇ」
溺れた圭二は救急車で運ばれ、なんとか一命を取り留めた。
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本橋「もう、あの連中から離れろ。死ぬぞ」
圭二「うっせぇよ。そうしたくても、できねんだよ!」
本橋「俺がなんとか言ってやろうか?」
圭二「あいつら、何しでかすかわかんねぇし、ヤクザともつながっているから」
ある日、またしても川で裸にされて泳がされそうになっていた。サッとスマホを取って、LINEで石神井川にいると本橋に助けを求めた。
本橋「ちょっと行ってくる。圭二があぶない」
直子「大丈夫?警察に言ったほうがいいんじゃない?」
本橋「話してみて、説得できないようなら、そうするよ」
直子「気をつけて。何かあったらすぐ連絡してくださいね」
本橋が着くと、既に圭二は裸で川を泳がされていた。圭二は泳げない為、泣きながらおぼれていた。
本橋「大丈夫か、圭二」
本橋が川から助けて引き上げた。
「なんてことするんだ。殺す気か」
「はぁ?おめぇ誰だ?」
「この子の保護者だ」
「何言ってんだぁ?保護者はいねぇって言ってたぞ!」
「8歳の時から預かっている。誰がなんと言おうと保護者だ!」
「バカか。本人はいねぇ。誰も自分をわかってくれる人がいねぇって、俺らの弟子になりてぇってきたんだぜ。帰れやオッサン!」
「真冬に水位の高い川を泳げないヤツに泳がすなんで殺人未遂だぞ。お前は成人してるだろ?刑務所にいきたいのか?」
「んだと、コラ、年少には散々世話になってんだよ、二度と行くか!」
「今度は年少じゃすまない。下手したら死刑だぞ」
「はぁ、殺されてぇのか、テメェー!」
「圭二逃げろ!、俺が相手する」
5人がかりで本橋に襲い掛かった。1人は金属バッドで頭を殴打し、本橋は大量に出血し、気を失った。
圭二は泣きながら必死で逃げて、近所の人間に警察を呼んでもらうように頼んだ。5分後警察が来たときには、連中は車で逃げ、血まみれで倒れている本橋だけがいた。
「本橋さん、本橋さん!」
すぐに救急車が来て本橋を運んだ。直子と他の職員2名も病院にかけつけた。
医師「....残念ですが。頭蓋骨骨折、出血多量で...]
直子「うそでしょ。そんなのあるわけない。さっきまで笑ってた本橋さんが」
圭二「ごめんなさい。オレのせいで。本当にごめんなさい」
職員「悪いのは不良たちよ。あなたじゃないわ」
翌日、本橋死去に知らせは3人にも伝わった。
「.....信じられない」
「絶対ウソ、嫌だ、信じない」
「私も」
「本橋さんは私たちのお父さんなんだから、死ぬはずない」
3人は5日後、本橋の告別式に参列した。
そして優しかった本橋の変わり果てた姿を見て、泣き出した。
「許せない、絶対に許せない!」
「犯人を捕まえて、懲らしめてやる!」
式が終わり、直子が話しかけてきた。
「本橋さんはあなたたちの話をするときはいつも笑顔だったわ。どうしても問題を起こす子もいたけど、いつかオリンピックに出たら、観に行くのが楽しみってね。オリンピックじゃなかったけど、アジア大会に日本代表として出て目の前で日本新を出したのを観れて、本当に幸せそうだったわ。30年以上子どもたちを世話してきたご褒美だって言ってたの」
3人は再び泣き出した。
「絶対にオリンピックにでます」
「直子さん、本橋さんも連れていきましょう!」
「そうね。頼むわね」
本橋を殺害した半グレ集団は、事件の3か月後に全員逮捕。主犯格の男は懲役13年の刑が課された。残忍な殺人事件としてテレビでも連日報道された。
つづく
◎登場人物
中川さくら/さくちん 158cm あねご
桜井 陽菜/はるはる 175cm 物静かな美人
田原七海/みーなな 166cm 知恵袋
本橋 光が岡園施設長
直子 光が岡園職員
ショックを受けた3人はどうやって立ち直っていくのか。




