実母との再会
本橋の死後、さくらは勇気を出して実母に連絡する。圭子は健在だったが。
本橋の殺害でしばらくは意気消沈して憔悴しきっていた三人だが、ほどなく練習を再開した。社会人となり、所属先はニッチハウスで、それぞれが寮を出て、部屋を借りて一人暮らしを始めていた。仲は変わらず良かったが、将来のことも考えて自立しようと、それぞれが部屋を借り、近所ではないところに位していた。
さくらはあることを考えていた。
以前電話がかかってきたが、保留にしていた実母圭子との再会を。
本橋が突然の死を迎えたことに、母と会えるうちにあったほうがいいと思うようになっていた。
ある日、さくらは思い切って圭子に電話した。
「もしもし?」
「はい?、あっ、さくらかい?」
「はい、さくらです。圭子さんですか?」
「はい。やっと電話をかけてくれたんだね。ありがとう」
「ええ、遅くなってすみませんでした」
「いいのよ、悪いのはこっちだからね」
後日、二人は都内の割高な喫茶店で会った。
「こんにちは」
「こんにちは、さくら..さん..こんなに大きくなって」
圭子はさくらの顔を見るなり、泣き出してしまった。
「圭子さん。泣かないで。私も泣きたくなっちゃいます」
「そうね。ごめんなさいね」
相変わらず、圭子は生活保護での暮らしで、あまりテレビも観ずに過ごしているので、さくらの陸上の活躍を知らなかった。
「そう、大学で頑張って、日本代表でメダルを獲るなんて、本当に頑張ったんだね。すごいわ」
「これからです。オリンピックでメダルを獲りたいんです。あと保育士の資格も取りました。自分を育ててくれた児童養護施設で働くのが夢なんです。今は練習の合間に少しだけお手伝いもしています」
「まぁ、なんて優しい子なのかしら。施設に預けたのは本当に申し訳なかったけど、よい職員さんに恵まれたのね」
「はい。一生忘れられない人たちでした。でも、この前施設長が不良グループに殺されました」
「えっ?そうなの」
「なので、いつどうなるかわからないから、早く圭子さんにも会っておこうと思って」
「そうだったのね。私、何も知らなくて、何もしてあげられなくて、ごめんなさい、ごめんなさい」
圭子は泣き崩れた。他の客も気にしだした。店員も心配になり声をかけてきた。
「でもね、私頑張ります。オリンピックにも出て、児童養護でも働く夢を叶えるから」
「頑張ってね」
この後、さくらは圭子とは2,3か月に1度は外食をしたりして会うようになった。長く離れていた母子が和解して、関係が修復されたのだった。
つづく
◎登場人物
中川さくら/さくちん 158cm あねご肌
桜井 陽菜/はるはる 175cm 物静かな美人
田原七海/みーなな 166cm 知恵袋
ショックから立ち直った3人は徐々にオリンピックを目指して本格的なトレーニングを再開していく。




