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11バッハ バハムートちゃん第2回トップ会談とパフェの平和

 第2回・精獣(元)トップクラス会談が開幕された───場所はいつものカフェである。 

 バハムートちゃんの強い要望でここに決まったのだが、もちろんお目当てはイチゴパフェである。

 それにしても、バハムートにイフリートにフェンリル、精獣界オールスター揃い踏みである。本来ならばこの3体が揃えば、ここの大陸は1週間ももたずに壊滅される事だろう───もちろん魔道士がいない事が前提であるが。 カフェ内では店長がサイフォンでコーヒーを淹れているいい匂いがしてきて、穏やかな時間が流れている。 本来の姿でなくてよかったよかった。 

───嵐の前の静けさでなければいいのだが。


 会談の席は前回とは違う窓際のテーブルである。前の場所は忌々しい記憶に触れるのでバハムートちゃんが断固拒否した。 配置はテーブルを挟む様にして、向かい合う様にバハムートちゃんとイフリート、フェンリルはバハムートちゃんの隣を死守して絶えず彼女に笑顔を振りまいていた───その2人を面白くなさそうにイフリートが憮然と眺めていた。

「旦那ズルいっすよ! 何で夜フェンリルと寝てるんすか!」

「ふむ? 仕方ないであろう、あの部屋にはベッドが2つしかないからな。 魔道士が1つ、お主がソファーを占拠しておるのだから消去法として我のところしかあるまい」

 わかっていても面白くない。 寝起きに2人が抱き合う様に寝てる姿を見せ付けられてしまっては、心穏やかではいられなかった。

「あ、そうだ!旦那がソファーで寝てオレとフェンリルが一緒ってのは─────」

 名案閃いた!と言わんばかりに提案したら、フェンリルにこの世のものとは思えない顔で睨まれた。

──おっかし〜なぁ、オレこいつの事大っ嫌いだった筈なのにな───そういや話し方も変わったってのにあんま違和感ないし、好みとかそういうのもこっちの姿に依存したりするのか?

───この時、ほんの少しだけ真理に近付けていた事にイフリートは気づいてなかった。

「それにしてもお主、この姿の我を見てよくわかったな」

「それはもう、バハムート様の事でしたら────」

「待つのだ!」

 そう言ってシ───とする。フェンリルも慌てて口元を両手でおさえる。

「ここでは我はバッハちゃんで通っておる。お主もその様に呼ぶといい」

「バッハ……様。 バッハ様! なんて素敵な……。 世を偲ぶ仮の姿ですね、わかりました。 わたくしの事もフェンリーとお呼びください!」

「じゃあオレもフリートって─────」

 てめえには聞いてねえよ!って言わんばかりに睨まれた。 こいつその姿でもオレの事嫌いって事なのかな……とちょっとだけ凹んだ。 一方、お主ら一字ないだけではないか、どこいった───バハムートちゃんはそっと心で突っ込んだ。

「むぅ……、遅いのう……」

 目に見えてバハムートちゃんはしょんぼりしてきた。 イチゴパフェがまだ来ないのである。

「確かに遅いですね、店長さんも見当たらないし……わたくし見てきます」

 そう言ってフェンリルは厨房の方に足を運ぶ。

「あの、スミマセン─────」

 厨房に入ってくと店長達と厨房には似つかわしくない風貌の男が2人いた。服には返り血であろう血痕がついている。 一瞬で事態を把握した。

「オヤオヤ、これはこれは可愛らしいお嬢さん、いらっしゃい」

 奥の男が穢く両手を広げそう言う。手には拳銃をもっている。 こいつがボスか──と表情を変えず判断した。 ボスの横で店長と店員が猿轡かまされ両手足拘束されていた。入り口にもう1人、手にはナイフを持っている。さっきっからずっとフェンリルに厭らしく舐め回すかの様な視線を向けてきてる───そちらには視線を向けない様にした。うっかり殺したくなるからだ。 1人の時ならそれでもいいが、バハムートちゃんがご所望しているイチゴパフェの妨げになってはいけない。 迅速に事態を収束するため、冷静に冷徹にこの場を支配し出した─────

「オレらさ──この近くで強盗してきたんだけど、ちと腹が減ってさ〜〜ここに来たって訳。 警備隊に気づかれるまでに済ませたかったんだけど、お嬢ちゃん運悪かったね〜〜〜」

 隣のナイフ男が聞いてもいないのにヘラヘラ話しかけてくる。 この臓物め───とフェンリルは嫌悪した。 戦場で人を切り刻むとどうしても内臓とかが飛び出す。フェンリルはそれが醜悪で大っ嫌いだった。 喉元はいい──醜いものを巻き散らかさず、特に血飛沫は美しいモノであった。

「ああ、もうたまんねぇ、いいだろボス! こんないい女、2度と会えるかわからないぜ……」

 そう言ってフェンリルの胸に手を伸ばしてくる。 ボスもニヤニヤと舌舐めずりしている。

──まぁいい、暫く触らせてやれば隙もでるだろう──どうせこの身体は仮初のものだ、どうということはない。

「あ──ダメダメ、それオレのだから」

 軽い調子でその場の空気を壊し、触れる直前の手をイフリートが捻じ上げる。 フェンリルは密かに驚愕していた───気配がなかったからだ。 自分が支配していた筈のエリアではあり得ない事である。 だがそれも刹那の時間である。

「───なんだテメエ………?!」

 隙ができた、瞬時にイフリートと目配せする───あらゆる事態に何で対応するかは既に想定済みである。 拳銃を向けられるよりも疾くシンクのところにあるスキレットをボスの顔目掛けて投げる。鼻にクリティカルヒットして堪らずに骨折してるであろう鼻血の出ているそこをおさえる───その間にボスの懐に潜り込み、一連の動作でみぞおちに飛び膝蹴りから喉を突き、デカイ図体が前のめりになったところを首元に手刀を叩き込んで意識を狩る。 その華麗な動きに店長達は目を白黒させている。 フッと笑ってイフリートの方に目をやると、既にナイフ野郎は白目を向いてる。 右肩の関節がはずされていた。悲鳴がなかったということは気絶した後でやられたのであろう。 胸を触ろうとした手はもちろん右手であった。ニカっと手をヒラヒラさせて笑うイフリートにやれやれと返すと、店長達の拘束を解く。

「───あ、ありがとうございます……あ、あなた方は……」

「これで調理できますね。 イチゴパフェ至急お願いいたします」

 フェンリルは上品にニッコリと笑った。

「なぁなぁ、オレらコンビネーションバッチリじゃね? もう付き合っちゃおうよ♪」

「死ね」

 そう言いあいながら厨房からでていった。 その後連絡を受けた警備隊がやってきて強盗は連行された。

 騒がしいな、何かあったのかのう?とバハムートちゃんは煩がったが、お目当てのイチゴパフェが来てどうでもよくなった。


───こうして、バハムートちゃんの預かり知らぬ所で、イチゴパフェとカフェの穏やかな時間は護られたのであった。 

 ちなみにイチゴパフェは店長からのサービスで特大になっており、バハムートちゃんは大層ご満悦であった。


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