episode9 第6収容所襲撃計画
夕方になるとヒナ達買出しメンバーが帰ってきた。買ってきたものを広げてイエローに説明している。
「火薬と、いざって時の煙球も少し。あと鎖帷子…こんなものね。急いで火薬を詰めれば今夜、間に合いそうじゃない?でもびっくりしちゃった。このビラ。セイラはどう?」
「ありがとう。はじめはちょっと不安そうだったが、よく分かってないのか普通だな。今はウィンに懐いてついて回ってるよ。」
「あら、意外〜。そういうの不得意そうなのにね。」
「へへ…意外とな。あの二人結構いい感じだぜ。あと、家宅捜索が入る可能性があるから武器らしきものは地下水路に隠した。そのときにダイがチルドレンに襲われて怪我しちまってな。ちょっとみてやってくれ。」
「チルドレン?地下水路にまで?!」
「ああ、とりあえずダイ、寝室にいるから。そのあとは店番頼む。お前が一番いいだろう。」
「忙しいわね。了解。」
「ピック、火薬大目に買ってきたわよ!よろしくね!」
「りょ〜かーい。」
ヒナはダイの手当てをしに寝室へ向かう。イエローがすっとやってきて、火薬を加工しているピックを覗いた。
「さてと、ピック、どのくらいできた?」
「ん〜まぁ、十分じゃないけどある程度は…。ウィンとセイラが手伝ってくれてるから早いよ。」
「ん。まあこんなもんだろ。シースを呼んでくる。今夜決行だ。食堂に来てくれ。」
「ウィン、ピック、シース、セイラ。予定よりは少し早いが、今夜第6収容所襲撃計画、決行しようと思う。外はセイラ捜索で帝国兵がうろうろしているが・・・この騒ぎに便乗したいと思ってな。フィークに兵が集中してる。デッドパークもいつもより手薄なはずだ。それで・・・、ダイがちょっと怪我しちまっているから、代わりにセイラに参加してもらう。セイラもこの計画表を良く見てくれ。」
シースがびっくりしている。
「・・・大丈夫なのか?」
「ピックやダイが言うにはかなり出来るらしいが・・・何せ記憶がないからな。フォローはよろしく頼む。」
「了解。」
「デッドパークまではどうやって?」
「東から列車が出ている。夜を待って出発だ。問題は・・・セイラなんだよな。そこで、これをつけてくれ。」
「・・・カツラ?」
イエローが黒髪のカツラをセイラに手渡す。
「頭につけるんだよ。ほら。」
セイラの頭にカツラを乗せる・・・まあ簡単なやりかただが、金髪、金の目の女を捜してるんならカモフラージュにはなるだろう・・な。黒髪になった全然イメージが変わった。
俺達は夕食をとりながら夜を待つことにした。俺達襲撃メンバー以外にも緊張感が漂う。、当然か・・・。もし、このアジトが暴かれて検挙されればここにいる誰もがただでは済まない・・・。いつものがやがやした空気が嘘みたいだ。
「さて、出るぞ。手投げ弾と煙幕、武器、ちゃんと持ったか?」
「イエロー。みんな。」
ヒナが店から降りてくる・・・。
「ヒナ、店番は?」
「今ちょっとだけ他の子に頼んできたわ。・・・気をつけて。」
「・・・あまり、心配するなよ。大丈夫だって。」
「みんなも、気をつけて・・・。無事に・・・帰ってきて。」
「うん。」
他のメンバーも見送りに集まる。
「イエローさん・・・皆さん・・・幸運を祈ります!」
「がんばって!」
「気をつけて!」
「やだな、みんなぁ〜俺がいれば大丈夫だよ!!心配するなって!」
ピックが大見得を切る。
「じゃあ、行って来るよ。」
俺達はしっかりと準備をして、アジトを後にした。
セイラと会ってから、久々の外の空気だ。もうすっかりと夜になっているが、フィークは遅くまで人の流れがある。噂どおりに帝国兵がうろうろしてやがる。セイラが腕に掴まった。
「大丈夫。」
俺は安心させようとしてそう言った。しかし、女一人にこの騒ぎ・・・帝国にとってセイラの存在は・・・なんだ?
「おい、お前ら!」
帝国兵に呼び止められる。
「何ですかー?」
「探し人のビラだ!見かけたらすぐに知らせるように!」
「はーい。すぐ知らせマース。」
ピックが軽く受け流す。
列車の切符を購入し、乗り込む。
「フィークが小さくなっていく〜。」
ピックが窓から顔を出している。子供みたいだ・・・
「どのくらいかかるの?」
「1時間くらいかな。」
会話は長くは続かなかった。最後までしゃべっていたのはピックだが、最後にはピックも黙ってしまった。そのままデッドパークに着く。デッドパークは収容所を始めとする帝国の施設が多く、民への干渉も多いので町は暗い雰囲気がした。いい噂は聴いたことがないが、噂どおりのようだな・・・。
「なーんか、辛気臭いな。フィークのほうが100倍いいじゃん。」
「フィークは比較的恵まれている町だからな。こっちだ。」
俺達はイエローにしたがって、収容所の方面に繋がる森を進んでいった・・・。これが意外な重労働で、かなり俺達を疲れさせた。もう結構な時間歩いている・・・。
「ヒー・・・結構・・・遠いな。セイラ、大丈夫?」
思った以上にきつい森にピックがセイラを気遣う。しかし、セイラはケロっとした顔をしていた。
「全然平気。」
「・・・そう・・・。ね〜!イエローキツイよ〜」
「だから早めに出ただろ?大丈夫だ、ほら、見てみろ。」
「あ・・・!」
森は高度が高く丘のようになっていて、そこからは第6収容所が見下ろせた。四方を高い壁に囲まれた施設の中には囚人を収容するための建物が5つ・・・あとは帝国兵の建物が1つ。警備のスポットライトで照らされ、帝国兵が見回っている。ピックが呆気にとられる。
「あれが第6収容所か・・・でかいなー。」
「警備は緩いって言ってたけど、壁はかなり高く出来てるだろう。見取り図は何度も見せたけど一応きちんと実物を目で見させておきたかったんだ。とくにセイラはな。」
「うん。」
確かにセイラは一度だけ、計画表を見て話の流れを聞いただけだ。俺は計画の順序を辿って確認していくことにした。
「イエロー、侵入するポイントっていうのは・・・。始めから流してくれるか?」
「ん。了解。あそこを見てくれ。」
イエローは刑務所の丁度裏に当たる壁を指差す。北側にあって日が当たらないらしく、暗い。小さな裏口が付いているが、見張りが二人・・・。
「あれが侵入口か。見張りは情報だと一時間に一回交代・・・。で間違いないか?」
「ああ。おいピック、お前も確認しておけよ!シースもセイラもちゃんと頭に入ってるか?」
「俺は大丈夫だよ。」
シースが穏やかに答える。シースは穏やかな性格でいつもにこにこしている。
「んーーー?」
セイラは良く分かってないのだろうが、イエローの話と収容所を見比べていた。大丈夫かよ・・・。。
「はあ・・まあいいや、続きな。収容所の中、ライトがスポットライトしかないだろ?だから、タイミングを見計らって囚人の建物の中に素早く侵入する。だからあのスポットライトの動き、よく覚えておけよ。」
「んー。つまり、あの光に当たらずに建物にはいればいいの?」
「そうだ。それぞれ話したとおり入る建物は違うからな!一人一つ!」
「それで囚人の鍵を・・・本当は一つ一つ開けてやりたいが、そんな暇はない。荒いかもしれないが、ドアにこの爆弾をくくりつけて回る。俺達が作った小型で最小限の爆発しか起こさない奴だ。大丈夫だろう。情報によると、一つの建物に20の部屋がある。ちゃんと数持ってるな?」
俺達は20個の小型爆弾を数えた。
「いいか、設定時間は30分後だ。絶対間違えるな。囚人の建物を爆発させた後に、その騒ぎに乗じてこのでかい爆弾で帝国兵の建物をドカンだ。囚人リストがあるだろうからな。それを消したいから派手に行くぜ。」
「了解。その後は・・・」
「ここの林に出来るだけ誘導する。帝国兵に追わせるな。洞窟を確保してある。入り口を隠しちまえばしばらくは見つからないだろう。囚人にはそこに避難してもらう。俺達は一番見つかっちゃまずい存在だ。いいか?フィーク方面行きの貨物列車だ。貨物列車だけは24時間で動いている。この貨物列車の3:58出発のものに必ず乗れ。」
「前から3両目の赤い貨物だな。」
「セイラ、さっき渡した時計を見ろ。」
セイラは来る前に渡した懐中時計をじっとみる。アジトで時計の説明したときに何だかちんぷんかんぷんそうだったから不安だ・・・。どうやら時計の見方も忘れてしまっているらしい。
「これ・・・?」
「そうだ、この針がここに、こっちの針がここに来たときはもう駅にいろ。」
「分かった。これがここね?で、これがここ?」
「・・・。」
「・・・ウィン。帝国兵の建物爆破は俺達がやるから、ウィンはセイラを連れてきてくれ。」
さすがにイエローも不安になったようだ。
「・・・その方がいいみたいだな。分かった。」
「おっと、そろそろ見張り交代の時間に合わせて、森を出るぞ。みんな、準備はいいか?」
「おう。」
「ああ。」
「了解。」
「うん!」
「弟6収容所・・・ぶっ壊してやるぜ!」
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