episode10 第6収容所襲撃計画2
時間だ・・・。見張りが入れ替わる。
「行くぞ!」
ピックが素早く裏口の見張りの死角に入り込む。そして隙を見計らい・・・気を失わせる。見張りの兵士はひざをついて前に倒れた。俺達は裏口の扉に集まる。イエローが気を失っている見張りの懐を探りながら声を潜めて言った。
「よし、次の見張りが来るまで一時間。余裕だな。おっ、鍵これか?ほらよ。」
まぁその頃には見張りどころじゃないだろうからな・・・。俺は鍵を受け取るとゆっくりと鍵を開ける。鍵が回りきった。少しだけ扉を開いて、ライトの具合を見る。始めはピック、次はシース、セイラ、俺、イエローの順だ。ピックはちょこまかと動くから、スポットライトのン科に飛び出しそうで心配だな・・・。と思ったがひょいひょいと入り込んでいった。シースもとろそうに見えて淡々と入り込んでいく。そしてイエローも・・・。俺は扉を少し開けてセイラに見せる。
「セイラ、あの光に当たるなよ。あの建物だ。・・・今だ!」
「うん!」
セイラも無事、建物の中に入る。見届ける、俺の番だ。 俺は扉から一番遠い建物を担当する。ライトの動きを見計らって・・・俺も無事に入り込んだ。建物に入れば死角が多く楽になるが、さて、ここからが忙しい。囚人部屋が並ぶ。ドアに用意した小型爆弾を30分後にセットし、針金で素早く、くくりつけていく。
「おい、お前何している!!!」
兵士の足音。手持ちのライトに照らされる。
「悪いな。」
一気に叩き潰す。倒れこむ。今誰かを呼ばれるわけには行かない・・・。その時、囚人室から声がした。
「・・・誰かいるのか?」
囚人が今の音で気が付いたか・・・。一瞬迷ったが、返事を返す。
「・・・反政府レジスタンスのものです。」
「レジスタンス?!助けに来てくれたのか?!」
「はい。今からこの収容を爆破します。ドアを30分後に開けます。」
「本当・・・嘘みたいだよ。30分後だね?」
「はい。出口を出て北に行けば裏口があります。そこから出てください。」
「わかった。気をつけろ!」
そのドアを離れ、次のドア。また次のドア。見張りにはどうしても会ってしまう。その度に倒していく。帝国の兵だけあって,一発じゃ倒れてくれない奴もいる。全てのドアに爆弾を付け終わる・・・。意外と早く終わった。次はセイラか・・・!俺は建物から出て、セイラに任せた建物の窓から侵入する。
「き、貴様・・・!」
ちょうど兵士とはちあわなせしてしまった・・・あぶないあぶない。なるべく音を出さないように兵士の意識を奪う。セイラが物音に気づいたらしく、二階から降りてきた。
「ウィン?」
「お疲れ。終わったか?」
「うん。今最後のをつけてきた。」
「よし、行こう。もうすぐ爆発だ!」
そうして俺達は建物から離れる・・・ スポットライトを避けて、兵士の住む建物の壁に隠れる。窓から様子を見ると、監視なんてしていないんじゃないか?ってくらいだらけた兵士がたむろしている。
「見ろよ。一番働いてるのはやっぱり新人や下っ端の兵士なんだよな。
「新人なの?さっき倒したのは。」
「緑の帽子を被っていただろう?新人は緑。・・・みんな何かを守ろうとして、自分を誇りにしたくて入隊してくるんだよな。でも・・・失ってしまってからいつも真実に気づく。」
「・・・ウィン?」
何感傷に浸ってるんだ。今はそんなこと言っている場合じゃない。我に帰って、壁に爆弾をセットした。そのとき低い声が・・・。
「おい、終わったか?」
「うわ・・・!!」
後ろからこっそりとイエローが現れた。
「・・・驚かすなよ。」
「お、お前こそでかい声出すなよ!俺も向こう側につけたからな。あと一つ、真ん中につければ・・・」
「おい!!誰かいるのか?!」
声を出したので兵士に見つかってしまった。
「やべ・・・!」
「ウィンがでかい声出すから。あーあ」
・・・やれやれ、と思いつつ俺は剣を構えた。
「侵入者だ!!おい!!皆!!」
「捕らえろ!!」 兵士が5人。実戦慣れしていない新人が4人と中級の青帽子が一人。まだ爆弾セット終わっていないのに!俺は向こうの構えを待たずに手前にいた新人を薙ぎ倒した。
「ぎゃ、あああっ!!血・・・血が!!」
「血くらいで騒ぐな!!」
「でも隊長・・・!!自分達は実戦は初めてで・・・!ぎゃっ!!」
俺が兵士を攻撃したのを見て、セイラも切り込んでいた。あまりの身軽さにイエローがおどろいている。
その時、囚人の建物から細かい爆発音が響いた。
「な、何だ?!」
人々の声とともに、建物から逃げ出す人々・・・。
イエローがニヤニヤしながら眺めている。
「いいね〜。時間バッチリだ。」
「貴様ら、囚人達を逃がしたのか・・・!!何てことを!!!」
「うるせえよ!罪もねぇ人間を閉じ込めやがって!!政府の犬が!!」
イエローが兵士に斬りかかる。
「ひ、ひぃっ!!」
「ツ・・強い!!」
「隊長、自分達では無理です・・・!!」
「・・・こいつらに構ってられるか!!囚人どもを止めろ!!」
「はいっ!隊長!!」
兵士達は、俺達より囚人を止めるほうを選んだらしい。俺達を残して去っていく。
「イエロー、先に裏口に回って人々を誘導してくれ。俺はもう一つ爆弾セットしていく。この建物は囚人リストがある。木っ端微塵に・・・だろ?」
「分かった。じゃあ、セイラも連れていくぞ。」
「ああ。」
「行こう。」
「・・・私はウィンといたい。」
「おいおい。危険だからイエローと行くんだ。」
「・・・。」
・・・すごく不満そうだ・・・。
「まぁ、さっきのを見ると相当腕も立つみたいだし、ウィンも一人だと何かあったら危険だ。セイラも一緒に連れて行けよ。」
・・・やれやれ。お守りじゃないか・・・。
「じゃあ、俺は行く。お前ら、遅れるなよ!!」
「ああ!すぐに行く!」
イエローの背中を見送って、急いで最後の爆弾をセットする。
「いいか、すぐに爆発だ。急いで離れろ!」
「うん!!」
セットした・・・!!
「セイラ走れ!!!!あの建物の影だ!!」
爆音だ。かなり広範囲に爆発した。ガラスやら耐え者の破片やら色んなものが飛び散る。
「耳が・・・」
「すぐ治る。行こう!」
しかし、裏口は想像以上に逃げ惑う人波が激しかった。兵士も建物が爆発したことで身の危険を感じ、任務を放って逃げている。解放された人々はイエローが用意した洞窟に向かっていく・・・。
「ウィ、ウィン!!!」
セイラの声。伸ばされた手に届かない。見えなくなりそうだ。
「・・・クソ!!」
俺は何とかセイラの手を取ったが流れに弾き飛ばされた。イエローたちはちゃんとこの人波をぬけたのだろうか?しかし、そろそろ列車の時間だ・・表の門はしっかりと鍵が掛けられてしまっている。ここしか出口はないのに・・・!!
「まずいな。時間が無い・・・。」
「ウィン!!!こっち!!」
セイラが俺の手を離して、裏口とは逆のほうに走り出す。そこにはまだ破壊されてない、監視のために使うのだろうか?高い鉄塔に飛びついた。俺は追う。セイラが鉄塔に登りながら地上にいる俺に叫んだ。
「ウィン!こっち!!上に来て!」
「おい!待て!どこに・・・早く逃げなくちゃいけないんだ!塔に登っている暇なんてない!」
「もう時間がないもの!」
なにかかんがえがあるのか?!もう賭けだな。塔の上まで来た。かなり高い・・・。普通なら落ちたらこれは死ぬな・・
「ウィン、あの塀の上・・・!あそこからなら飛び越えて外に出れるでしょ?」
「・・・あそこって・・・。」
塔のてっぺんからみても高い位置にそびえる壁・・・。セイラなら跳べるかもしれない。確かにもうここから脱出できるかもしれない。入り口で兵士を倒しながらじゃ時間が無い!
「ウィン、行こう!!」
「・・・分かった!」
「うん!」
セイラがふわりと跳ぶ。壁の上に軽く足を付く。やっぱり余裕だな・・・。であったときに見せたあの跳躍力・・・。あのときよりも高さはある・・・。
続いて俺だ。その時、大きな音とともに塔が揺らぐ。下が爆破されたんだ。足場が定まらない・・・しかし、ここにいれば巻き込まれる!!
「くそぉ!!!」
俺は跳んだ。飛びながら剣を抜く。・・あと少し届かない!
「ぐっ、おおお!!!!」
鈍い音がした。塀に剣を刺し、落下は免れた。壁の石の欠片が落ちる。少し足りなかったようだ。壁にぶら下がっている状態から持ち直そうともがく・・・そこにセイラが手を伸ばした。
その手を掴む。セイラは力はそこまでないらしく俺を引き上げることは出来なかったが俺は壁を伝い、セイラの手に支えられて、体制を持ち直した。目の前で塔が炎上し、朽ちて行く。
「は・・・ぎりぎりだな。」
「良かった・・・」
セイラが大きなため息をつく。
「いや、落ち着いてられないぜ!セイラ!降りるぞ!!」
「うん!」
俺は剣で開けた穴に爆弾を結んでいたロープを余った針金でくくりつける。そこまで強くないロープだが・・・地上まで持ってくれよ・・・。
「セイラ!これを伝って降りろ!」
セイラは言われたとおりに降りる・・・ロープがぎしぎし音を上げる。セイラが地上に着いたのを見届け、俺もロープを伝った。何とかロープは持ってくれたらしい。
「こっちだ!」
セイラを誘導して駅までの道を走る。兵士は俺達を捕まえるどころではなく、スムーズに駅まで来たが・・・。
「あ!!!!」
「ウィン、列車が!」
「くそ!間に合わなかったか・・・!!」
約束の貨物列車が動き出した。
―列車の中―
「イエロー・・・二人が・・・」
「ああ・・・」
「何かに巻き込まれたのかな・・?それとも・・・死・・・」
『勝手に殺すなよ』
「?!・・・?!」
貨物列車の上の窓をこじ開ける。セイラを先に中に放り込んだ。
「セイラ!!!じゃあ・・・!」
「俺もいる・・・っと!」
「二人とも〜!!!生きてたのか!すげえ心配したんだぞ!」
ピックが今にも泣き出しそうだ。何か心配させたらしいな・・・当然か。俺はピックの頭をぽんぽんしてやった。
「心配させて悪かったな。」
それを見ていたセイラが、俺の真似をしてイエローの頭を撫でた。
「・・・心配させて悪かったな。」
イエローが苦笑いする。
貨物列車は窓がないけら外は見えなかったけれど、時計はもうすぐ朝の4時半になろうとしていた。俺達は汚れてしまってボロボロだったけど、5人とも無事だった。それでもただ作戦成功だ、と笑ってらいれないのは、誰も口にはしないけど俺達が起こしたこの騒ぎで兵士でも囚人でも命を失った人がいることが皆分かっていたからだと思う。
兵士の家族から見れば俺達のしていることは帝国にされたことと変わりはないのなら・・・それを考えると何も出来なくなる。だから俺は早くこの場を去りたかったし、あまり多くを口にしたくなかった。
俺は列車が時間を見計らって、鉄の窓を開けた。朝日に目が眩んだ。見慣れた風景・・・フィークだ。俺達はあれから列車の中で何も話さなかった。眠りもしなかった。それぞれ、何を考えていたんだろうと思う。
「・・・行こう。」
朝方に活動を始める商人たちに紛れ、アジトの・・・古びた道具屋のドアを開けると、ヒナが店番をしていた。
「みんな・・・」
「ヒナ、ただいま。」
イエローが笑って言った。
ヒナが涙目だ。
「イエロー・・・皆・・・無事でよかった・・・。眠れなくて・・・私だけじゃないわ。早くアジトに入って。みんな!!イエローたちが戻ったわ!」
店頭からアジトへは戸棚の裏にある階段から行ける。階段を降りるとメンバーが待っていた。
「お疲れ様、リーダー!」
「みんなお帰り!」
「よく無事で!」
「みんなのおかげだよ。」
俺はメンバーと軽く話した後に、水を持ってそのまま寝室に行った。ベッドの横に荷物を置く。俺は荷物から小さなビンに入った薬を取り出した。もう残り少ない。買いに行かないと・・・襲撃の計画が終わって、ハンターに行ったときにでも。そんなことを考えながら薬を飲み下す。ベッドに仰向けになって見慣れた天井を見つめる。帰ってきたんだ・・・。俺は、まだ、生きている。
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