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episode5 赤い石

他のメンバーも戻ってきたので、俺達は夕食を食べていた。

 「今日の当番って・・・ヒナだよなー?」

 「何かいつもより・・・味が・・・なあ?ウィン。」

 悪かったな・・・。ヒナに彼女を見てもらっていたから俺が最後の味付けをしたんだよ。あえてなにも言わずに夕食を口に運ぶ。

 「あ、でもうまいよな。うん。うまいうまい。」

 ピックがフォローを入れる。

 「・・・。」

 

 浴室からヒナがバスローブ姿の彼女をつれて出てきた。

 まだ彼女を見ていなかったメンバーが注目する。

 寝室に入った後、食堂がざわめいた。

 「おい、だ、誰だあれ?」

 「分かんないけど・・・すっげー美人だなあ。」

 「金髪だよー目も金色・・・いいね!!」

 「だろだろー?俺今日お茶渡しちゃったもんね!!ウィンが連れてきたんだよ!な!ウィン」 

 俺に振るなよ・・・。

 「えーー??!ウィンが?!」

 「・・・ああ。」 

 「珍しいじゃん、ウィンが女関係なんて、ねえ?」

 「・・・そんなんじゃない。」

 本当にそんなんじゃないんだよ・・・。食器をキッチンに運び、寝室へと向かおうとする・・・。

 「お、俺も!あのこのところに行くんだろ?」

 ピックも着いてくるらしい。何故・・・。まあいい。

 「俺も見たい。」

 「俺も!俺も!」

 ・・・勘弁してくれ・・・。

 「ま、待ってくれ。実は彼女、記憶がないらしくて・・・。あんまり興奮させたくないんだ。さっきピックとは少し話したからピックはいいとして、他の皆はちょっと待っていてくれないか。」

 食堂からはブーイングだ。

 「くっそーピック、てめ〜」

 「早くつれて来いよ!紹介してくれー」

 「あ?てめーにはメリーがいるだろー!言いつけんぞ!俺に!紹介してくれ!」

 あーうるさい。

 「早く早く、ウィン早く!!」

 ピックが急かす。なんて素早い奴だ・・・。こいつもうるさい・・・。


 さて、寝室のドアをノックする。

 「あー、ヒナ。俺。ウィンだけど。いいかな?」

 「どうぞ。今丁度着替え終わったところよ。」

 ドアを開ける。

 白いワンピース姿の彼女がそこにいた。随分落ち着いたようだ。風呂に入れただけあってどろどろだった髪も肌もさっぱりしてすっきりした顔をしている。

 「随分、落ち着いたみたいだね。」

 「・・・。」

 彼女は頷いた。

 「ウィンが、あなたを助けてくれたのよ。」

 彼女が俺をじっと見る。そして俺を指差して、

 「ウィン・・・?私を・・・。」

 と、一言言った。

 「完全に自分のことも分からないみたいなのよ。分からないって。」

 「・・・そうか。」

 「まじで記憶ないのー?俺、二回目だけどピックね。宜しく!」

 彼女は今度はピックを指差して言った。

 「ピック?」 

 「そうそう、ピックだよーん。」

 俺は彼女を見た。ノースリーブの白い腕には、切りつけられたような古傷が何箇所もあった。そして最近のものだろう擦り傷。

 「それでも、ヒナ、ピック。完全にまだ信用しちゃダメだ。」

 「何よ、ウィン・・・自分が連れてきておいて。」

 俺は彼女の荷物を手に取る。

 「本当は・・・覚えてるんじゃないのか?!」

 帝国の刻印が刻まれた長剣。刻印を彼女に突きつけた。

 彼女はきょとんとしている。

 「帝国のスパイじゃないのか・・・?!」

 「おい、ウィン。それ・・・」

 「彼女の荷物だよ。悪いけど、俺が連れてきた。スパイだったら・・・俺の責任だ。この子が国立研究所から帝国に送られた人間兵器だって可能性もあるんだ。」

 彼女はヒナをみて、何だか困っているようだ。

 ・・・考えすぎか?いや、考え過ぎって事はない。現にあの運動能力、目の色は違うけど俺と同じだって可能性もある。

 「え、何?」

 余り事情を知らないピックも困っている。

 「ウィン、やっぱり分からないみたい。そんな剣幕じゃ・・・また怯えてしまうわ。」

 「・・・くそっ。何か覚えていないのか?」

 俺は彼女の身につけていたものを入れてある籠を漁った。

 「ほら、これは?!君のだろう!!」

 彼女が身につけていた赤い石の髪飾り・・・。

 彼女はそれを持つ俺の手を取った。

 「あ・・・。」

 「!!何か思い出したのか?」

 彼女は髪飾りを手にとって、しゃがみこんだ。

 ヒナもしゃがんで、彼女を見た。

 「・・・それ、何かあるの?」

 「・・・分からない。でも、これは私の・・・。」

 「思い出したのか!?」

 ピックがむきになった俺を抑える。

 「分からないんだよ・・・仕方ないじゃんか。なあ、その髪飾り、何なの?」

 「・・・分からないけど・・・安心するの。」

 「そうね・・・大事にしないとね。」

 ヒナが子供をあやすようにしていたから、何だか大きな声を出していた自分が恥ずかしくなった。

 「・・・悪かった。もういい・・・。」

 彼女が俺を見上げていった。 

 「・・・これ、ウィンの目と同じ色。」

 

 左目が少し疼いた。

 彼女はあの時、気を失う前、俺の左目をみて「レッドアイ」と言った。  


 俺は彼女に見覚えがあったんだ。 

 俺が研究所にいたとき、彼女が一度だけ見たことが歩きがする。

 全て諦めてしまおうとしたときに、終わりにしようとしたときに、この金色の瞳を見た気がする。


 でも、彼女は何も覚えていなかった。

 あのときのことも、その他の事も。

 

 「・・・そうだな。」


 俺は、少し笑ってそう言った。

 彼女も少し笑った気がした。


   ご覧いただいてありがとうございました!

 ご意見・ご感想いただけましたら幸いです!

 ブログもございますのでぜひご覧ください!

 http://motherproject.blog.shinobi.jp/


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