episode3 ウィッシュテール
「ヒナ、頼む。この娘の具合を見てくれないか。」
俺が運んできた彼女を見て、ヒナは驚いていた。・・・そりゃ驚くな。
「ウィン、その子どうしたのよ・・・。」
「ちょっと、追われていたから匿ったんだ。気を失ってしまったが、一応、頼む。」
「・・・はぁ。ちょっと待って。とりあえず寝室に運んでくれる。」
彼女を寝室のベッドに寝かせる。ヒナは医術を心得ているから、こういう時心強いな・・・。 俺も疲れた。少し座ろうか・・・。そう思って、会議室の椅子に腰掛けた。
「よお、ウィン、おかえり。どうだった。」
「・・・別に何も。」
こいつはピック。気さくで誰とでも仲良くやってる。こんな能天気な奴が何でこんなところにいるかなんて深いことは知らないけれど・・・。
「何もなくないだろ〜。すっげえキレイな子、拾ってきてさ〜どうしたのあの娘!」
「別に。追われていたから匿っただけだ。」
「追われてたって・・・。誰に?」
「・・・兵だ。ビリアスの制服だった。」
「ビリアスって・・・帝国兵か。やっかいだな。・・・大丈夫なのか?あの子」
「ああ・・・。心当たりがある」
そのとき、寝室からヒナが出てきた。
「どうだった?ヒナ。」
「大丈夫よ。気を失っているだけみたいね。随分汚れているから着替えさせたけど、大きな怪我はないわ。」
「そうか、良かったな。ウィン。こいつが女の子連れてくるなんて嘘みたいだモンな。へへ。」
ピックが茶化す。こいつは放っておこう。
「・・・ああ。ところでヒナ。他に・・・何か変わった所はなかったか。」
「他に?色素が随分薄いとは思うけど・・・。別に何も異常はないわよ。」
「そうか。・・・なら、いいんだ。」
ビリアス帝国が支配するこの横暴な世の中・・・。その犠牲者達が集まり、結成したのが反乱組織ウィッシュテール。ここは俺達ウィッシュテールのアジトだ。フィークの街なら人の出入りが多く、簡単には帝国にも見つからない。道具屋をメンバーで経営しつつ、その地下室にアジトを構えている。しかし、道具屋だけでは財政が追いつかない。そこで俺みたいな戦闘メンバーが他の町までハンターショップに出稼ぎに行くのだ。
しかし今回のはちょっとまずかったかもな。帝国兵と騒ぎを起こしてしまった。俺達はここで組織を組んでいる以上、出来るだけ目立ってはいけない・・・。
「あと、今回の稼ぎだ。」
ヒナはしっかりしている。金銭の管理もヒナの仕事だ。
「あら、74000ジルも。ありがとう。助かるわ。ウィンがいなかったらウィッシュテールの皆、今頃餓死してるかも。なんてね。」
「ありやーーす!!」
ピックがいつものようにうるさく騒ぐ。
「ちょっと、いいか。ヒナ。二人で話が。」
「いいわよ。」
ヒナと二人、彼女のいる寝室に入る。
「ウィンはしばらく外出禁止ね。分かってる?この街で騒ぎを起こすのも、それに参加するのも・・・。」
「・・・分かってる。悪かったよ。」
「言いたくはないけど、あなたが思ってる以上に、あなたのその瞳の色は目立つわ・・・。でも、あなたがこんなことするなんて珍しいわね。」
「・・・たぶん、この娘はマテリアルと関係している。」
「国立研究所、マテリアル・・・?あなたがここにきた理由よね。」
「・・・ああ。この娘は、俺と同じかもしれない。だから放っておけなかった。迷惑かけてすまない。この娘が起きるまで、様子をみていたいんだけどいいか。」
「ええ、いいわよ。作戦会議は明日だし・・・。メンバーが帰ってきて食事の用意が出来たら呼ぶわ。」
「すまないな。」
ヒナはそうして、寝室を出て行った。
眠っている彼女の隣のベッドに腰掛けた。国立研究所マテリアル・・・・。もし彼女がそこから来たのなら・・・。
傍らのかごにはヒナが脱がせたであろう彼女の衣服や持ち物がはいっている。やっぱり、汚れてボロボロだ。赤い石がついたハンドメイド、手作りっぽい髪飾り?かな。俺の首に当てられたナイフ・・・。そして腰に携えていた長剣・・・。
「!!」
帝国の紋章が刻まれている・・・!!
帝国兵?まさか、だったら何故帝国兵に追われて・・・。
もぞっと彼女が動いた。
「う・・・ん・・・」
その瞳はやはり金色で、暴れて逃げ回っていた女とは思えないほど。キレイだった。
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