幕間2.ソルと精霊
幕間2.ソルと精霊
宴の夜、ソルは用を足すために寄り合い所から外に出る。
潮風が火照った体に心地よかった。
夜の海は月明かりを受けて、わずかに光っている。
ソルは一瞬だけぶるっと体を震わせると、トイレに向かった。
トイレから出て、ポケットから魔石を取り出し、水を出して手を洗う。
そのとき、ソルの肩が淡く金色に光る。
『ソル』
『どうしたの? スピカ』
心の中で会話する。
『ルークって人、ソルと同じ、精霊憑きみたいだね』
『やっぱりそう? 魔素のモヤが出てたもんね』
『うん、精霊の魔素がにじんでた。でも、自覚はないみたいだね。精霊さんが黙ってるのかも』
『そうか。あんまり余計なことしない方がいいかもな』
『でも、ちょっと無防備で、心配になるね』
『そうだな、できれば、あまり人に知られないほうがいいとは思う』
ソルは顎に手を当てて、うーんと考える。
『ルークの精霊の話をするなら、スピカのことも言わないといけなくなるよね』
『そうだね』
ソルは軽く頭をかいた。
『ルークは会ったばかりだけど、信頼できると思う。でも、じーちゃんからは、できるだけ人に言うなって言われてる』
『精霊憑きは今も昔もいい人ばかりだからね。でも、おじいさんは間違ったこと、あんまり言わないよね』
ソルは寄り合い所の前で足を止める。
腕を組んでうんうん唸った。
『そうだな。精霊にも事情があるかもしれないし、余計なことはやめておこう。モヤは左の手の甲から出てたよね? グラントについたら、ルークにグローブをプレゼントしよう。精霊憑きとか関係なく、魔法陣の色で属性がバレちゃうから、隠す人もいるってじーちゃんも言ってたし』
『そういえば、最近では左手って珍しいかも』
『そうなの? スピカは魔法陣を肩にしたよね』
ソルはそう言いながら、淡く光る右肩を触る。
『昔は、手から魔素が出るのがかっこいいって言う精霊さんがけっこういたけどね』
『ふむ……たしかに目立ってもいいならありかも』
ソルは手を眺めながら、手のひらを閉じたり開いたりした。
『ふふ、でも最近だと人間は、みんな左手に魔法陣を刻んじゃうからね。あの人の精霊さんは、久しぶりなのかも』
『そっか……よし、心配だし気合を入れてグローブを選ぼう!』
『いいと思う。いつか、秘密を言えるといいね』
『うん、いつか、ルークとミナに、スピカを紹介したいな』
『その日を楽しみにしてるよ。それじゃあ、宴を楽しんで』
肩の淡い光が収まった。




