第六章 第二話 レストラン
第二話 レストラン
とても明るいところに置かれた。なんかピカピカ光っているお皿に乗せられた。
ここはレストランという食事をする場所みたいだ。
僕たちお金は、こうやって食べ物とも交換されるんだな。
お皿の上からちらっと見えたんだけど、たくさんの人が、いろいろな食事を大きなトレーに取るために並んでいた。
そして、僕はまたレジの中に入れられた。
「ここは、どこですか?」と同じ顔のお金に聞くと
「レストランだよ」と教えてくれた。
その10円玉はとてもうれしそうに答えてくれたので、すぐに友達になれた。
レジの中で僕たちは話をした。
「ねえ、君はどこから来たの?」
「うん、さっきまでは大人の女性の財布にいたんだよ。お財布の中は、とてもきれいでね。お守りっていうものと一緒に入っていたの。とても居心地がよかったんだよ」
「お守りって何?」
「神社というところで、買えるんだけど人間を守ってくれるものらしい」
「神社って5円玉が喜んでいくところだ!」
「そうだね、人間がお願い事をしにいくところだね」
「その女性の人間は、お財布の掃除をしていた?」
「僕は3日しかいなかったけど、してないね」
「そうなんだね、僕が最初に入ったお財布の人間はおばあさんと言われてた人なんだけど、毎朝お財布の掃除をしてくれたんだよ。掃除の間は僕たちは、広いお皿の上で、太陽や風に当たって氣持ちよかったんだ」
「えー、いいな、その財布に入りたいよ。どこにいる人なの?」
そして、また僕はおばあさんのことを詳しく話した。他のお金も聞いているようだった。
おばあさんのように、毎日お財布をお掃除する人がこんなに少ないなんて知らなかった。
レジは、忙しく開いたりしまったりしていたけど、しばらくして動きはピタリと止まった。
さっき、話して仲良くなった10円玉はまだ隣にいた。でも、多くのお金はお札と引き換えにレジから出て行った。
レジの中のお金の誰かが言った。
「どうやら、今日の営業は終わったらしいな。集計の時間だぞ」
するとしばらくして、レジがチーンという音と共に開いて、明るくなった。
そして、ザラザラと外に出された。その人間は大きな手で数え始めた。
駄菓子屋のおばあさんの暖かい手とはまた違った感覚だった。
「今日も忙しかったなあ、あー疲れた」こんなことを言いながら、僕たちを数えていた。
僕は10円玉の列にきれいに並べられて、整列した。その人間は僕たちを見て笑っていた。
うれしかったのかな。僕たちは人間を喜ばせることができたんだと感じた。
僕はこの人間が何をしているのか他のお金にきいてみた。
「この人間は僕たちを何と交換しているのですか?」
「この人間は料理人といって、人間の食べ物を作る仕事をしているんだ。その食べ物を作ってお金と交換しているんだよ」
「料理人かあ、僕たち役にたったのですね」
僕らは、レジから出されて小さいな金庫に入れられた。
真っ暗な金庫は、さっきいたところより、少しひんやりしていて、ゆっくり眠れそうだった。
その日は一日レジが開いたり閉まったり騒がしかったので、僕も疲れたのか、すぐに眠ってしまった。
次の朝、僕たちはまたレジに戻されて、新しい一日が始まった。
なんだか今日は人間の役に立てそうな氣がして、僕は朝からワクワクしていた。
「今日も明るくていい日になりそうだね」となりの10円玉に言った。
「お前はお氣楽だな。おれは人間には大して期待もしてないぞ」
「そうなの?今まで何があったの?」
「人間なんて自分の都合で、俺たちをグルグルまわしているだけじゃないか?おれは一回だっていい思いをしたことはないぞ。見て見ろ俺の顔を。真っ黒だろ。ある時には、汚っい手でつかまれたり、地面に落ちて、くつで踏まれたり、よくわからないネバネバの物がくっついて、よけいに顔が汚れたんだ」
「そうだったの。それは大変な思いをしたね。知らなかったんだ。ごめんよ」
「いいよ、別にお前もそのうちわかるよ。昨日お前が言ってた毎日お財布を掃除してくれるおばあさんのことだけど、前にいた財布で同じような話を聞いたことあるんだよ。その時は信じられないと思っていたけど、昨日お前の話を聞いていて、本当なんだと思ったよ」
「本当だよ。うれしいな。おばあさんの財布のこと誰か言ってた?」
「うん、財布の色や形も同じだし、おばあさんの住んでいるところも確かその辺だったと思う」
「うれしいな、ぜひその財布のところへ行ってみてね。おばあさんに会えばわかるよ」
「そうだな。おっとおれは早速出ていく羽目になったな。またな」
その時にレジが開いて、となりの10円玉は出て行った。
代わりに紙でできたお札が何枚か入ってきた。




