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## エピソード27 ### 「読まれるということ」

## エピソード27


### 「読まれるということ」


 本が出てから一週間。


 恒一の生活は、思っていたほど劇的には変わらなかった。


 夜勤。

 介護。

 電車。

 眠気。


 ただ、その合間に「読まれる」という現実が静かに入り込んでいた。


---


 施設の休憩室。


 同僚がスマホを見ながら言う。


「朝倉さんの本、見つけましたよ」


「……どこでだよ」


「普通に本屋ですけど」


 当たり前の返事に、少しだけ笑ってしまう。


---


 ページを開かれる感覚。


 知らない誰かの時間に、自分の言葉が入っていく。


 それが、まだうまく想像できない。


---


 夜。


 帰りの電車。


 恒一は本を持っていた。


 何度目か分からないが、また開く。


---


> 夜勤明けの電車は

> 少しだけ静かだ

>

> それでも

> どこかに行きたいと思っている


---


 この一行が、今はもう


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