四人の始まり
第二章 三節幕間 四人のはじまり(エリザ視点)
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エリザちゃんって、ちょっと変わってるわね。
また近所のおばさまたちがそんな話をしている。
――変わってる? 何が違うの?
わたしにはよく分からないし、特に気にもしていなかった。
小さい頃から、まわりと少し違っていた。
誰にも見えないものが、わたしには見えることがあった。
だから、なにもないところで変なことをしている子だと思われていた。
学校が始まっても、友達は一人もできなかった。
そこには、皇家の子ども――アグニスもいた。
まわりの大人たちは、彼女にどこか気を遣っていたし、子供たちもそれに倣って距離をとっていた。
あの子も、少しだけ浮いていた。
ある日の帰り道だった。
淡い緑色の光が、宙をふわふわと動いているのが見えた。
近くでよく見ると、それは羽の生えた、小さな人のようなものだった。
そっとつまんで、道の端に置いてやると、くるくるとわたしのまわりを回り出した。
なぜだか、胸の奥がふわっとあたたかくなった。
――そのとき、後ろから誰かの気配を感じた。
振り向くと、そこにアグニスが立っていた。
ああ、また変な子だって思われるかも。
でも彼女は、まっすぐにこう言った。
「……そこに、何かいるよね。見えないけど、空気がちょっと違うから」
そんなふうに言われたのは、初めてだった。
アグニスも、きっとわたしと同じで、なにか人とは違う感覚を持っているんだろう。
それがうれしくて、そこからわたしたちは毎日のように遊ぶようになった。
いろんな話をするうちに、偶然あることがわかった。
――生まれた年も、月日も同じ。
向こうが朝、わたしが昼に生まれていて、アグニスがすこしだけ“お姉さん”。
ときどき偉そうに頭をなでてくるけど……別に、嫌じゃない。
それから、人間以外の友達もできた。
あの日助けた風の微精霊・ピクシー。
そして、いつの間にかそばにいた炎の微精霊・サラマンダー。
属性の異なる二体の微精霊を使役できるなんて、本当は大騒ぎになることなんだけど、
このことを知っているのは、ごく限られた人たちだけだ。
アグニスと仲良くなるにつれて、わたしにも“普通の友達”が増えていった。
いつも真面目だけど、たまにちょっかいをかけてくるレオン。
アグニスと同じ皇家で、よく笑うヴィクトリア。
そうして、わたしたち四人の時間がはじまった。




