第3話 思わぬ出会い
これからは一週間に2回の投稿を目指します。投稿が遅れてしまい、申し訳ありません。
「貴女も覗き見ですか?」
「へ?」
急に頭上から降り掛かってきた言葉に驚いて、つい間抜けな声を出してしまった。
その声の主はプラチナブロンドに翡翠色の瞳を持っている人物。
文葉の最推し、カリスだったのだ。
カリスは物語上、入学式で生徒代表挨拶を迷子対応という体で間に合わないユーリの代わりに務める。
だからこの場にいることができないはずなのだ。
どうしてこの場にいるのだろう。
腕時計を見ると入学式が始まるまであと30分あった。
もしや私がこの身体に憑依してしまったから、物語が少しだけ変わった?
なら、メリバエンドを避けることもできるのではないか。
「ーあの。聞こえていますか?」
「っ!?あ、はい!すみません⋯」
無我夢中で考え事をしていせいで、何度もカリスが話かけていたことに気が付かなかった。
「貴女はここで何をしていたのですか?」
「あ、私は義妹を探しておりまして、丁度見つかったのですが、どなたかと話しておりましたゆえ、咄嗟に隠れてしまっただけで、決して覗き見をしたかったわけでは⋯」
「わかっていますよ。俺もでん⋯彼を探していて、気づけば木の上に」
「そうですか、お互い同じことをしていたのですね」
「そのようですね」
「そろそろ、入学式が始まりそうなので失礼いたします」
「送りましょうか?」
「いえ、道はわかるので大丈夫です」
「そうですか。ではまたどこかで」
「えぇ、またどこかで」
そうして突然のカリスとの初邂逅を終えたのだった。
入学式が始まるまで時間があまりないので急ぎ足で向かう。
(そういえばいつカリスとルナは婚約したんだっけ?)
頭の中の記憶を探っても思い出せない⋯。
ルナの記憶にもあの顔に見覚えがない。
しかし、義父様の言動からするとルナは誰かと婚約しているようだった。
恐らくその婚約者はカリスで間違いないと思う。
ではなぜ婚約者の顔を知らないのだろう。
「ルナ=フォンテーヌ嬢。ギリギリセーフだ」
「っ!あ、ありがとうございます」
「良き学院生活を」
滑り込みでなんとか入学式に間に合うことができた。
先に着いていたアリスの隣に座る。
「珍しいわね、ルナが時間に遅れそうになるだなんて」
「貴女を探していたのよ、アリス」
「ごめんなさい。でも間に合ったでしょう?」
「⋯そうね。今度からはどこかに行くとき誰かに一言伝えてほしいわ」
「わかったわ!」
アリスは元気で優しいまさに聖女というような性格をしている。
だが、マイペースすぎるのだ。
それにルナも私も振り回されている。
「早速始まるわよ!楽しみね、ルナ!」
「ええ」
生徒会長の挨拶を合図に入学式が始まった。
学院長先生の睡眠導入剤話を眠気と耐えながら聞いた後、クラス分けが発表された。
某魔法学校のように組分け帽子があるわけではなく、ただ入学テストの成績で分けられるらしい。
クラスはシラサギクラスからウグイスクラスまで6つのクラスがある。
クラスによって寮の棟が違うのだが、私は上から2番目のアサギクラス。アリスは下から2番目のヒイラギクラスであったため、2人は違う棟となった。
物語ではルナもアリスと同じヒイラギクラスだった。
私はルナの本来の学力に対して、少しだけ本気を出しすぎてしまったのかもしれない。
でもこれでルナがアリスと比べられて、ルナが闇落ちすることがなくなる可能性が増えた。
クラス分けが発表され、学生寮に入る前に様々な手続きを行った。
正直、長旅や突然の出来事で少し疲れていたから心の中で悪態をついていたのだけれど。
寮は二人部屋で同じ部屋を共有するルームメイトとは、学院で暮らす中でもバディとして共に行動する。
物語でのルナのバディは最悪だった。
彼女がハーフエルフであるだけに貶めようと、教科書を火炎魔法で燃やして捨てたり、通りすがりの彼女に水を引っかけたりしていた。
ルナの心が壊れかけてしまった一番の原因だったのだ。
そんなことを考えながら寮の部屋に入ると、真っ先にヒノキのいい匂いが鼻をくすぐった。
約10畳半の部屋には生活に必要なものが設置されていた。
二段ベッドはカーテンで仕切られていて、プライベートが分けられている。
勉強机も集中できるように取り外し可能な板が付属していた。
シャワーとトイレも備え付けられていた。
人生ではじめての寮に興奮していろいろと探索していると、扉が開く音がした。
入って来たのはミントグリーン色の髪と瞳を持つ、活発そうな女の子だった。
「こんにちはっす!貴女があたしのルームメイトなんっすね!」
「こ、こんにちは。はじめまして。ルナ=フォンテーヌと申します」
「ルナちゃん!可愛い名前っすね!あたしはケイト=マグアリーンっす!よろしくお願いするっす!」
「お願いします」
「そんな固くならなくていいっすよ!敬語もお嬢様らしい喋り方もあたしには不要っす!」
「ほんと?」
「もちろん!」
「ありがとう」
こうして、これから長い付き合いになるケイトと仲良くなったのである。
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