第3話 最初のスキル
「さて……どうするか」
コウは表示されたスキル一覧を見つめる
火魔法
水魔法
風魔法
土魔法
どれも魅力的だ
剣術や格闘術も気になる
だが
一番気になったのは
【索敵】だった
「異世界で一番怖いのは
敵に気付けないことだよな」
現場仕事でも同じだった
危険は
見えているものより
見えていないものの方が怖い
足場
重機
高所作業
確認を怠った者から事故に遭う
それは四十八年間で嫌というほど学んできた
「決めた」
コウは【索敵】を選択する
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【索敵】を習得しました
SP 5→0
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次の瞬間
頭の中に何かが広がるような感覚が走った
「これは……」
家の周囲にいる人の気配が
ぼんやりと分かる
庭にいる母
居間でテレビを見ている父
外を歩いている近所の人
位置まではっきり分かるわけではない
だが
確かに"いる"ことが感じ取れた
「便利だな」
コウは思わず笑う
この能力があれば
不意打ちを受ける可能性は大きく減る
「よし」
もう一度
異世界へ行ってみよう
そう決めると
コウは蔵へ向かった
誰も見ていないことを確認し
静かに念じる
「異界の扉」
目の前の空間が
ゆらりと揺れる
青白い光が集まり
一枚の古びた扉が姿を現した
「本当に出た……」
恐る恐るノブを握る
ゆっくり開くと
そこには
昨日と同じ草原が広がっていた
深呼吸を一つ
「行くか」
コウは異世界へ足を踏み入れる
扉を閉めると
静かな風が吹き抜けた
すると
頭の中へ声が響く
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索敵に反応あり
敵性反応 二
距離 約百五十メートル
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「もう敵か」
コウは慌てない
むしろ冷静だった
現場でも
慌てた人間ほど怪我をする
まずは状況確認
気配のする方向へ
音を立てないよう慎重に近付く
草むらの陰から覗くと
小柄な緑色の魔物が二匹
棍棒を持ち
何かを囲んで騒いでいた
「あれが……
ゴブリンか」
その足元には
荷車が横倒しになっている
そして
若い女性が一人
必死に短剣を構え
ゴブリンを牽制していた
服は泥だらけ
肩からは血が流れている
「まずいな……」
二対一
しかも怪我をしている
時間はない
コウは近くに落ちていた拳ほどの石を拾う
狙うのは
ゴブリンではない
少し離れた木だった
カンッ!
乾いた音が森に響く
ゴブリン二匹が
一斉に音のした方向を向く
「今だ!」
コウは地面を蹴った




