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祖父が遺した扉で二つの世界を生きる ~現代と異世界を往復し、最強を目指す~  作者: 相澤


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第4話 人生経験の差

「今だ!」


コウは草むらから飛び出した


突然現れた人影に


ゴブリン二匹が一斉に振り向く


「ギャッ!」


コウは拾っていた太い枝を両手で構えた


剣は使えない


だから使わない


慣れない武器を振るうより


扱い慣れた棒の方がずっといい


ゴブリンが棍棒を振り下ろす


コウは慌てない


半歩だけ身体をずらす


空振りした棍棒が地面へ叩きつけられる


「隙ありだ」


枝を思い切り膝へ叩き込む


ゴキッ


ゴブリンが悲鳴を上げて崩れ落ちる


そのまま頭へ振り下ろす


ドンッ!


一匹目は動かなくなった


もう一匹が怒り狂って突っ込んでくる


「力任せだな」


現場でもいた


勢いだけで仕事をする人間は


必ず大きなミスをする


相手の勢いを見極め


身体をひねる


ゴブリンが通り過ぎる瞬間


背中へ渾身の一撃


ゴッ!!


二匹目も地面へ倒れ


動かなくなった


────────────────


ゴブリンを討伐しました


経験値を獲得しました


────────────────


「終わったか……」


索敵を意識する


反応はない


どうやら他の魔物はいないようだ


コウは女性へ近付いた


金色の髪が泥で汚れ


肩からは血が流れている


息も荒い


「大丈夫ですか?」


「た……助けていただいたのですか?」


「話は後です


まず傷を見せてください」


女性は戸惑いながらも頷いた


傷は深くない


だが放っておけば危険だ


コウは着ていたシャツの裾を裂き


近くの綺麗な湧き水で布を濡らす


傷口の泥を優しく拭き取り


出血している場所をしっかり押さえた


「少し痛みますよ」


「……はい」


止血を確認すると


裂いた布を細くまとめ


包帯代わりに肩へ巻いていく


現場では


転倒や切り傷なんて珍しくない


救急車を待つ間


応急処置をする機会も何度もあった


「これで応急処置は終わりです


ちゃんとした治療は町で受けてください」


女性は驚いた表情でコウを見つめる


「こんな治療法……


見たことがありません」


「俺の故郷では


割と普通なんです」


もちろん


異世界の人には分からないだろう


説明しても仕方がない


女性が立ち上がろうとする


だが


足に力が入らず


ふらりと倒れそうになる


コウは慌てて支えた


「無理しないでください」


「す……


すみません」


その時だった


────────────────


人命を救助しました


経験値を獲得しました


レベルが3になりました


SPを5獲得しました


────────────────


「人助けでも……?」


コウは思わず画面を見つめる


モンスターを倒したからだけじゃない


人を助けたことも


この世界はちゃんと評価してくれる


「面白い世界だな」


思わず笑みがこぼれる


力だけが強さじゃない


そんな世界なら


四十八年間生きてきた自分にも


戦える場所がある


「私はエレナと申します」


女性は胸へ手を当て


丁寧に頭を下げた


「コウです」


「コウ様……


命を救っていただき


本当にありがとうございました」


その笑顔を見た瞬間


コウは確信した


この世界で最初に助けた人との出会いは


きっと偶然ではない


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