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5、王子殿下の婚約者?!

 それから数ヶ月がたった。1週間の王子殿下の監視後の1ヶ月は王城の部屋や、王城内は自由に行き来させて貰えたが、護衛兼、監視をつけられている。それもそのはずで、自分の状態を考えずに、人を助けるために限界まで使ってしまうミラの見張りの為と、あれだけ大勢の人の前で王子殿下に連行されたり、助けられたりしていたために『王子殿下についに婚約者か』と号外で知らされるほどの注目ぶりで、あの時の写真付きで新聞が出ていた。当然の事ながらミラも注目の的だ。その為、何が起こるか分からない、ということで護衛も兼ねているのだ。

 現在、王家主催のパーティ中で、ミラは王子殿下のパートナーとしてきている。彼が、あちこち回ってに挨拶回り中に、ミラは詰め寄られていて彼女にとっては迷惑な話である。いや、婚約者なのは正しいが……(仮)だけど。

「ノア様とはどんなご関係で??」

「⋯⋯えーと、」

 返答に困っていると、「ミラ、こっちに来い」と王子殿下から声がかかる。困っていることに助けてくれてはいる優しさではあるものの、こういった社交的な場所では冷ややかなトーンで声をかけてくる王子殿下はまさしく冷酷な人にしか見えないだろ。仮でも婚約者にこんな冷ややかな声掛けをしてくるあたり冷酷だ。

 話しかけてきていた令嬢達に「すいません」と断りを入れて、ミラは王子殿下の元へ駆け寄った。すると、手を取られて優しげな声で声をかけられた。

「ミラ、顔色悪い。もしかして魔力切れか? そういえば3日くらい経つな? あげようか?」

「い、今ここでですか?! それは勘弁してください! ただでさえ注目されてるのに」

「まさか。国王に話して抜けさせてもらうよ」

 言葉よりも先に彼は行動を起こしていた。手が繋がれたまま国王の元へ歩き出した彼自ら、国王へ直談判だ。何か少し話したと思うとすぐ許されたのか、挨拶をして離れる。ミラも慌てて会釈し、後に続いて歩いた。ものすごい視線を感じる気がするが、逃れられないんだろうなと思う。

 王城の彼の部屋なのだろうか、この前のミラの部屋だと言う部屋とは別の場所に連れてこられた彼女は早急に魔力供給を受ける。

「⋯⋯よし、顔色戻ったな」

 魔力量減少し、顔色悪いのは本当だったらしい。王子殿下のかれがが言うならそうなのかもしれない。

「⋯⋯そう言うノア様は、どうなんですか」

「⋯⋯? どうとは?」

「魔力過多で悩んでたじゃないですか。改善したんですか」

「あぁ、それね。したよ。お陰様で今じゃ抑制装置付けなくても悩まされることないんだ」

 魔力供給を行うようになってかなりの半年近くの日数が経っている。殿下の方には改善が見られているようで何より。ミラにとって死ぬかもしれないのに役に立てることがあるなら本望である。彼女は余命1年と告げられてからまだ医者には診てもらっていない。怖くてきけないし、見てもらえないからだ。

「⋯⋯そう言うミラこそどうなんだよ? まさか、まだ一度も告げられた日から見てもらってないのか?」

「⋯⋯⋯」

「やっぱりそうか。今から呼ぶから見て貰え」

 彼は仮の婚約者なのに彼女のことをなんでもお見通しらしい。そんなに表情にでも出ているのか、すぐにバレる。

 彼が言った通りにすぐ医師を呼び出し、来てくれた説明したかと思うと、その医師はすぐにミラへ向き合い、魔力を見て言った。

「⋯⋯前回受けたという診断と特に変わらないですね。余命1年程と言った所でしょうか。よくなってるとも、悪くなってるとも言えないですが、変わらないということは深刻化はしてないということですね」

 彼女は胸が熱くなる。この関係が続く限りは命は繋いでいける。それがわかっただけでも1歩前進だ。

「殿下の方はかなり改善してますね、この半年間だけで抑制装置をとっても問題ないとは驚きです。もう、ひとつもつけてませんよね。何をしたらあなた達の抱える問題が解決したのか興味が湧きますね」

「⋯⋯⋯今は口が裂けても言えないですね」

「そうですか。何はともあれ改善するなら良かったですよ。では、私は失礼致しますね」

「ありがとうございました」

 見ていただいた医者に2人はお礼をいい頭を下げる。

 王子殿下が、医者に「口が裂けても言えない」と言った通り今はまだ誰にも言える関係ではない。婚約者とは言え(仮)で、キスで魔力を補うために結んだなんて言えばどんなことになるか。今も、婚約者なのかと言う噂が出回っているし、ちょっとの油断で本当のことがバレでもしたら信頼に関わるだろう。

 医者が去ってから、再び王子殿下からの口付けを受けたミラは、それが魔力供給なしのそれだと気がつき、以前から疑問に思うことをぶつけてみることにした。

「あの、ノア様? ココ最近、魔力をくれる以外にただ口付けされることありません??」

「⋯⋯さすがに気がついていたか。したいからするだけだ。じゃダメか?」

「いや、あの、ダメとかではなくてですね、いいんですかそれは」

 聞いても曖昧な答えをされてしまい、何故は聞き出せなかった。

 二人の関係が少しづつ変わろうとしていることにまだ気が付きもしなかった。

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