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4 事件後の休暇

 王子殿下に支えられた瞬間、ミラの意識は遠のいていく。薄れていく意識の中で殿下が「ミラ!? ミラ!」何度も名前を呼んでいる気がしたがそのまま意識は夢の中へと沈みこんでいった。

「⋯⋯ミラは平気か?」

「意識を失っただけだ。休ませてくる」

 ノア王子殿下の声に駆けつけたルーカスが、彼に声をかけると、彼は冷静な声で返答を返し、ミラローズを抱えたまま歩き出す。それはルーカスへの無言の指示。何も言わなくても優秀な秘書官なら意味なんて理解してくれるだろうと踏んでの行動だった。もちろんちゃんと理解した彼は、フッと声を漏らし無言の指示をしっかり受け取った。現場の指揮を取り事件の全容を解明するため、各所に指示をただし犯人逮捕へと全力を注いだ。あの無言の指示はそういうことだと、しっかりとくみ取って。そのおかげもあってか早期解決へ至った。身柄は憲兵へ渡し牢屋行きだろう。

 ルーカスは人目につかないところに停めてある王族専用の馬車の扉を叩く。叩き方は彼らの合図がある。その通りに叩けばすぐに「入れ」の声がかかり開いた扉から中へ乗り込んだ。中では端に座り、膝の上にミラの頭を乗せた膝枕をする王子殿下がいた。複雑な心境のまま何も言わずルーカスは彼と反対側の席に座ったはいいものの、何か言い出すことができず、その場に沈黙が流れた。先に破ったのは王子殿下の方だった。

「⋯⋯⋯それで報告は」

「⋯⋯事件は無事解決しました。犯人は拘束済みで、死者などは迅速な対応あったお陰でないそうです」

 簡潔に報告をする、ルーカス。その報告に耳は傾けつつもミラを気にして髪を梳くように撫で続ける。

「⋯⋯自分を犠牲にしてまで対応してくれたミラのおかげもあるかと。⋯⋯ノア、俺があとのことも、処理とか全てやるからミラを1週間くらい休ませてくれ。1ヶ月とか休んで欲しいけど。それだとお前いないとこっちが困るし。1週間だけは何とかするからお前も一緒に休め」

「⋯⋯⋯俺に命令するのか、リュカ。まぁ、お前がそこまで言うならそうしてやる。1週間任せたからな」

「命令のつもりは無いけどなぁー。ミラを休ませるための手段として、ノアが休んでくれれば休まざる負えなくなるだろー。任せろ1週間は何とかする俺が」

 言い方の問題だが命令に聞こえるのも無理もないが、学生時代から仲がいいとは言え、今は上司と部下のような関係である。部下がとっていい態度ではなかったが、妹を絡むとリュカはそんなことよりも妹なのだ。実はかなりシスコンであった。

「⋯⋯はいはい。じゃよろしく」

 リュカは働きずめの王子殿下を休ませる口実として1週間のミラの見張りという名の休暇を与えた。今の彼にとってはこれが一番の休暇になることは把握しているからである。



 ミラは慣れない感覚に目を覚ました。誰かに撫でられているような⋯⋯、目を開けるとそこは見慣れない部屋に寝かされていることに気がつく。撫でられる手と方へ目を向けるとそこには王子殿下の姿が。

「⋯⋯⋯おはようございます?」

「おはようって時間じゃないけど、まぁ、おはよう。よく休めた? 丸一日寝てたけど」

「あ、はい。お陰様で。ずっと居てくれたんですか」

「あぁ、居たよ」

  挨拶を交わしまだ、働かない頭をフル回転する。聞きたいことはいくつかあるが、何から聞いたらいいのかとミラは考えた。

 普通に質問に答えてくれる、ノアだが少し背後にブリザードのような冷たさを秘めている。それでもミラは質問は止めなかった。

「⋯⋯あの、気になったんですけどここはどこですか」

「あぁ、ここは王太子妃専用の部屋だな。王太子は俺だから城のミラの部屋」

「⋯⋯え、そんなのあったんですか」

「そりゃな、(仮)でも俺の婚約者だろ」

 回らない頭はよく分からないまま勝手に納得してしまう。

 ミラは怒られると思っているから、質問して話をそらそうとしているが、寝起きの頭は働いてくれず、聞きたいことが、無くなってしまう。

「⋯⋯もう質問は終了か? それならこっちから行かせてもらうよ。何を言いたいのかわかるよな?」

「は、はい! そ、そのすいません!!」

「⋯⋯⋯そんな潔く言われると怒る気もなくなるけど、自分の状況を考えて行動しろ。助けてくれる人がいるから大丈夫じゃなくて、自分限界を考えろよ。今回は俺が間に合ったけど間に合わなかったら、どうしてた? 限界を使い切って助けた自分が犠牲になるつもりだっただろ?」

 説教が始まってしまい返す言葉もなく、説教される体勢でもないが、縮こまってしまう。

「知らないだろ、クロエが、俺に対して失礼承知で敬いの言葉も忘れて焦って連絡する程だったことなんて。そこまで心配してるのにお前はこんな倒れるまで使ってどれだけ心配させてると思ってる?」

 ミラは言葉を失う。そして心の中でクロエへ何度も謝った。

 ノアの説教は、普段冷酷等言われてるだけあり迫力と怖さを感じている。かなり優しく言っている方なのだろうが、彼の後ろにはブリザードのようなものが吹いているようにすら見えるからだ。

「⋯⋯ミラ、今日から1週間はこの部屋で俺の監視つき休んでもらうからな。その後1ヶ月はこの王城でゆっくりしてもらう。もちろん監視はつくけど」

「⋯⋯わかりました。の、ノア様もって、公務とかは大丈夫なんですか? 」

「あぁ、1週間はね、大丈夫。優秀なお前の兄貴がどうにかしてくれる。それよりミラ、ないだろ魔力。少しだけだけどな。顔色悪い」

 昨日も結構あげてるし、あげすぎてどういう影響とかあるか分からないし。探らないといけないからとブツブツと喋りながらも彼は顔を近づけてくる。寝かされていて、彼にホールドされているミラは避けるすべはない。口付けされ魔力が、少し送り込まれる。いつもよりは少なく顔色が回復する程度の量ということか、魔力を送り込まれたのは最初だけで、その後は普通にキスをされているだけであるように感じたがミラは気が付かないフリをした。

 それから1週間はただ部屋で王子殿下の見張り付きでゆっくり本を読んで居たり、魔力供給されたりをしていただけでミラは大人しく過ごしていただけだった。それもあってかかなり良くなっていった。

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