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三、事件

 定期的に魔力供給を受けることになってからミラの体調は安定していた。しばらく出ることの出来なかった街への買い物に出ていたミラ。

「ミラ様、体調は大丈夫ですか?」

「ありがとう、クロエ大丈夫だよ」

 少しでもと体調へ気を使ってくれるクロエは数少ない病気を知る1人としてお供してくれるのは非常に助かる。なんだか最近は、第一王子とリュカと通信機器を用いて連絡先を交換してあるらしく、やり取りしてることはミラも知っている。ミラ本人だけでは信用がないらしい。

「⋯⋯いや、ミラ様。休みましょう。疲れてますよね」

 クロエは私の顔をみて、そう言った。彼女は幼い頃から私に仕えているだけあってさすがに「大丈夫」は通用しなかった。すぐ近くのカフェで、休むことになった。

「⋯⋯クロエありがとう。本当に平気なのに」

「いいえ! お嬢様がそういう時ほど休まないとダメです。すぐ無理をするんですから」

 胸を張って主張されてしまえば、何も言えない。彼女はよく見てくれてるのだと改めて実感する。素直に彼女の言うことを聞き休むことにした。


 侍女と休んでいると近くで大きな音が聞こえ、突然大声で叫ぶ声が聞こえてきた。何やら事件が起きたようだと確信すると、身体が先に動いていた。

「クロエ! ノア様にすぐ連絡して!」

 それだけ言い残し音のした方へ急いだ。後ろからクロエの焦る声が聞こえたが、彼女なら意図を汲み取ってくれるだろうと思っての行動である。

 現場にたどり着くとパニック状態。騒然としていた。その中で懸命に指揮を執るものがいた。

「⋯⋯あの! けが人とかいるか分かりますか」

「そこです! そこに集まってます」

「わかりました!あっちは任せてください」

 指された方へ目を向けて誘導してくれていた彼に言い残し走り出した。

 怪我人は今のところ思ったより少なくて軽い。これなら大丈夫と思い、少しずつ魔力を使い治していった。自分のが無くなるまでには応援が来ると踏んで。あとはクロエが呼んでくれてるであろう、第一王子達が到着して指揮を取ってくれるはず。それまであの誘導していた彼と自分がどうにかすると、使い続ける魔力。当然減るだけである。もともと譲り受けた魔力はそこまで多くない。生きていけるために、生活に支障がない程度のものだ。当然ながらそれは魔力として使ってしまえば、倒れる。わかっていながらミラは使う。

 限界を感じ、倒れるっと無意識に目を瞑り衝撃に耐える体勢をとるが、一向に訪れなかった衝撃に目を開ける。開けた先には不機嫌そうな顔をした王子の顔がまじかにあった。思わず、目を背ける。自分は今、顔面蒼白で、王子に支えられる形で座り込んでいるその状況から目を背けたかった。

「⋯⋯ミラ。なにが言いたいかわかるよな? 」

 名前を呼ばれ反射的に目が合い頷いてしまう。彼は怒っている。きっとこれから説教されるっと思うとあんな背けたかった目が背けられなくなる。彼も背けることなく冷えきった目で見つめてきながら、立ち上がるとその人物を見ることなく指示を出し歩き出した。

「⋯⋯リュカ! あとは頼んだからな!」

「あぁ!」

 王子の声掛けに応じたルーカスは、いつの間にか到着していた応援部隊の指揮を取り始める。

 そして、王子はミラを抱え上げ人目のつかない場所に停めてあった、乗って来た王族専用の馬車へ押し込み、自分も乗り込んでくる。

「⋯⋯あの、ご、ごめんなさい」

「⋯⋯まだ、謝るくらいの元気はあるんだ? とりあえず魔力な」

 冷えきったノア王子の声にミラは目が離せなくなったままの彼女に彼は口付けを交わす。それと同時に温かい魔力が流し込まれていく。いつも以上にしつこく流し込むように話してくれない彼を押しのけて、苦しさに肩で息をしながら顔を見つめる。氷のようだと比喩される顔で彼に見つめ返され、ミラは固まった。

「⋯⋯ミラ、お前の力はしってる。けど、今のお前は使ったらどうなるのかわかるよな?」

「⋯⋯はい。わかってます。それでも! ノア様なら助けに来ると思ってクロエに呼ぶように言いました」

「それで? この有様か。昨日だよな? 魔力あげたのは? それを全て使いきるほど、能力を使うとはどういうことだよ。俺が来るとしてもだ。ここまでする必要なかっただろ?」

「⋯⋯すいません。でも見過ごせないじゃないですか」

「ミラ、見過ごせなくても今の自分のことも考えてくれ。救いたい気持ちは分かるが、救う分だけ自分の命を削るだけだろ。心配する身にもなってくれ」

「⋯⋯⋯はい」

 返事をすると、穏やかな表情に戻ったノアの手がミラの頭を撫でる。

 ミラへの説教も済んだところで、戻ろうとした矢先コンコンと馬車の扉を叩く音がした。ノア王子は短く返事を返した。すると、

「王子殿下、至急連れてくるようにとルーカス様からです。あと、一緒にいるミラ様もとのことです」

「⋯⋯わかった。すぐ行く」

 招集する声に返事を返した王子の見つめる先にはミラ。彼女の口へ再びキスをした。魔力をまた流したのだ。彼は一緒に呼んだ意味に嫌な予感がしたからだ。先程よりも短く済ませると、先に馬車を降りたノアに差し出された手を掴み続けてミラも降りた。

 現場に戻ると、ルーカスはしっかりと指示を出し指揮をとっていた。だがこちらに気がつくと待ってましたと言わんばかりの顔でこちらを見ていた。

「ミラ! 殿下、至急応援お願いします。癒し手の手が足りないみたいでミラはそっちを手伝ってくれ」

「おい。リュカさっき見てただろ」

「ですが、緊急事態らしくミラの手が、少しでも必要だそうです」

 ボソッと耳元で囁いて「⋯⋯⋯ミラ、5分だ。それ以上はやるな」と王子が言った。

「わかりました」

 ミラの返事を聞くなり、キリッと切り替え向き直りリュカに状況を聞く顔は王子そのものだった。

 ミラも、救護へすぐに向かった。彼に言われた通り5分間を測りながら手伝って欲しいと言われる場所に入った。救護場所を仕切っていたのは今まで世話になっていた人だったので、病気の状況はしているので5分と言う制限つきなら手伝うことを話し現場へ入れてもらった。任されたのは浄化することだった。浄化を使えるのは数少なくミラ以外には今のところ居ない。

 任務遂行し、5分たったときに知らせが来るような仕掛けをしていた為知らせがきて、もう少しだったがこれ以上するとノアが怖いので辞めることにした。それでもかなり良くなったはずだ。

「ミラ!!」

 5分でも結構疲れてしまっていたのだろうか、目眩がしてくらりとするとまたも王子に受けとめられていた。

 何かを言いたそうな顔をしている気がするが、気のせいだろうか。

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