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魔力過多と魔力減少

「ミラ! いい方法見つけたんだ!」

「リュカ⋯⋯。ずっと探しててくれたの?」

「当たり前だろ? 大事な妹を守るためならなんだってするさ」

 頼もしく、優しい兄に笑みがこぼれた。

 嬉しそうにする兄に本当に解決するのかな?と疑問の声が湧いたが、解決するならと話を聞くことにした。

「ミラ! それでな解決糸口なるかもしれないのが、こいつだ」

 兄の指した方向を見て初めてもう1人の存在に気がついた。その人物を見て目を丸くする。

「⋯⋯⋯え? だ、第一王子?!」

「そんなに驚くなよ、冷たいと言われてるけどいいやつだから」

「いや!驚くでしょ?! というかそういう問題じゃなくて!」

 驚く彼女に対し、何言ってんのというようにとぼけたリュカに第一王子も呆れた顔をしつつもミラへ声をかけた。

「ミラローズ、驚くのも無理ははありません。知ってるとは思いますが、私わが国、第一王子、エヴァンズ・ノアエヴァンと申します。ルーカスより、わけは聞かせて頂きました。貴女様を救う手立てとして私と仮の婚約者として過ごしていただきたいと思います」

「⋯⋯え、婚約者??」

「はい。この国の法で婚約関係をなさない者の一線超える行為をなしてはならないことはご存知ですよね? ですので仮の婚約者となっていただきたいのです」

「⋯⋯え? そういうことをするってことですか」

 妹への説明をなしに自分に話してきたのか、とミラの反応を見て察したノアはリュカを睨みつけた。

 すると、悪いといった顔が返ってくる。副官としてはかなり優秀なこの男はこういうことには抜けている。

「⋯⋯なんの相談もなしにこんなこと言われても困りますよね、要は口付け以上のことは行いません。仮の婚約者ですし、私自身王とそれ以上のことをしてはならないと契約もしてます」

 一から魔法のこと、ミラの病の助けになることと、王子の魔力過多の助けになることを王子自ら説明をした。

「⋯⋯というわけでミラローズ、私の婚約者になっていただけませんか」

「⋯⋯⋯わかりました。あとそのミラでいいです」

「よーし! 契約済んだし早速お願いな? ノア」

 王子の説明の間ずっとニヤニヤしていたリュカが突然楽しそうに心弾ませる声で言い捨てるとミラの部屋からクロエもつれて出て行った。

「はぁ〜あいつ、こういうことに関して雑すぎだろ」

「⋯⋯えっと、王子?」

「あ、ごめんね。リュカとは、学生時代からの仲で気軽な感じなんだ。君のことも、遠目でしか知らなかったけど知ってるんだ」

「⋯⋯そうなんですか。それであの王子⋯⋯」

「王子じゃなくて、ノアエヴァン。ノアって呼んでよ」

「⋯⋯それではノア様」

「うん、ミラの言いたいことは分かるよ。方法でしょ。ただ口付けするだけさ。俺の魔力をもらってくれ」

 口付けするだけと言っても第一王子とというのは気が引ける気がするのだけど⋯と心の中で思いつつ、それだけで自分が良くなるならいいのかなと考えていると、ノアからの「⋯いい?」という言葉に反射的に頷くと、王子の顔が近づいてくる。整った顔立ちで、妙に恥ずかしくなる。口が重なると、魔力が流れ込んでくる感じがした。そして段々と魔力の満たされていく感覚に。

「⋯⋯どう? 少しは体調良くなった?」

「かなり⋯良くなりました。ノア様の魔力もらっちゃって良かったんですか」

「あぁ、通常の人は魔力生成されるからね。それに俺はかなり多い方だから全然大丈夫だよ。もっとあげようか?」

「いやいや! 今日は十分です! ほんとにかなり良くなりました」

 恥ずかしさにこれ以上貰うのは気が引ける気がして断ったが、本当にこんなに良くなるものかと思うほど、今までの病での悪化していた気怠さが落ち着き、通常通りに戻ったようだった。

「⋯⋯そう。じゃ、ミラも良くなるみたいだし、定期的にこうして渡すから。まだどのくらいの頻度がいいのか分からないし、考えていこうか」

「あ、はい」

 冷徹とか、氷のようだとか比喩される王子とはどの部分なのかと問いただしたくなるほどの優しさにミラは疑問になり混乱した。

「それじゃ、これからよろしくね。俺は任務あるからそろそろ行く」

 去り際には雰囲気がすっかり変わり氷のようだと言われるのがわかるような気配を纏っていた。たぶんあれは外で待機しているのであろう、リュカは説教コースだろうか。

 王子が出ていくと入れ替わるようにクロエが駆け込んでくる。その後ろから兄の叫びの声が聞こえた気がした。

「⋯⋯ミラ様、体調良くなりました?顔色もかなり良くなりましたね! 本当に王子がミラ様を救えそうですね! 嬉しい限りです」

「そんなに変わった? でも、そうね、かなり調子良くなった感じがするわ」

「良かったです!」

 クロエの嬉しそうな姿に悲しんでいた彼女の姿も知っているからこそミラも嬉しくなった。

 次の日も、気分は良くてほとんど動けなかった身体の調子もよくここ最近よりもしっかり動けた。様子見に来たルーカスも嬉しそうに頷きながら去っていく。たぶんあれはノア様に確認してくるよう頼まれたんだなとミラも察した。生成できなくなったミラには定期的に貰わないと生きていけないし、ノアも渡すことで暴走を鎮められるとなれば必要な手立てだ。

 ミラの調子を崩したのはあれから4日目のことだった。また気怠さが戻ってきたと感じてベッドから出られなかった。すると、クロエが、リュカつてに話したのだろうか、王子がやってきた。

「ミラ、調子悪くなってるって? あれから4日? てことは、3日に1度くらいがいいかもね。とりあえず今は」

 ミラの許可を得ることもなく近づいてくる王子の顔に熱が一点に集中するような恥ずかしさを感じるミラ。だけどこれが自分には必要な処置だと言うこと理解してされるがままに送り込まれる魔力を感じながら、口付けを交わす。

「⋯⋯じゃあ、3日後にまた来る。それか、ミラが俺のとこ来てくれてもいいよ?」

「え、ノア様のところですか?」

「まぁー、、兄貴もいたら来ずらいか。」

 3日に1度で会うことになるのは決定事項のようだ。自分が行くか、ノアが来るかそれはどちらにせよ会わないとならない。それにしても普通は消費した魔力は一日で回復減っていく自分が、3日も落ち着いていられるとはどれだけの量を送られているのだろうかと疑問に思ったことは、うちに秘めておこうとミラは誓う。



「⋯⋯それで? ノアはどうなの調子は」

「まだ実感ないけど。制御装置1つ外したんだそれでも暴走する感じはないな」

「へー、効いているんだな」

 満足気にルーカスは笑った。自らが考えた応急処置のつもりが、こうして効くとなれば今後も続けてもらいたいと願った。

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