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魔力の病

「⋯⋯なぁ、ノア。俺いい方法思いついたんだけど」

「⋯⋯何? お前のその話はほんとにいい方法なのか疑問なんだけど」

「おいおい、もっと俺を信用してくれ。⋯⋯それなら、王子、私はあなたの魔力過多による暴走を止める手立てを見つけたかもしれません」

 王子は資料に目を通している手を止めずに、リュカは難しい本を手にしながら声をかけていた。

「⋯⋯それで?」

「ノア様に私の妹を救って欲しいんです」

「⋯⋯⋯は?」

 わけも分からない話の内容に資料に目を通していた手が止まり本を手にする副官の顔を拝むことになる。彼は笑いながらこちらを見ていた。




 ノアエヴァンはこの国の王子であり魔力過多による暴走を抑えるために制御装置を肌身離さずつけていないとならない程の魔力の持ち主であった。

 その副官ルーカス。通称リュカには双子の妹がいた。

 妹の名はミラローズ。通称ミラ。彼女は浄化や癒しの魔力の持ち主で彼女の能力はこの国では重宝されているほどの珍しい魔力だった。

 かなり重宝されており、神殿の治療師として駆り出されていた。

 そんな日が続いていたある日のことだったミラは身体に違和感を覚え始めた。

 技の効きが良くない気がすること、なんだかやけに疲れるような?と思い始めていた。だが、そこまできにしていなかった。疲れているのかもしれないと思いしばらくの間休みを貰うことにした。それで解決するかもと。

 だが、その思いは打ち砕かれるように、なんの回復も見込まれている気配もなくただただ身体が怠く、休む前よりも悪化していくのを感じていった。

 そしてついには寝込むほどになってしまった。

「ミラ、大丈夫か?」

「⋯⋯大丈夫⋯⋯だと思うの?」

「⋯⋯思わないな。 医者呼んでくる」

 異変に気がついた兄のルーカスにより医者がやってきて診てもらうと、最初は首を傾げていた医者がミラの話を聞いていくうちに顔が曇っていくのがわかった。

 良くない話かもしれない。そう近くで見守る世話してくれるクロエや呼んできてくれて心配する兄リュカの顔も曇っていく。

「⋯⋯大変申し上げにくいのですが、ミラ・ローズ様の命持って1年程といったところでしょうか」

「い、1年?!」

 真っ先に反応したのはリュカだった。

「⋯⋯どういう病気ですか?」

 案外冷静に聴けたのは、ミラだけだった。クロエは仕えるお嬢様が残り少ない命かもしれないとショックで放心状態になっていた。

「人には魔力があるのは知ってるよね? その魔力が無くなっていく病だろうと思う。これは減り続けことで、適応ができなくなり最悪の場合死に至る病なんだ。ミラローズ様はそれがかなり減っているようで、魔法を使い続ければ半年、使わずとも1年程が限界かもしれない」

「そうですか。わかりました、ありがとう先生」

「⋯⋯そういう訳でこれをどうぞ」

 説明をするとひとつの袋をミラへ差し出す先生から受け取ると首を傾げる曖昧に笑うミラ。

「それは、魔力を一時的に補ってくれるもの。少し体調が良くなってくれるものだ。飲んだからといって寿命が伸びるような代物ではないんだ。だから考えて使って欲しい」

「わかりました」

 思いのほかすんなり出てくる言葉にミラは覚悟が決まっているような違和感を感じながら曖昧に笑いながら先生を見送った。

「⋯⋯ミラ。なんでそんな風に笑ってられるんだ」

「⋯⋯んー、なんでかな。しっくりくるというか。ここ最近の不調ってそういう事かって思っただけよ」

「⋯⋯ミラが諦めてても俺は諦めないよ、治療法を探し出してやるからそれまで待ってろ!」

 リュカはそう言い残しミラの部屋を後にした。彼の後ろ姿を目で追いかけて笑う。優しい兄を持ったなと心の中で思う。

「ねぇ、クロエ。私、水が欲しいわ」

「⋯⋯⋯あ、はい! すぐにお持ちしますね」

 放心状態だった侍女に声をかけると慌てて反応して、部屋から去っていった。1人の空間になったと同時に涙が溢れてる止まらなくなった。『本当はまだ生きたい』という思いが溢れて止まらなかった。優しい兄に、自分の事のようにショックを受けてくれていた侍女、クロエを残してこの世をさるかもしれないと思うと、溢れ出したものはなかなか止まってくれなかった。

 “コンコン”

 部屋のノックする音に慌てて涙を拭き、返事をするとお願いした水を持ったクロエが入ってきた。

 トレーに乗ったものを見てミラは首を傾げる。

「これは?」

「⋯⋯ミラ様、目を冷やした方がいいと思いまして」

 ニコリとしながらも悲しそうな顔で答えたクロエに気が付かれていたのかと、苦笑する。

「⋯⋯ありがとう、、クロエ」

 先生の薬のかいもあってか、調子は少し良くなったが、魔力減少のまま仕事は続けられないので、長期休暇という名目で辞めることにした。

 今後は部屋で静養しながら残りの人生を楽しむしかないと思いやりたいことをしていこうと決めたミラは静かにできることをしていくことにした。



 一方で、リュカはあらゆる文献に手にし読み漁り解決の糸口がないかと探し漁っていた。

 彼の行動はノアエヴァンも不思議に思い問いただすと曖昧に答えが返ってくるが、お願いした仕事は滞りなくこなしてくれいるので見逃していた。

 そんな時折、突然の冒頭のセリフである。

「おいおい、もっと俺を信用してくれ。⋯⋯それなら、王子、私はあなたの魔力過多による暴走を止める手立てを見つけたかもしれません」

「⋯⋯それで?」

「ノア様に私の妹を救って欲しいんです。」

「⋯⋯は?」

 思わず、なんの話しも見えてこないのに突然の彼のお願いにわけも分からない王子は顔を上げた。

「実は妹が魔力減少する病に罹り、持ってあと1年もないんです。そこで調べた結果あなたの魔力過多は役に立つかもしれないんです」

「⋯⋯俺のメリットでもあるわけ?」

「はい。魔力過多による暴走を抑えられるかもしれません。そして妹は寿命を伸ばせるかも」

 リュカの真剣なその目には切実な妹思いな兄の顔をしていた。この表情は何度も見覚えがある。

「⋯⋯わかった。それで方法は」

「⋯⋯⋯口付けです」

「⋯⋯お前、それいいのか? 嫁入り前の女の子に俺が手を出すことになるじゃん」

 そうこの国の法律では嫁入り前の女の子に手を出すことは許されない。

「⋯⋯だから、ノア様、掛け合って欲しいんです。王に。俺の妹も救えて、ノアも救えるかもしれない。こんなWinWinなことある? 試してみてくれよ 」

「⋯⋯お前が自分で言ってくれ。俺も一緒に行くから」

 それからふたりは王の元へと向かい話をつけると婚約者ということで話をつけ関係をつけることに成功した。口付け以上のことをしてはならないと制約魔法までつけられてお土産つきだ。

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