表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/41

番外編2-2 ノアの溺愛まで

 ピクりとも動かなくなった婚約者を抱き抱えるとルーカスに声をかけられた。

「⋯⋯ミラは平気か?」

「意識を失っただけだ。休ませてくる」

 冷静に返答を返しミラローズを抱えたまま歩き出す。

 再び馬車の中へ戻り、真っ白な顔で、ピクリとも動かない婚約者を見つめ、俺は激しい敗北感とともに、心の中で深く息を吐き出した。

(⋯⋯なんなんだ、この女は。自分の命がどれだけ危ういか分かっているくせに、他人のために平気で全てを投げ出す。)

 最初は、お互いに利害が一致しただけの、ただの契約だと思っていた。

 けれど違った。この女は、俺がちゃんと見ていなければ、目を離した瞬間に自分の命ごとどこかへ消えてしまうような、あまりにも危なっかしくて、目が離せない存在なのだ。

(本当に⋯⋯危なっかしいやつだな。これじゃあ、普段から見張っておかないと何をしでかすか分からない……)

 腕の中静かに寝息を立てる、寝顔をじっと見つめながら、俺はこれまでにない「目が離せないやつ」だなとハラハラとした感情が芽生えるのを感じていた。

 その事件後から、『第一王子についに婚約者が?!』とかなり噂になっているらしい。それならそれで、都合がいい。

 それからも3日に1度の魔力提供しっかり続けていたそんなある日、今度は魔物討伐へ明日から行けと言う命令が国王から下された。

 かなり強い魔物がいるらしく、攻撃魔法に長けて魔力量の多い俺が抜擢されたようだ。すぐに現れないかもしれないその魔物を倒すのは1週間くらいかかるかもしれないと言うのだ。あいにく、魔力提供したのは2日前。提供してから行かないとミラが危ないと判断した。

「⋯⋯国王陛下、明日からは無理です。生憎、ミラローズに魔力提供してから行かないと、僕のいない所で苦しむとは後味悪いんで、2日は時間をください」

 と直談判し、時間を貰うことに成功した。

 その日のうちに、3日で減るミラの為に気休めにしかならない薬を入手した。次の日は溜まった公務書類を片付けて夕方いつも通りミラの部屋を訪れた。

 そうしていつも通りミラに魔力提供を⋯⋯少し多めにして、気休め程度の薬と討伐に行くことを伝え渡した。

 魔物討伐は見立て通りに時間がかかった。1週間ほどたちが他の騎士達で倒せるようなものしか出てこないため、俺はルーカスと待機していた。

 彼も現れない魔物に気が緩んでいるのか、「殿下が魔力解放して囮になってこい」などと言い始める。そんなことしたらどうなるかわかってるのかと問いただすと彼は「俺の魔法でどうにかする」といい入口の扉を開け始めたその時、外にいる騎士立ちから悲鳴の声が聞こえた。それと同時に報告に来た一人が言った。

「で、殿下! で、 出ました! 俺たちではどうにもできないデカイやつが!!」

 という。それが本来の目的のものかと慌てて外へでるとそこに居たのは規格外のデカさのヤツ。正直ビビってしまった。こんなのがいるのかと。

 だが、そんなことは言っていられなかった。応戦している騎士達にも負傷者がではじめている。その光景を目にしてただ戦うだけでは自分もやられるそう思うと魔力が徐々に湧き上がって来るのを感じた。自分で暴走すると思いながも止めることはできなかった。そのまま魔物に向かって歩いていく。

「そいつから⋯⋯殿下から離れろ!! 」

 暴走しはじめる俺に気がついた、ルーカスが魔物ではなく、「殿下」からと言ったのを耳にしながら、彼を信じて魔物に向かっていったその時だ。魔物からの攻撃がきた。、

「早く、離れろって言ってんだ!!」

 俺が魔物との距離を詰めるのに対し再びルーカスの言葉にハッとした騎士たちが慌てて距離をとった。

 その後はどうしたか分からなかった一気に暴走した魔力で記憶がない。

 気がついた時には自室で寝ていて、ムッとしたミラが目の前にいた。

自室にいるということはどうにか倒してルーカスが本当にどうにかしたのだろう。

 挨拶をすれば返事を返してくれたものの、機嫌は直してくれないようだった。

「殿下、あなたはあれからどれだけたったか知ってますか」

「⋯⋯え? 1日くらい?」

「そんな可愛いもんじないです!1週間ですよ!」

 自分の感覚では1日くらいのものだと思っていたのに1週間ときた。

(え? ミラは平気なのか? ⋯⋯⋯悪くなさそうだな。むしろ元気?)起きたばかりで回らない頭を使うがさっぱり分からない。

 混乱しつつ問えば決壊したように文句がでてくる。帰ってきてそうそうにぶっ倒れたまま帰ってきた自分を兄が押し付けて怪我と暴走をどうにかしろといい、去っていったと。そしてとりあえず自分の魔力も足りないのでもらいつつ、怪我も治した。だけど、なかなか起きないから、とりあえず先に、兄の所へ乗り込んで叱ってきた? そして、目を覚ますのをここで待ってた?

 え?でも、待ってそれって魔力貰ったのって1週間前ってこと?でも何故元気なの?

「⋯⋯え、ちょっと待って、ミラ。魔力勝手に貰ったのって1週間前だよね?!」

 俺の思う1週間は、俺が行く前の話だったのだが、「⋯⋯そうですよ」と少し沈黙の後答えた。

 そういえばいい夢見た気分なのだ。それに暴走した魔力は沈静化された後にこんなに穏やかな気分に慣れたことはない気がすると思った。

 彼女の言う1週間とはもしかしてとなんか記憶にあるそれが夢ではないのかもと思った。

 夢だと思った記憶のこれは⋯⋯、

 たぶん帰ってすぐ沈静化されているとはいえ、暴走していた魔力により理性が飛んでいてミラの顔みて、『食べていい?』と言って

『⋯⋯あ、ノア、様⋯⋯? 何を言って⋯⋯っ、んぅ!?』

『⋯⋯⋯』

『ん……ぅ、んん……っ⋯⋯まっ、て⋯⋯』

 あまりの激しさに、ミラは真っ赤にして俺の胸を押していたが、暴走した魔力で抑えが効かなかったのと1週間分の魔力をあげなきゃと思っていた俺は深く、激しく貪ってキスをしてしまったあの感触⋯⋯、そして全ての暴走する魔力を渡してしまった俺はまた力尽きて再び昏睡の闇へと落ちた――。

 ―――うわっ、ヤバっそれはあの顔になるよな。

「⋯⋯まじでごめん」

 心配かけたことも、貪ったことも謝るけど、それだけ俺がミラのこと好きだってことなんだよ。まだ、絶対に言っやらないけど。

 ミラが俺から離れてく準備もしてることも知ってるけど、絶対に離してやらない。絶対一生俺の傍にいてもらうんだから。

 そう思っていた俺は、あの大事件後からつけてい護衛が報告してくる度に彼女のことが心配だった。

 義務とは言え、提供してた魔力は2週間経っても落ち着いているようで現在も落ち着いた様子で読書しているんだという。不安だ。

「⋯⋯殿下、そんなに気になるなら、ミラの様子見てきてください」

「は? なんで⋯⋯」

「もう、顔に出てますよ。見に行って一緒に休憩でもしてきてください」

 そう言われ向かってしまった。

 静かに本を読んでいた彼女になんか見つけたか問えば見つかったと帰ってくる。『暴走状態の魔力は純度が高く、最低1ヶ月は保つことができるみたいです』と嬉しそうに言われ『それで体調が大丈夫なのね』といいつつも寂しさを感じた俺は、魔力云々はというのは抜きに普通にすればいいのかと思い立った俺は迷いなくキスをした。

 気がついていなかったらしい彼女は、俺の存在に慌てたが苦笑しつつ、「今話してたのに―――したいからした」と答えれば言葉を失って真っ赤になる彼女にもう一度したくなったか自重して。

 その後ティータイムをたのしんだ。呼びに来たルーカスに止められるまでの間。

 そんなふうに徐々にミラへ惹かれていっていた俺は突然の俺の婚約者を名乗る令嬢が現れた時には『ミラが婚約者でなくなるのは絶対に無理』と思い、こんなやつにミラとの婚約関係を邪魔されてたまるか。と必死になっていた。初めてランカスター令嬢がミラへ接触したきた時『俺の婚約者はミラだけだ』と言った自分の言葉に(あぁ、自分はそれだけミラに執着しているんだな)と改めて実感した。

 その後国王に令嬢のことをかけやったときにはっきりと「本気だ」と伝えたその言葉にもさらに自分が絶対にミラを離すもんかと心に誓った。

 それからはミラを軟禁状態にしてランカスター令嬢と戦った。少しでもミラへの接触も、彼女が逃げ出してしまうことを恐れて絶対に出さない状況を作っていた。

 それでも接触を試みた令嬢へと二度とこの王城にも、ミラへの接触できないような仕打ちを言い渡した。

 その後に、ミラとの婚約関係を(仮)から本物の婚約者へと国王の前で正式に契約を交わした時に、(仮)のために交わしていた契約を解除したことで溺愛のタカが外れ、ミラに手を出しかけることになるなんてあの時は思いもしなかったんだ。

 まさか、そこまでの執着心があるとはあの時の俺には理解していなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ