13、止まらぬ溺愛
最近殿下の溺愛が止まることを知らない。
なるだけ病気のことを知りたい私は本を調べることは相変わらず行っている。そこに休憩だと言って殿下がやってきて1時間程度お茶したり、調べ物をする私の横で寝ていったりする。決まって調べ物している時を見計らって来るみたいである。
夜会などでは片時も手を繋ぎ離さないし、離れていくこともしない。挨拶するなら私を伴ってる。
そんなこんなですっかり“殿下の溺愛する婚約者”が広まっているらしい。
恥ずかしいっ。
「⋯⋯ノア様そろそろお戻りになられた方がいいのではないですか?」
「⋯⋯あぁ、そうだな。ミラもほどほどにして休めよ? じゃあまた夜に」
額にキスを落とし彼は戻っていった。
いつもの事だけど、侍女や護衛が居るのに、恥ずかしい。やめて欲しいと願っても聞いてくれない。彼の愛が止まることを知らない。
今日は夜も会う日。
いつもの私の命を繋ぐための時間。それも最近はなんだか甘い時間すぎて・・・・・・。
「⋯⋯ノア様の愛が怖い」
「それでも、嬉しいんですよね? 顔に書いてありますよ」
「⋯⋯クロエ〜、表情を読まないでよ〜」
ノア様の愛はそこが知れなくて怖い。だけど嬉しい。そんな想いが顔に出ているのか、クロエにはすぐにバレてしまう。
「ふふっ。失礼しました。病気のこと、なんかまたわかりました?」
「うーん。ないね、誰かの魔力をもらうことは、命を繋いでいられる。それだけかな〜、あっ。」
「なにか、見つけたんですか?」
「⋯⋯いや、うん。大丈夫」
見つけた。たしかに見つけたけど、これは⋯。
魔力の渡し方情報だ。キス以外にも方法があった。そしてそれは効率よくかなり、長い期間落ち着いた状態でいられると言うこと。
でも、この方法は試す勇気は私には無いなぁー。そもそも話せない。とてもじゃないが恥ずかしい。
「なんですか、その曖昧な答えは」
「いや、あの内緒なものは内緒よ!」
「そうですか? いい方法ではあるのですね。収穫があったなら今日のとこは終わりにして、そろそろお部屋戻りますか?」
頷いて席を離れた。机の上を軽く整頓して図書館を後にした。
その後は彼のために身支度を整え本を読みながら待っていた。部屋で読む本は別の病気とは関係ない好きな本を読んでいる。
扉をノックされる音でハッとした。
いつの間にか寝てしまっていたようで、起き上がると返事もしてないが、ソッと入ってくる殿下が。
眠ってしまっていたソファから身を起こした状態で挨拶を交わした。
「⋯⋯寝てたのか? 休んでていいよ」
「大丈夫です、寝てスッキリしてるので」
「⋯⋯本当に、大丈夫そうではあるけど、休むならちゃんとベッドで休め」
そういうと、軽々抱き上げ寝台へと連れていかれてしまった。
転がされて唇を奪われ、魔力が流される。おかげで体調が良くなるのを実感した。
魔力を受け取る時は毎度の事ながら恥ずかしい。恥ずかしさに身動ぎすれば彼少し身体を離し口角を上げ楽しそうに笑っていた。これは確信犯だ。
魔力をくれるだけだったのが最近は体調面を心配したり、ちょっとした変化に気がついたり愛が重たく感じるくらいには執着されている。それが嬉しいようで怖い。
「ミラ、いい加減慣れなよキスくらい」
「⋯⋯その整った顔で見つめられたら誰もがこうなると思いますが?!」
「⋯⋯ふーん。要するにかっこいいと思ってくれている。と思っていいんだよね?」
確信を持って笑った顔で言われた。その通りなんだけど悔しい。
別の日、いつものように図書館へ向かう廊下で、久しぶりに兄とすれ違った。
普段はノアも一緒であるのに、今日は居なかった。
「おっ、今日も調べ物?」
「うん、リュカ久しぶりね」
「そうだな。いつもは殿下に阻止されているから行けないんだよ」
言葉の重さを感じる。兄にでさえ嫉妬心があるのだろうか。
たぶんもう離さない気なのだろうが、彼はこのまま行けば国王になるのだろうから王妃になる覚悟は私には出来ていない。だからこれ以上の溺愛が怖いと感じているが、私自身も溺愛には嫌だとも思っている訳でもなく、離れたくないと思ってしまっているのも事実で、病気で死ぬ運命を受け入れていた心も彼の為に死にたくないと思っているのも事実で。
今後も彼の溺愛に翻弄されながら生きていくのだろう。




