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12、決着

 何度も訪れるランカスター令嬢に納得させて貰うにはどうするべきか話し合いがなされる中、ミラローズ自身が囮になるそれがいいのではということになった。その作戦にはノアとルーカスが猛反対していたが、決行せざるを得ないことに。

 作戦の鍵となるのはクロエだ。彼女が魅了魔法にかかったフリをすること。実際は魔道具で無効化するルーカスの魔法を魔道具へ溜め込んだものを保持していてかからない。

 フリでミラの部屋へ入ってくるというのが、作戦だ。いつ来てもいいように、魔道具は持ち歩いている。ミラの部屋につく護衛達も無効化魔道具を持っており、掛かったフリをして知らせに行くのが仕事だ。

 この作戦、国王も一枚かんでる。


 なかなかタイミングは来ず、諦めたのかと思い始めた時だった。チャンスは突然訪れた。

「⋯⋯またいらっしゃったのですか。なんの御用でしょうか」

「ふふふっ⋯⋯わかっているのに聞くんですね? 何度でも言いますわ。殿下とお別れになってください」

「⋯⋯嫌です。それに私からはできないとも言いました。それは殿下に直接お話になってくださいと」

「強情だこと。そんなあなたにはこちらの薬を差し上げますわ? これはあなたの病が良くなるものですのよ、手に入れるの苦労しましたわ」

 クロエに渡したランカスター令嬢は『殺して』と魅了魔法に掛かったフリをしている命令する。彼女もコクリと頷きミラへ近づいた。彼女は隠していた同じようなものをミラへ飲むように仕向けた。もちろんそっちはただの水だ。

 ゴホッと咳き込みこれも隠していた血糊を吐き出したかのように見せかけた。そしてミラは力尽きたように倒れる。そこへ知らせを受けた、ノアとルーカスが入ってくる。

「⋯⋯ミラ! ミラローズ! 嘘だろ起きろ!」

「ランカスター令嬢。あなた何をなさったんですか」

 慌ててミラへ駆け寄る殿下。冷静に詰め寄るルーカス。冷ややかな空気が纏う。

「私は何もしてませんわ。そこの侍女ですわよ。薬を持ってきただけなのに違う薬を盛ったんだわ!」

「それでは、薬を見せてもらいましょうか。あぁ、クロエそれ見せてくれる?」

「⋯⋯はい。お持ちします」

「え? なんで⋯⋯効いてないの?! これじゃあ意味ないじゃない! 殺してと言ったのに!」

 クロエが効いていないと分かればミラは死ぬふりはしなくて良い起き上がった。そして無意識に汚れた衣服を浄化してしまう。

「あ、おい! バカ何してるんだ!魔法は使うな!」

「え、あっ。⋯⋯ゴホッ、ゴホッ」

 今度こそ本当に血を吐いてしまう。使うことはミラにとっては命を削る行為であることなのに気を取られていた。ノアの慌てた声で我に返った。

「⋯⋯っ、私が死んでも、殿下の想いは、あなたに向きませんよ。それは断言できます。私への想いは、国王陛下へも誓っていますし。そうですよね、国王陛下?」

 追い詰めるために来てくれることにはなっていた国王陛下がいつの間にか来ていたことに気がついたミラは苦しさに耐えて声を絞り出して問いかけた。

「⋯⋯あぁ、、そうですね。あんな熱く語られたらねぇ〜。ランカスター令嬢。私は貴女とお会いしたの初めてですよね? ノアの婚約相手はフォークナー伯爵令嬢ただ一人としか契約させてないはずなのですよ」

「⋯⋯⋯⋯」

「黙り込むと言うことは、合ってますよね? フォークナー令嬢に3度目となる接触に薬を盛ろうとしたと? 私としては、息子の悲しむ姿を見たくないのでそんなことさせない為に来たのですが、どうしますか、ノア」

 黙り込んでいたノアの冷ややかな空気が、何を言い出すのかとヒヤヒヤする。

 国王の問いかけにすぐには答えず、ミラへ口付けし魔力を流してから応じた。

「⋯⋯ミラへの仕打ちは許しません。王城立ち入りはもちろん、今後一切の王家への関わりを禁ずる。それだけじゃ生温い。爵位剥奪それくらい妥当かなと」

「⋯⋯ノアの決定に異論は無しと。私はこれだけ怒りを露わにする息子の決定を覆すことはしない。承認し、この国の法で裁くそれだけだ」

 追い詰められたセレナは崩れ落ちた。ここに味方は居ない。そのまま地下牢へと収監されたようだ。

 無事解決するとノア以外の者は何も言わずにサッと部屋の外へと出て行った。国王陛下だけは一言だけ言った。

「ノア、契約の件。それ終わったらでいい。ミラローズと一緒においで」

 と。その後手を振って去っていった。国王陛下の言った『それ』を済ませてから向かうことにした。それとは魔力のことだ。解決したことでノアが、ミラをソファーに押し倒し抜け出せないようにしていた。それから何するのかは皆が察したから出て行ったということだ。

「⋯⋯ノア様? みんないるのにさっきくれましたよね?」

「あんなんじゃ足りてるわけない。顔色悪いのに何を言ってんだ。もう少しあげるよ」

 ノアの顔が近づき口付けされる今度はさっきよりも多くの魔力を流し込まれる。そのおかげでミラは回復していく。満たされて、もう十分だと自分では思うくらいなのに、彼はなかなかやめようとしなかった。息が苦しくなると思うくらいのキスに顔も紅く染まっていく。

「⋯⋯んんっ⋯ノ、ァ様、もう、へいき」

 息継ぎの合間に訴えるとそっと離される。息を整えているとクスクスと笑われる。ムッとして返すと頬にキスされて「落ち着いた?」と問いかけてくる。

「はい、大丈夫です。ありがとうございます」

「うん、じゃあ行こうか」

「ま、待ってください! 国王陛下の契約の件って婚約条件のやつですよね?! 本当に解除するんですか。解除したら⋯⋯」

「ミラ、なんの心配してんの? 早く解除してもらいに行くよー」

 質問の答えになってない返答をして、ミラを抱き抱えて歩き出す。ミラを閉じ込めてた部屋の魔法も解除して、部屋を出た。そこに居たのは護衛たちだ。ちゃんと見張っていた、彼らに休憩を言い渡し、長い廊下を抱えたまま進んだ。

「⋯⋯国王陛下。よろしくお願いします」

 国王の元へやってくるとソッとミラを下ろし、扉を開けて中に入るとすぐに頭を下げた。

「ミラローズが顔真っ赤なんだけど何をしたの?」

「⋯⋯いいから、早くお願いします」

「はいはい」

 契約の魔法陣がスっと現れると国王陛下の呟くように唱えるとパンッと音を立てるように消える。これで契約は解除のようだ。そして彼らの仮の婚約関係は終わりを告げる。

「ミラローズ、これで仮の関係は解除されました。しかし、仮ではなく、本当の婚約相手に私となってください。何度でも言います、私の婚約者はただ一人ミラローズ貴女だけです」

「⋯⋯ノア様、ズルいですね。先程答えてくれなかったのに、国王陛下の前で言うなんて」

 彼のズルさに返事より先に文句が出てきてしまったミラ。しかし、彼女も彼の答えには同意したい。

「ズルくても、ミラには生きていくには俺が必要でしょ? 俺もミラ無しに生きては行けない。それだけこの仮期間で俺はミラを好きになった」

「⋯⋯ノア様、本当にズルいです。私は生きたい、一緒に生きたいです」

「⋯⋯⋯何を繰り広げてんの、目の前でそんな告白しないで欲しいね。認めてやるからさっさと出ていってくれ。もうおなかいっぱいだよ、契約は解除したんだから好きにしてくれ」

 追い出されて元いたミラの部屋に戻った。

 照れくさくて顔が合わせられない。顔を手で覆う。だが、彼によって手は捕らえられてしまい目が合ってしまう。余計に恥ずかしくて逸らそうとするが、それを阻むように口付けが降ってくる、今までは優しい魔力をくれるだけのキスだったのにそうでなくなっている。服で隠れていないところにあちこちキスされる。

「⋯⋯これで、気兼ねなく触れるな?」

「⋯なっ、な⋯⋯何する気ですか」

「ふっ⋯⋯今は何もしないよ」

「⋯⋯え、いや、もうしてるじゃないですか」

 少しスカートがまくり挙げられている。彼の行動と言っていることが伴って居ない。

「⋯⋯あぁ、そうだな笑 今はしないって」

「⋯⋯そうしてくれるといいですね、殿下。そろそろ戻ってきてくれますか?」

「ルーカス、いいとこに来やがって。というかノックでもしろ」

「しましたけど? 気が付かなかったのは殿下ですよね?」

 兄が来てくれて助かったと思うミラであった。

 全てが解決してから殿下の溺愛行動はこれだけにはとどまらなかった。

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