さよなら
まさに、激戦と呼ぶにふさわしい戦いを繰り広げていた。フロイとアストの友情から生まれる連携と、オリヴァーの卓越した技術が戦いを激化させる。
「中級魔法 テオ・ダイナ」
アストから放たれた魔法は、空気を切り裂きオリヴァーの元へ向かう。
俺も攻撃を加えて、魔法の威力を上げなければ。
「フライ・フーン」
省略魔法でも、威力をそこまで下げずに放てる初級魔法で威力を上げる事にした。
そして、合成魔法 テライ・フーナとなった魔力の塊は、オリヴァー先生に直撃した。
しかし、当たるか当たらないか、すんでのところで防御魔法を張られ受けきられてしまった。
「やるじゃないか。こうなれば、君達の魔法陣を使わせてもらおう」
魔法陣の記された紙を取り出し掌に乗せ、詠唱を始めた。
「あいつ、俺達の魔法陣を使いやがった。許せねえ」
アストは激怒し、魔法を唱える準備を始めた。
俺も怒りの気持ちは、強かった。
だが、俺達も対抗するすべがある。
それは、昨日先生に魔法陣を預けた後、実験室に戻った俺達は更なる未知の魔法陣を発見したのだ。名前は、アブソーブ。ドレインの上位互換で、今までは魔力と体力を放出するだけだった。しかし、アブソーブは放出した魔力と体力を吸収する事が出来るのだ。
では、なぜ使わないのか。それはお互い、自分だけが強くなってしまう事に遠慮しているからだ。
お互いが、お互いを大切に思っている気持ち。それが、邪魔をしているのだ。
「行くぞ、フロイ」
今は、余計なことを考えるのをやめよう。戦いに集中するだけだ。
魔法を使わず、こちらに向かってくるオリヴァー先生。おそらく、近接戦に持ち込むつもりだろう。そうなれば、ドレインが活躍してしまう。
俺達は、距離を取ろうと後ろに下がるが……
「早い!」
足の筋肉を増幅させる魔法を使っていたオリヴァー先生は、圧倒的な速度で迫ってくる。
「お前達の魔力と体力を削ってやる! ドレイン!」
俺とアストの手首を掴むとドレインを発動させた。その瞬間、体が冷えめまいがした。
そして、腹に蹴りを浴びてしまい吹き飛ばされた。
「素晴らしい。これを使った瞬間、君達が弱ったのが分かったぞ。最高だ」
そして、気分が高揚しているオリヴァー先生は更なる攻撃を加えた。
「大魔法 ヘル・テイン」
右手から炸裂した魔法は、アストに直撃した。俺と同じく壁に衝突し、動けずにいたアストの胸に直撃してしまった。
その瞬間、アストは口から血を吹きだし、体は壁にめり込んだ。
「アスト!」
俺は、力を振り絞りアストの元へ駆け寄った。胸元が、ざっくりと斬られており出血が止まらない。
「嘘……だろ? 死んだりしなよな?」
俺は、ショックで体が震えた。そして、この半年間一緒に過ごした日々が頭の中で駆け巡る。
共に笑い、競い合い、苦労したんだ。
「あれを使え、お前なら勝てる……」
そう言い残し、アストは目をつぶってしまった。
ああ。嘘だ。信じられない。いや、信じたくない。相棒が……
俺が、躊躇せずアブソーブを使っていれば運命は変わったかもしれない。
俺が、俺のせいで……
「アスト君は死んだかな? 次は、君の番だよ。フロイ君」
いや、違う。あいつが悪い。オリヴァーが、全て悪い。こいつが、悪だ。
殺す。
俺は、ポケットから紙を取り出し掌に乗せた。そして、唱える。
「アブソーブ」
すると、俺の体が震えあがり、再構築された気がした。
そして、迫りくる敵に告げる。
「オリヴァー、あんたは悪人だよ。お前は、俺が殺す」
次回で終わります




