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進学先は異世界でした ~俺の異世界学園生活記  作者: 於田縫紀
#17 海を目指して

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90/216

§90 魔力推進舟、発進

「ありがとうございました。それではこの舟、持って行きます」

 アン先輩がそう挨拶する。


「わかった。それでは運河に下ろすからちょっと待ってくれ」

「大丈夫です。こっちで下ろせますから」

 アン先輩とラインマインの二人で前後に舟を抱える。

 そのまま二人で舟を抱えて浅瀬まで言ってよいしょと下ろした。


「お嬢ちゃん、強靱種だったのかい。てっきりその格好だから長寿種かと」

「両方の血が出てしまったんです」

 そんな事をよそ行きの言葉で話しつつ、アン先輩とラインマインで小さい船着き場に船を着けた。


「さて、試運転なのだ!」

 ここからはもういつものアン先輩の口調だ。

 俺達全員が舟に乗り込む。


「あれ、櫂とかはつけないのか。どうやって動かすんだい」

「試作品の魔法動力推進なんです。それでは失礼するのだ」

 アン先輩がもやい綱をほどいて、舟に飛び降りる感じで乗り込む。

 そのまま操作卓について俺に声をかけた。


「前進、微速でいくのだ。左右声をかけるのでその時は舵を曲げてくれなのだ」

 舟はゆっくりと前進を始める。

 舵を使わず左右の推進力差で右に曲がり、そのまま加速開始。

 川幅がせいぜい四腕(4m)までなのであまり速度を出せない。

 でもかなりの速度を感じる。


「今日はお試しだよね」

「上流の公園事務所までの予定です」


 この運河の上流にはオツトヌマ公園がある。

 元々はこの街をつくる時に造った貯木場跡を公園化した場所だ。

 ここに舟を係留しておく予定だ。

 もう契約も済んでいる。

 ちなみに駐舟料は一月に正銀貨一枚(1万円)

 駐車場代だと思えばそんな物だろう。

 オツトヌマ公園からは学校まで半離程度。

 これならアルでも全然問題無い距離だ。


「なかなかこの舟反応がいいのだ。本当はもっと飛ばせるのだ」

「今日はやめて下さい」

 そんな事を言いながらあっさりと公園に到着。

 アン先輩は左右の推進力調整だけで舟の位置を調整。

 予定通りの桟橋に真っ直ぐにつけた。


「思った以上に素直に動いていい感じなのだ。これならチャーシも余裕なのだ」

「天候次第ですけれどね」

 一応釘はさしておく。

 なおチャーシというのはここから川を下った処にある海沿いの街。

 何故そんな処の名前が出てくるのか。

 それは昨日、学校の実験室で舟の推進器を造っている最中のことだった。


「これで舟が作れればカイドーもアムも皆で行けるな」

「その気になればシルダだってキョーナンだって行けるのだ」

 アルとアン先輩がそんな事を言っていた時。


「最初の行き先は念の為近い方がいいんじゃない」

 そうラインマインが発言。


「近くと言えばチャーシはどうでしょう。海鮮料理が美味しいと評判ですわ」

 ヘラがそんな事を提案。


「海鮮料理って言うと、魚とか貝とかかな」

「新鮮な魚を生で食べる料理ですわ。ご飯と食べると本当に美味しいんです」


 そこでつい、俺が余分な事を言ってしまった。

「そう言えば釣りってこの国ではやるのか?結構面白いと思うんだけどさ」


 日本では父や父の友人と一緒に年数回海で釣りをしに行っていた。

 サビキ釣りだけれどそこそこの大きさの魚も釣れた憶えがある。

 そんな話をついしてしまったのだった。


「その釣りってそんなに簡単なのか?」

 アン先輩に言われるがままに道具とか釣り方を説明。

 その話に皆さんが乗ってしまった。

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