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進学先は異世界でした ~俺の異世界学園生活記  作者: 於田縫紀
#17 海を目指して

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§89 全員移動できる手段・開発

 勿論夏休みは技術研究会の面子と遊んでいるだけでは無い。

 そう言いたいところだけれど夏休みが半分以上過ぎた今、考えてみると技術研究会の面子と遊んでいるだけの様な気がしてきた。

 シルダへ行って、アムへ行って、自転車と乗り物を直して髭剃り開発して。

 そして今日は舟を造ろうという話だ。

 やっぱりいつもの技術研究会の面子で。


 ちなみに他の一年生は

  ○ 実家に帰るが半数

  ○ 俺達と同様課外活動で遊ぶが二割

  ○ アルバイトが一割

  ○ 補習授業が一割

 あとは個々の事情という感じだ。


 アルバイトは食堂や店での仕事が多い。

 従業員や店主が夏休みをとる間、代わりに仕事を手伝うという感じ。

 次に多いのが家庭教師。

 上位中を目指す子相手より中級学校へあと一歩という子相手の方が多いらしい。


 上位中に通うといえど親の収入階層は様々。

 授業料や教科書等の書籍代、寮費、食事等最低限の物は国費で出る。

 でも普段の服装や休日の食事等は自費だから、やっぱりある程度はお金が必要。

 技術研究会の皆さんは比較的裕福な家庭ばかりなので苦労していないけれど。


 さて、この国のある程度の大きさの街には大体運河が存在する。

 都市を造る際の木材の運搬に使用し、以後も建物の維持等で木材を運搬するのに使用したりする訳だ。

 何せ木材は重くて大きい。

 荷馬車で運ぶのは効率が悪いのだ。

 だから運河も定期航路が無いけれどそれなりに整備されている。

 まあ普段は滅多に船も木材も通らないし、そこそこの川程度の細さだけれども。


 さて、俺達はそんな運河沿いのある木材工場へと向かう。

「すみません。アンですが、出来あがったと伺ったので参りました」

 アン先輩がそう声をかける。


 舟を造ると行っても一からでは無い。

 河川や運河等を運航できる舟や船は国で規格が決まっている。

 更に製造・補修等も国の認証工場でやることという法律もある。

 勝手に作る事は出来ないのだ。

 そんな訳で俺達はここに小弐サイズ、長さ五腕(5m)一腕半(1.5m)という舟を発注した。

 俺達六人と荷物が乗れる最小サイズの舟だ。


「ああ、そこに出してある。最後の艤装はそちらですると聞いているから。確認の上作業してくれ」

「ありがとうございます。それでは代金を先に」


 価格は中古を修理した物で、かつ数が出ている普及サイズなので安い。

 正金貨一枚(10万円)金小貨一枚(5万円)だ。


「ああ、確かに受け取った。それじゃ出す時は呼んでくれ」

「わかりました」


 そんな訳で舟の改造を開始。

 この船は帆走手漕ぎ併用の舟から帆走装備や櫂等を取り払った状態にしてある。

 その代わりに魔法で動く駆動機関を取り付けるわけだ。

 そのメインになる推進器は学校で作って持ってきた。

 形としてはカヌー用の大型アウトリガーのような代物だ。


 推進器のメインは三腕(3m)位の長い木製の四角いパイプ。

 この内側に加速の魔方陣と高熱の魔方陣がそれぞれ仕込んである。

 それぞれの魔方陣は銅線で魔法が通せる様になっている。

 ここに魔力を通すと水が加速してパイプの中を通り、一部が熱の魔方陣で沸騰。

 勢いを増して後方へ水を噴射するという仕組みだ。

 なおパイプの中も真っ直ぐでは無い。

 沸騰した水が逆流しにくい様一部細くしてあったりする。

 また熱を使わなければ加速魔方陣の操作で逆噴射も可能だ。


 このパイプを舟の左右に取り付け、魔力導線となる銅線を船の上まで持ってくる。

 魔力導線は舟の先頭に設置した操作卓に接続

 ここでアン先輩なりメルなりアルなりが魔力を通して船を前後進させる訳だ。

 操舵は後方でまた別の人が舵を操作するという仕組み。

 シルダ行きの高速船ほど複雑な機構は無いけれど、波が穏やかな河川や湖程度なら充分これで動けるだろう。


 これで全員で苦労せずにあちこち移動できる。

 サカイまで必死に歩いたり自転車二人乗りする必要も無い。

 なにせラインマインの自転車の後席、相当に怖いらしいから。

 メルもヘラも寿命が縮まると言っていたし。

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