#16 ある便利道具の顛末
四半刻もしないうちにいつもの面子が勢揃いした。
ラインマイン、メル、ヘラはもとよりアルもちゃんと来ている。
多分メルから呼び出されたのだろう。
なおその前にアン先輩はいくつか髭剃りの試作品を追加で造っている。
追加分は刃の長さが若干短く小型。
何故その辺を造るのかは教えてくれなかった。
全員が集まったところで。
「それではちょっと女子だけで会議をするのだ」
そうアン先輩が宣言する。
そんな訳で俺とアルは隣の実験準備室へ。
「会議が終わったらこっちから開けて呼ぶのだ」
そんな訳で狭い準備室にアルと二人という状況になる。
「それにしても何なんだ。アン先輩が呼んでいるって聞いたんだが」
「今日は髭剃りを開発しただけだぞ」
そんな訳で今までの状況を説明する。
「理解した。確かに髭剃りはそれなりに需要があると思う。でも女子だけで相談する必要は良くわからない」
「そもそも女子って髭が生えないよな」
「僕もそう思う」
ひそひそと男子二人で会議。
でも俺とアルでは女子だけ会議の意味はわからなかった。
「終わったのだ」
アン先輩のその言葉で元の実験室へと戻る。
「さて、これからが大変ですわ。男性用、女性用ともにカイドーへ送りませんと」
「何なら自転車二人乗りで行けるよ。カイドーくらいなら一刻かからないでつくだろうし」
「お願いしますわ。早いほうがいいですから」
女性用?
何か新しく開発したのか?
そんな事を言う間も無くヘラとラインマインは出ていく。
自転車そのものはあの後アン先輩により完全に整備されたから問題無い。
でも女子陣がそこまで急ぐ理由もよくわからない。
「まあ深く追求しないことなのだ」
アン先輩は僕らにそう言うけれど、何を追及しないのかも不明。
色々わからないままその日は解散。
俺には販売まで他の人には見せない様にという注意と共に髭剃り試作品一本が渡された。
◇◇◇
髭剃り及び女性用は二周後、大々的に販売された。
刃が切れなくなると何割かの値段で新品等へと交換というサービス付きで。
回収した髭剃りはアン先輩の様な魔法使いが魔法で刃を付け直した後再販。
これとの交換だと新品交換より更に安い。
販売はカイドーだけで無く、色々な街で一斉に行われた。
当然カウフォードでも大々的に販売開始。
カミソリの刃の再販システムも当然取り入れている。
交換システムまで含んだ販売なので相当に儲かりそうだとはヘラからの伝聞。
そして女性用が何を意味していたのかも判明した。
風呂であられもない姿でムダ毛を剃っている女子生徒の姿で。
なるほど、女性のムダ毛処理用にも使える訳か。
納得と共に多少の後悔。
何せ今まで以上に問題のある光景だったりする訳だ。
皆さん色々気にしていたんですねなんて恐ろしくて言えない。
まあいいか。
多くの人々の役に立ったんだ。
色々気にしないことにしよう。
そう思いつつこそこそと風呂を出る。




