§77 自転車、復活!
更に小物類も持ってくる。
小物は実験室内の流しで洗えるから大丈夫。
俺、メル、アン先輩の見立てでは水洗いして駄目な物は無さそうだった。
そんな訳で流しでガンガン洗いまくる。
洗った後はさっと雑巾で拭いて、あとは実験室の机上に置いて乾かしておく。
何せ本来は一クラスで使う実験室だ。
物を広げておける机はいくらでもある。
一通り洗い終わったらお待ちかね、判定と修理の時間だ。
「さて、どれから行くのだ?」
「ならこれ、原理も簡単だしアン先輩なら修理可能だと思う」
俺が真っ先に提案したのはあの自転車だ。
洗った結果、タイヤもそれほど痛んでいないしサビも少ない事が判明。
アン先輩の魔法なら簡単に直せそうだ。
「それは直るのか」
アルが興味津々という感じで尋ねてくる。
「見た限りでは大して痛んでいない。それにこれの構造そのものは簡単だ。それに直るとなかなか楽しい。人力だけれどそれほど体力を使わずに二十離刻位の速度で走れる」
「それはなかなか楽しそうなのだ」
そんな訳で修理を開始。
「この乗り物の原理は簡単だ。この部分に腰をかけてここのクランクを足で回す。そうすると力がここを伝わって、後の車輪が動く訳だ。なおギアが幾つもあるのは変速用。坂を登る時とか速く走る時など、それぞれギアを変えて漕ぐ重さを調節することが出来る」
「それで直す場所はどことどこなのだ?」
アン先輩に説明しつつ色々直して貰う。
パンクしていたタイヤはチューブ、タイヤともに傷を直し空気を充分に入れる。
ギアはサビを落として粘度高めの油を塗っておく。
ワイヤーも同じ。
後は工具でギアやブレーキの調整をすれば完成だ。
ほぼ一刻かかったが、出来は上々。
思わず笑みが浮かんでしまう。
「ホクト、良く知っているのだ。これの専門家が知り合いにいたのか?」
「前にいた世界では一人一台くらいは持っているメジャーなものなんだ。安い物だとここの値段で正銀貨二枚程度で売っていた。これはもっと高い高級品だけどさ」
「それで早速試してみたいのだ」
「なら外の方がいい。屋内ではちょっと危ないし狭いしさ」
自転車を引っ張って皆で外へ。
そこそこ下が固まっている学校内の歩道で復活した自転車にまたがる。
「それでは見本として使ってみる」
ペダルを漕ぐとあっさりと前に進んだ。
下が舗装道路では無いのでギアは軽めで。
うん、久しぶりだけれど走り心地は快調。
本当は舗装してある街道を吹っ飛ばしてきたいのだがそれは我慢。
百腕程の距離を往復したところで自転車から降りる。
「こんな感じだ。ここは下が地面なので本来の速度は出ないけれど。街道のような舗装道路ならもっと早くて快適な筈さ」
「それにしても何故倒れないの。支えが無いから右か左に倒れそうだけれど」
「その辺は慣れだな。まあ一日位練習すれば誰でも乗れるようになる。
「試してみていいか」
「ああ。でも最初は結構練習しないとのれないぞ」
でもアルが試したくてうずうずしている感じだ。
なので渡してやる。
案の定、皆さんほとんど最初は乗れない。
ただラインマインは転ぶ前にスピードを出す技で最初から乗りこなしに成功。
パワーと反射神経で無理矢理乗っている感じだが無茶苦茶速い。
舗装もしていない土の上をオートバイまがいの速度でぶっ飛ばす。
「これいいね。これならアムへ楽に日帰り出来そう」
「速度を出しすぎると急に止まれないから注意しろよ」
一応それだけは言っておこう。
さもないと交通事故が怖い。




