§78 次は魔法な乗り物修理
「さっきの自転車とやらはホクトとラインマイン専用という感じなのだ。だから次はこっちの乗り物を修理するのだ」
あの魔法文明の乗り物と判断されたものだ。
「これは修理方法等はわかるのか?」
「修理が必要なのは三箇所。まずはこの付近、魔力の流れが切れている。次はここ、増幅が上手く動いていない。そして一番難しいのがここ。魔方陣に欠損がある」
「まず簡単な方から調べるのだ」
そんな訳で魔力の流れが切れているという場所から。
ここは単純に銀線が一本切れていただけ。
アン先輩の魔法であっさり直る。
次は増幅機の故障。
「うーん、これは何処かで見た事がある造りなのだ」
アン先輩やメルは機械内部に隠れている部品でも魔法で自由に見る事が出来る。
でも俺達は残念ながらそういう技を持っていない。
つまり分解できなければアン先輩頼みだ。
ただ何処かで見た事があるというと思い当たる物がある。
「前にここで直した増幅機か、あとはメルが持っている増幅付き魔法杖ですかね」
「ちょっと待って」
メルが自分のカバンをごそごそして、その両方を取り出す。
「参考になるなら」
アン先輩は杖ではなく増幅機の方を手に取った。
「正解なのだ。この増幅機と同じ構造なのだ」
そう言って双方を見比べている様子。
「ここは共鳴装置の調整だけで大丈夫そうなのだ」
残りは一箇所。
アン先輩はいきなりペンを持って何かを描き始めた。
二重円に様々な紋様がついた図柄。
これは魔方陣だ。
「こんな感じの魔方陣が描かれているのだ。でも一部この辺りが消えているのだ」
図柄の一部に何か模様が無い場所がある。
先輩はそこを丸で囲んだ。
「この部分を完成させれば修理完了の筈なのだ。でもこの魔方陣は私が見た事が無いタイプなのだ。メルかホクト、何かこれに近い感じの魔方陣に心当たり無いなのか?」
レマノの知識にはこの形の魔方陣は無い。
元々血統遺伝系統の魔法使いは魔方陣とか外部的な補助をあまり使わないのだ。
だから知っているとすればメルなのだけれども。
「多分、儀式魔術の高等魔方陣のひとつ。でも細部までは私も憶えていない。それにこの魔方陣は単独で使わない。似た魔方陣を組にして協調して増幅するタイプ」
「なら回りの似た位置にある似た魔方陣を描き出してみるのだ」
「でも細部は私はわからない。何か資料が必要」
資料というと……
「シルダで買った本を持ってくる。参考になることが書いてあるかもしれない」
「僕も持ってこよう」
アルもそう言えば魔術の本を買ったんだった。
「頼むのだ。この手の儀典魔術は間違えるととんでもない効果が出ることもあるのだ。だから出鱈目は試せないのだ」
そんな訳で俺とアルはひとっ走り寮まで本を取りに帰る。
◇◇◇
そんな訳で俺が本三冊、アルが本四冊を持ってきた。
「メル、この魔方陣はどういう目的で使うかわかるか?」
わかれば索引で調べられる。
「変調と位相制御。ただ現在はあまり使われない儀典魔術。正確な用途は不明」
詳細は不明か。
取り敢えずそれらしい項目を調べてみる。
残念ながらヒット無し。
一頁ずつ見ていくしか無さそうだ。
なおアルの本は代わりにメルが調べている。
アル本人は寮への往復で急ぎすぎてちょっとお疲れ状態。
この辺の体力の無さはまあ体質的にどうしようもない。
それにメルの方が今の時点ではアルより魔法に詳しいし。




