§66 ちょっとした俺の野望
そんな訳でサンドイッチをいただく。
うん、間違いなく美味しい。
特にハムチーズは最高だ。
でも野菜を挟んでいる奴は少し惜しい。
そう、アレが欲しいのだ。
そんな訳でちょっと相談してみる。
「大変申し訳ないのですが、ここには生で食べても大丈夫な卵ってありますか」
「産みたてを魔法殺菌したものがある。何かまた面白いものがあるのか」
ラインマインのお母さんの視線がちょっと怖いけれど、ここは相談だ。
「卵の黄身をよくかき混ぜて、酢をちょっと入れ、あとはかき混ぜながら植物油を入れていくと白く固まるんです。ちょっと酸っぱいけれど生野菜に合う調味料なんです。マヨネーズって呼んでいました」
「それなら材料はすぐ揃うな、どれ」
ささっとラインマインの父が消える。
ラインマインの視線がちょっと怖いというか申し訳無い。
「ごめん、ついちょっと出来心で」
ラインマインに小声でそう言うと。
「用意できたぞ!」
お父さん、早い!
そんな訳で黄身を混ぜ、酢をちょっと入れて更に混ぜ、そして油を少しずつ加えながら混ぜる。
それにしてもお父さんのかき混ぜる手つきと速さが尋常で無い。
単なる菜箸でかき混ぜているだけなのに電動泡立て機並の威力だ。
油を黄身の三倍ちょっといれたところで、いかにもマヨネーズという感じで固まった物体が出来た。
「これでいいのか」
「ちょっと味見させて下さい」
パンにつけて食べてみる。
うん、だいたいこんなものだ。
「これでほぼ完成です。後はお好みで塩とか香辛料とか加えてみて下さい。そしてこれをこういうサンドイッチにつけて、食べます」
野菜とパストラミ、チーズが入ったサンドイッチを開いて塗ってかじる。
そうそう、この味だ。
「やってみて下さい」
そんな訳で最初はお父さんが野菜メインのサンドイッチに挟んでみる。
食べた後ちょっと考える様な感じで。
「新しい味だ。酸っぱいけれど酢がきつく無い。むしろ食べやすい感じだ。面白い」
「チーズと同じようにつけた後焼いてみても面白いですよ」
「その前にこれでは足りない。もう少し作ろう。あとちょっと塩を足してみよう」
そんな訳で第二次試作。
ラインマインとお母さんの視線がやっぱりちょっと怖い。
そしてお父さんの手つきは相変わらず人間離れしている。
あっという間にコップ一個分のマヨネーズが完成。
「あ、こっちの方が美味しいですね。塩がこんな感じに利くんだ」
「あとほんの少し酢を増やしてみた。こっちの方があうだろう」
「そうですね。それでは皆の分も試食分作りましょうか」
「そうだな。任せておけ」
そんな訳でサンドイッチを改良してマヨネーズを中に仕込んだものを作る。
全員分に切って分けて試食会。
「うん、知らない味だけれど……後をひくのだ」
「サラダのドレッシングをかけた状態をパンの上に出したより更にあっている」
「確かにこれは美味しいかもね。生卵と油なのに何かさっぱりした感じもするし」
「日持ちしそうにないのが悔しいですわ。生で食べられる卵もあまりないですし、ここで作るのを食べに来るだけになるのでしょうね」
結構これも好評だ。
ちなみに俺も非常に満足だ。
別にマヨラーだった訳じゃ無い。
でもやっぱりサンドイッチの野菜にはマヨネーズが似合う気がするのだ。




