§60 俺、魔法を使う
「なら試してみます。消化促進プラス糖分脂肪吸収抑制排出!」
ちなみに効果範囲指定可能なので俺達三人が入るように調整。
この辺はレマノの知識のままやるだけだ。
そして効果は。
「お、腹が減ってきたのだ」
「本当だ」
俺も一気に空腹になった。
成功らしい。
「凄いなホクト、本当に魔法も使えるんだ」
アルにそう言われるとちょっと申し訳無い気分になる。
「魔具屋で言われた通りさ。やり方はわかるんだけれど魔力が無い。だからアン先輩に魔力を充填して貰わないと使えないんだ」
「でもその魔法、普通の魔法じゃ無い」
メルがそう指摘。
そうなのか。
レマノの知識にあったから、てっきり普通の魔法だとばかり思っていた。
一方アン先輩はニヤニヤ顔だ。
「ホクトの魔法が誰の魔法か、今のでよーくわかったのだ」
そう言えばアン先輩、レマノのことを姉と呼ぶ位親しいんだった。
まずいかな。
「ただ基本は対人治療魔法の変形だから、メルも憶えようと思えば憶えられる筈なのだ。あと魔力使用量は標準魔法程度だからアルも慣れれば憶えられるのだ」
「本当か」
アル、真面目な顔でそう聞かないでくれ。
アン先輩はにやにや笑いのまま続ける。
「その魔法を開発した本人を知っているのだ。開発理由も簡単なのだ。本人は今でこそスマートだが昔は太めでその事を気にしていたのだ。それで……」
一気に寒さを感じた。
急に現れた白いキラキラは空気が急冷されて出てきた氷の粒。
これは、まさか……
「本人がそれ以上言うなと言っているようなのでここまでなのだ。ただ魔法そのものは後でホクトに教わればいいのだ」
レマノが冷却魔法で警告した模様だ。
そう言えば前も爆発音で警告されたような。
相変わらず距離その他完全無視で洒落にならない。
「まあそんな訳で、取り敢えず夕食の時間なのだ」
そんな訳でその話はひとまず終わり、食堂へ行く事になった。
◇◇◇
夕食はビーフシチューで結構美味しかった。
そして部屋へ帰ってきて、別の問題に気づいた。
「随分荷物が増えたよね、私達」
俺は中では一番少ない。
杖と魔力ライトと本三冊。
魔具屋で買った材料類は着替えと一緒に仕舞える程度の量だ。
アルは他と比べると少ないけれど自分で背負うには少々きつい。
図書館で買った本がずっしりと重いからだ。
アン先輩は薄い本が入った箱と魔法杖。
白衣は着替えと一緒に入る程度で、他にアルの本を代わりに持っている。
まあ重いけれどザックが大きいし、強靱種だからこれくらいは大丈夫だ。
問題は他の女性陣。
衣服やアクセサリーが随分と増えている。
「包装を外して少しでも小さくなるよう荷造りしないとね」
「港からカウフォードまでが辛そうですわ」
「買いすぎて反省している。後悔はしていない」
そんな感じで怪しい魔法の話は取り敢えず出なかった。
俺的にはちょっと安心。
ただ女性陣の荷造りが結構大変な模様だ。
どうなることやら。




