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進学先は異世界でした ~俺の異世界学園生活記  作者: 於田縫紀
#10 魔法の街シルダ(2)

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§59 自由時間の無駄遣い

 結局その後、俺達三人は食事をしただけで終わってしまった。

 理由は簡単。

 がっつり食べるところが無いか探して発見したのが、バイキングの店だったのだ。


『北の台所~ステーキや魚の冷製からデザートまで何でも食べ放題!ランチタイムサービス中!お一人様銀小貨一枚(2千円)、追加料金一切無し!』

 そんな看板の店に引っかかってしまったのである。


 宿ではまだ出ていない湖産サーモンの刺身とかローストビーフとか。

 更には炒飯みたいなものからロブスターまで。

 チーズたっぷりオムレツだって無茶苦茶美味しい。

 宿の朝食バイキングとはボリュームが全然違う!

 開放感からとにかく色々食べまくりデザートまで手を出した結果。

 アルも、アン先輩も、そして俺まで撃沈してしまった訳だ。


「確かに美味かった。食べた事が無いものも一杯あった。僕の行動に間違いはなかった筈だ。うっ」

「喋るななのだ。体力は全て消化に回すのだ」


 俺は喋る余裕も無い。

 口を開けたら逆流しそうな状態だ。

 現に喉までは何度も何か上がってきている。

 屋内商店街から外に出る。

 万が一の場合、屋内より被害が少ないだろう。


「道は大丈夫か」

「まかせろなのだ」


 勿論俺はわからない。

 アン先輩をたよりによろよろと歩く。

 途中噴水広場のベンチで半刻くらい休憩したが何とか宿まで到着した。

 三人倒れ込むように寝部屋で横になる。


「シルダでの最大の思い出が食べ過ぎになりそうだ」

「若さ故の過ちなのだ」


 そんな訳で横になったりちょっと起きたり。

 寝ていると口まで逆流してきそうになるし起きていると腹が辛いし。


「魔法で何とかならないんですか」

「生体相手は苦手なのだ」

 そうですか。

 数刻が無駄に経過し、何とか落ち着いて座ることが出来るようになった頃。

 ようやく女子三人組が帰ってきた。


「あれ、どうしたの三人とも?」

 この場合真っ先に必要なのは質問では無い。


「メル頼む。消化吸収促進の魔法」

「わかった。仕方無い」


 すっと楽になった。

 ああ、この魔法さえあれば。

 そう思って気づく。

 待てよ、俺、消化吸収促進の魔法、かけ方そのものは知っていたよな。

 レマノはアン先輩と逆で対人魔法が得意なようだし。

 だったらアン先輩に例の魔法杖に魔力を充填して貰えばよかったのか。

 ああ、もう少し早く気づけば良かったのだけれど。


「もうすぐ夕食だよ。大丈夫」

 まだ夕食が入る程にはお腹の中が軽くなっていない。

 よし、使ってみよう。

 俺は自分のザックから昨日買った魔法杖を出す。


「大丈夫、でもその前にアン先輩にお願いがあります」

「何なのだ」


「魔法の充填をお願いします」

「お安いご用なのだ」

 アン先輩は杖を受け取り、軽く目を閉じて、そしてまた目を開ける。


「これで満タンなのだ」

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