§49 今度は屋内商店街
「二人を大分待たせてしまったのだ。誠意を見せて少し急ぐのだ」
そんな訳でアン先輩を先頭に小走りで向かった先は食堂風の建物。
中で見るからに不機嫌な二人組がデザートをつまんでいた。
「遅い!」
そう言うラインマインとメルに取りあえず頭を下げる。
「悪い。つい夢中になって見ていたら思ったより時間がかかった」
「五刻」
えっ。
「そんなに待たせたか」
アルも驚いた様子。
「私達が出るまで二刻。ここで待った時間が三刻」
メルがあくまで冷静にそう指摘。
つまり博物館の中に五時間いたという事か。
決して大きくはない博物館なのに。
「まあいいけれどね、ここのメニュー美味しかったし」
ラインマインの台詞。
二人の前にあるのは一見ケーキっぽい食べ物だ。
「どんな食べ物だったんだ」
「シルフレって言うの。甘くて薄いクッキーを何枚を使ってクリームを挟んだもの。外側はまた別のクリームでコートしていて、縦に切っていただくの」
「ここのこれは絶品」
確かに美味しそうだ。
「私も注文してみるのだ」
「もう食べる時間は無い。この後はバザールを回る」
メルがにやりと笑ってそう告げる。
待たせた仕返しというところだろうか。
「いいじゃない、お菓子一個食べるくらいは」
「時間が無い」
ヘラにもそう言って押し通す模様。
仕方無いな。
そんな訳で店を出て今度はメルを先頭に歩き始める。
いくつかの角を曲がった後、大きい建物へ入った。
「ここは?」
やたら長い廊下の両側に店がずらっと並んでいる。
廊下の向こう側が冗談じゃ無く見えないくらいに長い。
「屋内商店街。寒さが厳しい冬でも買い物が出来る」
なるほど、確かに便利だな。
「ここで買ったものは持ち帰れるのか」
「ここは住民と旅行者双方が使える商店街。ここにあるものは基本的に大丈夫。でも大量買い付けは駄目」
「残念ですわ」
ヘラ、しっかり釘をさされているなあ。
そんな訳で端から見て回る。
「これは?」
「魔力充填型携帯灯具。魔力を充填すれば十刻以上持つ」
値段は銀半貨か、結構高いな。
「取り敢えず全部見てから買うかどうか決めるのだ」
という事はアン先輩、今のを欲しいと思った訳だ。
確かに便利だし、うちの会費を使えば色々買っても大丈夫だけれどさ。
そんな感じで色々見て回る。
微妙に見覚えのある物もあった。
「メル、これはひょっとして、なのだ?」
アン先輩が小さい棒状の道具風のものを指して尋ねる。
俺もそれには見覚えがある。
「正解。ホクトとアン先輩が直したあの魔法制御具。ここで売っている」
これも値段は銀半貨だ。
「あれ、メルちゃん。帰ってきたの?」
店のおばさんはどうもメルと顔見知りの模様。
「まだ学校。今は夏休み」
「どうせなら寄っていらっしゃいよ。お友達も一緒に」




