§48 なかなか楽しい博物館
博物館はなかなか面白い。
魔法と言ってもレマノの知識とはかなり違う。
何せ展示のはじめは鉱工業からだ。
例えばたたら等の方法でやっていたと思っていた金属の精錬。
ここでは魔法を使うことによってより効率のいい製法で作る事が出来るらしい。
巨大なパネルと模式図、そして模型で詳しい説明が記してある。
操業そのものはシルダから北へ四十離ほど行った山中でやっているとのこと。
理由は不純物から人体に有害な物質が出るためだそうだ。
だから有害な煤煙や有毒成分を含んだ水が人家のある方へと行かない場所で行っているとの事。
銅や鉄を量産しているほか、他の金属も少量生産しているようだ。
鉄鉱石、銅鉱石、石炭等も西側の山中に露天掘り出来る場所があるとのこと。
更に鉱石の運搬等用に馬車鉄道まで作られているらしい。
ここに限っては鉄は豊富に使えるらしいから。
その辺は魔法都市であるとともに近代工業都市でもあったりする訳だ。
間違いなく島内で文明水準は一番進んでいる。
「私の知っている魔法と大分違うのだ」
アン先輩の感心したような台詞。
無論アルは全ての展示や説明にひっつくようにして色々確認している。
ヘラは時々何かを数えるように指を折り曲げたりしてはため息をつく。
これを持ち出せたらいい稼ぎになるのに、と考えているのに違いない。
暇そうなのはメルとラインマイン。
メルはきっと何度もここに来たことがあるのだろう。
そしてラインマインの興味を引きそうなものはここには無い模様。
「何ならメルとラインマインで別の処に行って待っているか?」
何せ俺を含んだ他四人が人一倍時間をかけて見ている。
メルはちょっと考えた後、頷いた。
「そうする。アン先輩がいれば一応大丈夫な筈」
「了解なのだ」
そんな訳で四人だけでじっくり見ると更に進みは遅くなる。
次の部屋は儀式魔術の方法論とか道具等の展示が中心。
この辺は一般的にイメージするところの魔術に近い。
魔方陣を描いたり道具を使ったりして祈るアレだ。
ただ面白いと感じる事がひとつ。
ここの魔術は宗教とは完全に離れた技術の一つという考え方らしい。
呪文にも神や悪魔の名前等は一切入っていない様子。
それがここでは当たり前のようだ。。
これくらい技術的なものなら俺も使えればいいのにと思う。
でもここの魔法もやはり魔力が無いと使えない模様。
ただ簡単な魔法なら術者無しで使える道具もあるらしい。
事前に魔法使いに魔力を道具に充填して貰い、その魔力を使うという方法論だ。
あの宿で使っていた照明もそのひとつ。
寮にある常夜灯もこの一種だが長期間持つように魔力消費を極端に抑えている。
だからあれは暗いらしいのだ。
他に通信機みたいなものもある。
更に魔法文明の言い伝えや未だに解明されていない技術のコーナーもあった。
俺達がシルダへ乗ってきた船も理論未解明の魔法機械を使用しているらしい。
まだ動かずに解明も出来ていない魔法機械も色々あるとの事。
「ああ、この技術で交易船が何隻か作れれば」
ヘラのため息が聞こえる。
「うーん、この辺の色々を学校に持ち帰って分析したいのだ」
アン先輩のそんな台詞も。
「まだまだわからない機械が山ほどあるじゃ無いですか」
「ほとんどはホクトにもメルにもわからなかった機械なのだ。また新しいのを手に入れて研究したいのだ」
確かにほとんどは僕とメルが確認したな。
直せるような物はもうほとんど残っていない。
「実際にやらないで下さいよ」
「残念だがここは警備がしっかりしているのだ」
なるほど、魔法を使えるからその辺はよくおわかりという訳か。
そんな感じで最後までじっくりと四人で見て回った。




