§45 シルダ到着
気がつくと大分明るくなっていた。
朝の光が明かり取りの窓から見えている。
「うう、ううー」
ヘラの小さなうなり声が聞こえる。
見るとラインマインが今度はヘラの上に乗っかっていた。
やっぱり寝相が悪いな、こいつは。
コーン。
一の鐘が鳴らされた音がした。
音が小さめなのは乗客が寝ている事を想定しているのだろう。
取り敢えず枕元に置いておいたクッキーと例の乳清飲料をいただく。
うん、やっぱり美味しい。
そんな事をしていたらアン先輩が起きてきた。
水筒寄越せという感じなので渡してやる。
先輩は思い切りよく飲んで小さな声で言った。
「うーん、朝の一杯は美味しいのだ」
「あとどれ位で着くかわかりますか」
全て魔法アナウンスなので魔法が使えない俺にはわからない。
「つい今、あと半刻で到着というアナウンスがあったのだ。メルもそろそろ起きてくると思うのだ」
言っているそばからメルが身を起こす。
「その通り。だから皆を起こす」
そんな訳でメルはまずアルの方へ。
なら俺はラインマインから起こすとするか。
「必要無い」
メルはそんな事を言う。
どうするのかな。
飲み物やクッキー等を片付けながら様子を見る。
メルはアルの出に軽く触れて、次に同じ事をヘラとラインマインに。
「お、もう到着か」
「そうみたいね。ちょっとラインマイン、襲わないでよ」
「ごめん、寝相が悪いって自覚はあるんだけれど」
あっさり三人とも起きてきた。
これも何らかの魔法だな、きっと。
他の集団も荷物を片付けたり、降りる準備を始めている。
俺達も同様に船を出る準備を始めた。
◇◇◇
家の様式が少しカウフォードと違う。
どっちも木造だけれどカウフォード等は柱と板という作り。
こっちはログハウスという感じだ。
窓もカウフォードは掃き出し窓が中心だけれどこっちは小さい窓。
その分庇も短い。
「寒さにあわせた作りなのかな」
「アムもこんな感じよ」
そうなのか。
でもよく考えたら俺、この国の一般的な家自体に住んだことが無い。
知っている居住空間はカウフォードの寮とカイドーの宿だけだ。
メルは勝手知ったるという感じで歩いて行く。
「メルはこの街詳しいの?」
「生まれ故郷。問題無い」
羨ましい限りだ。
俺など良く知っている街すら気を抜くととんでもない場所に行ってしまう。
本来カウフォードは計画都市でわかりやすい筈。
それでも時々場所がわからなくなるのだ。
港から割と近くの大きい建物にメルは入っていく。
本当に勝手知ったるという感じで。
「ここが宿?」
「そう」
メルはフロントらしきところで二言三言話してこっちを向く。
「部屋も食事も用意出来ている。まず部屋で荷物を下ろす」




