§46 朝食はバイキング
部屋は広くてなかなか豪勢だった。
俺達が借りた区画にあるのは二部屋。
一部屋は分厚くてクッション性のある敷物がしっかり敷いてある。
メルの説明ではここは寝室、ベッドでは無く床に布団を敷いて寝る方式とのこと。
もう一つの部屋はやはり布製の絨毯と座卓。
窓は小さいが明るい部屋だ。
部屋の壁際に光を放つ何かがあって、部屋全体を照らしている。
「明るいな、これ」
「照明魔法。魔力を充填すれば二日くらい持つ」
「これがあったら色々便利ですわね」
「作れる数や材料が少ない。だからシルダから出せない」
「そうか、残念だわ」
ヘラ、絶対商売のことを考えただろう。
皆そう思っているだろうしきっと正解。
他にも専用のトイレとか風呂もある。
「次は食事」
メルにせかされ、荷物を置いて廊下へ。
所々に例の明かりがある廊下を歩いて広い部屋に出た。
お盆を持った人々がお皿に御飯を盛ったりおかずを盛ったり自由にしている感じ。
これってもしかして朝食バイキングだろうか。
「ここは自分で好きな物を好きなだけ取って食べる形式。でも取り過ぎて残すと罰金になる。何回取りに行ってもいいから、少しずつ取ってくるのが正解」
やっぱり朝食バイキングだ。
「いいわね。じゃあ早速挑戦!」
「なのだ」
強靱種二人がまっさきにお盆を取りに飛んでいった。
まあ朝食がまだだったしお腹も空いているのだろう。
「あ、ここ、パンが置いてあるよ」
えっ。
俺の他にもパンの知識を持ち込んだ人がいるのだろうか。
全員でぞろぞろ見に行ってみる。
確かにパンだ。
しかも前に見たカンパーニュ風だけでない。
クロワッサン風とかフランスパン風とか食パン風まであった。
各メニューに着いている小さな説明書きをささっと読む。
『この食べ物はアムで開発された小麦製品でパンと言います。この宿の朝食の名物です。毎夜アムから出来たてを送って貰っています。軽く焼いてバターやチーズを塗って食べるのがお勧めです』
「ラインマインのお父さん、色々手を広げているんだな」
「そう言えば新たにパン工場を作ったって手紙にあった」
凄いなそれは。
なお七輪風のものがあってそこでパンを焼けるようになっていた。
誰かが焼いているらしい食パンも乗っている。
これは久しぶりに地球の洋食風朝食をするべきだよな。
そんな訳でソーセージ、ベーコン、卵、それに生野菜類を盛り合わせてみた。
パンはフランスパン風を斜めにカットした物三点に、スライスチーズをのせて。
更にクリームスープっぽいのも添えて雰囲気はいい感じ。
あとはコーヒーが欲しいけれどこの国には無さそうだ。
うん、かなり地球の洋風朝食だなと気分良く座席の方へ。
既にメルは席に到着していた。
カンパーニュ風のパンをカットして、バター、チーズ、ハムを挟んだもの五点。
更にあの乳性飲料まで持ってきている。
「それってこの前と変わらないような気がするけれど」
「これが美味しい」
そうですか。
他の皆さんは色々漁っていて、まだ時間がかかりそう。
取り敢えず飲み物でも取って飲みながら待とうかな。
そんな訳で俺は飲料コーナーへ。




