§213 お仕置き用の魔法
色々ぐだぐだになりつつも、楽しい二泊三日のキャンプは無事に終わる。
帰りは勝手知ったるカウフォードだから簡単だ。
上空から遠隔視を使い場所を絞って、カウフォードの学校の実験棟を探し出す。
あとはまとめた荷物とラインマインと一緒に。
『移動魔法!』
よしよし、ここだけは完璧に移動魔法で返ってこれる。
移動までに時間こそかかるけれど。
「到着、お疲れ様」
「ううん、色々ありがとう」
そんな訳で片付け開始。
テントとかコットを棚の上に載せてカバーをかける。
小物類を棚の下段にしまって完了だ。
「あとは保冷庫に入れた魚だけか。のんびり冬休みに食べていけばいいかな」
「でも痛む前に食べきれるかな」
なかなか釣りが好調だったのだ。
その結果、下拵えをした状態の魚が保冷庫にぎっしり詰まっている。
保存状態は完璧だが、味が落ちる前に二人で食べきれるかな。
若干味が落ちても傷む前に食べ切れればまあいいか。
そう思った時だった。
「その心配は無用なのだ」
えっ。
実験室の外から聞き覚えのある声がした。
おい、まさか……
実験室の戸を開けてお馴染みの皆さんが入ってくる。
アン先輩、ヘラ、アル、メル。
つまり技術研究会の活動メンバー全員だ。
「ラインマイン、押しが足りない」
「この場合はホクトが押すべきだろう」
「もっと行く処まで行くと思ったのに残念なのだ」
「でもまあ妥当な線ですね、無難という意味で」
どういう事なんだ。
「キャンプというか旅行の一部始終を見させていただいたんですわ。無駄な部分はカットした三刻版で。管理担当もノリノリで編集してくれましたわ。これも人間の勉強だと言って」
「遺跡の追跡・画像記録機能はなかなか便利なのだ。ちょうどいいので活用させてもらったのだ」
なぬ!
「ラインマインにカウフォードに帰るよう説得した上で、何も起こらなければ旅行に誘えと言っておいたんですわ。新入生が入ってくるまでもうすぐですし、今のうちにホクトを固めておけって」
と言う事は!
「でもホクトの本音があそこまで出るとは思わなかった」
「押しが足りない。押さえつけて事実行為を希望」
つまりは!
「全員で俺がどうするかを見ていた訳か!」
これはお仕置きが必要だな。
取り敢えずは脱走防止に魔法をかけておく。
『空間歪曲魔法!空間歪曲魔法!空間歪曲魔法!』
「確かにヘラにそうアドバイスしてもらったけれど、まさかこんな……」
ラインマインだけは目標から外しておこう。
あとは全員同罪だ。
「ん、まずいのだ。移動魔法が効かないのだ!」
アン先輩気づいたな。
でももう遅い!
「取り敢えず皆さん、お仕置きの時間です。それぞれ自分の嫌いなものを向き合っていただきましょう」
『心理応用魔法、嫌いなものに囲まれる悪夢!』
何故こんな魔法をレマノさんが使えるのかは謎。
でもちょうどいい。
お仕置きとしてしばらく悪夢を見せてやろう。




