第十一章 静かな衝撃
完成した絵が聖堂に運ばれた日、コルナッキアは聖堂の入口の外にいた。
犬は聖堂の中には入れなかった。カラヴァッジョはコルナッキアの頭を一度撫で、「待ってろ」と言って中に入った。コルナッキアは入口の石段に座り、出てくる人々を観察した。
最初の数時間は何も起きなかった。聖堂に入っていく人々の足取りは普通だった。出てくる人々の足取りも普通だった。コルナッキアは石段の日向で体を温めながら、行き交う人々の靴を見ていた。革靴、木靴、裸足。ローマの通りはすべての種類の足が行き交った。日常のミサの時間ではなかったが、礼拝に訪れる人は少なくなかった。
昼過ぎから、空気が変わった。
聖堂から出てくる人々の匂いが違った。入っていくときと出てくるときで、同じ人間の匂いが変わっていた。入るときは日常の匂いだった。汗と衣服と石鹸と食事の匂い。出てくるときは、それに何かが加わっていた。体温がわずかに上がっていた。心拍がわずかに速くなっていた。興奮の匂い。しかし恐怖の匂いではなかった。衝撃を受けた人間の匂いだった。
一人の老婆が聖堂から出てきた。足取りが遅かった。入口の石段に座り込み、しばらく動かなかった。コルナッキアはその老婆の匂いを嗅いだ。塩の匂いがした。涙の匂いだった。老婆は泣いていた。袖で目を拭いながら、聖堂の方を何度も振り返った。
若い男が出てきた。画家だった。衣服にインクと絵具の匂いがあった。オルシと同じ匂いの系統だが、この男の絵具の匂いはもっと新しかった。まだ修業中の匂いだった。彼は聖堂を出た後、足を止めて通りの反対側の壁にもたれかかった。目が焦点を結んでいなかった。何かを見たが、まだ処理しきれていない目だった。
二人の貴族が並んで出てきた。声が大きかった。興奮して議論していた。言葉の断片がコルナッキアの耳に届いた。
「あの光は」
「前例がない」
「祭壇画として適切かどうか」
「しかし見ろ、あの手を」
彼らは議論しながら通りを歩いていった。声はしばらくの間、遠ざかりながらも聞こえ続けた。
また一人、画家が出てきた。今度は年配の男だった。衣服に高級な絵具の匂いがあった。成功した画家の匂い。この男の顔は違った。衝撃ではなく、苦いものを噛んだ顔だった。嫉妬の匂いがした。酸っぱく、鬱屈した匂い。自分が何年もかけて到達できなかった場所に、この若い画家が一夜で立ったことへの、名前のつけられない感情。
瞳はその男の背中を見ながら思った。自分にも覚えのある匂いだった。他人の才能を前にして、自分の限界を突きつけられるときの匂い。椿賞の選考会で、最終候補に残った別の画家の作品を見たとき。自分の「光のテクスチャー」が技術的に洗練されていればいるほど、その作品の粗削りな力に打たれて足がすくんだ。あのときの自分と、この年配の画家の匂いは、たぶん同じものだった。
修道士が一人で出てきた。彼は何も言わなかった。静かに十字を切り、そのまま歩いていった。彼の匂いだけが穏やかだった。彼だけが、あの絵の前で落ち着いていられたのだろう。信仰のある人間の匂いだった。
午後遅く、カラヴァッジョが出てきた。
コルナッキアは立ち上がり、尻尾を振った。二回。カラヴァッジョの匂いを確認した。集中の匂いでも怒りの匂いでもなかった。勝利の匂いでもなかった。体温は平常だった。心拍も落ち着いていた。奇妙に静かだった。何かが終わった後の静けさだった。
カラヴァッジョは石段を降り、コルナッキアの横を通り過ぎた。犬が後を追った。帰り道を歩きながら、カラヴァッジョはしばらく黙っていた。通りの人波の中を歩き、路地を曲がり、別の路地に入った。足取りは速くも遅くもなかった。しかしいつもと違うことがあった。今日は一度も道を間違えなかった。迷わなかった。まるで道が自分の方に寄ってきたかのように、正しい角を正しく曲がった。
「あの光は俺のものじゃない」
唐突に声が出た。犬に向かってだった。歩きながらの、独り言のような声だった。
「俺はただ窓を開けただけだ」
窓ではなく扉だったが、しかしカラヴァッジョにとっては同じことだった。光の通り道を作っただけだ、と彼は言っていた。光そのものは自分のものではない。自分がやったのは、光が通る道を邪魔していた暗闇を、少しだけ退かしただけだ。
瞳は歩きながら、その言葉を聞いていた。謙遜ではなかった。この人は本気でそう思っている。あの絵を描いたのが自分だという意識がない。光が自分を通過して、カンヴァスに届いた。自分はその通過点にすぎない。
傲慢な男だった。フォークが使えないことを恥じず、路上で剣を抜き、皿を人の顔に投げる男だった。しかし絵の前では、自分を消す男だった。
マダマ宮が見えた。門を押し開け、中庭を横切り、アトリエの階段を上がった。扉を開けると、空になったアトリエの匂いがした。カンヴァスが聖堂に運ばれた後の、がらんとした部屋の匂い。テレピン油の残り香と、壁に染みついた膠の匂いと、何もない空間の匂い。巨大なカンヴァスが占めていた壁面に、ただ空気があった。描き終えた後の空虚は、描き始める前の空虚とは別の匂いがした。始まる前の空虚には緊張があった。終わった後の空虚には、何もなかった。
カラヴァッジョは寝台に腰を下ろし、長靴を脱いだ。
そのまま横になり、目を閉じた。
コルナッキアは寝台の脇に座った。主人の呼吸が深くなっていくのを聞いた。数分で眠った。三日間の緊張の後の、嵐の後の眠りだった。
犬は寝台の脇で丸くなった。主人の寝息を聞きながら、空になったアトリエの壁を見つめていた。壁にはカンヴァスが立てかけてあった跡が残っていた。漆喰の色が四角く違っている。絵はもう聖堂にある。ローマ中の人間が見に来ている。老婆が泣き、若い画家が呆然とし、貴族が議論している。
しかしこの部屋を知っているのは犬だけだった。三日間の沈黙と、四日目の扉と、五日目の光。キリストの手を描いた蝋燭の夜。犬の頭に置かれた手のひらの温もり。聖堂を訪れるすべての人間が絵を見る。しかし絵が生まれた夜を見た者は、この黒い犬だけだった。




