キャラクターの欠点は物語のアクセルとブレーキだ!(三毛猫ホームズの推理)
小説のキャラクターメイクで言われるのが、「欠点を作れ」である。欠点を作れと言われても、漠然とし過ぎてイメージが掴めない人もいるだろう。今回は『三毛猫ホームズの推理』を参考図書に、キャラクターメイクの極意を学ぶ。
◼️欠点は物語のアクセルとブレーキ
欠点だが、物語と関係ないものはよろしくない。つまり、余分な情報であり、設定集に留めておくべきだ。では、具体的には、どのようなものがいいのか。『三毛猫ホームズの推理』の主人公・片山を例に出す。
「仕方ない奴だな。わしも警察勤めは長いが、刑事のくせに、血を見るたびに貧血を起こすって奴は聞いたことがない」
『三毛猫ホームズの推理』角川文庫
これは、片山の上司の言葉だ。次は、片山自身の言葉を取り上げる。
「はあ……僕は女性が大変苦手で……女性が大勢集まっている所へ近づくと頭痛と目まいがして、そのうち吐き気を催します。ときにはジンマシンが出ることも……」
『三毛猫ホームズの推理』角川文庫
そして、こう続く。
ところが片山のほうときたら、まるきりアルコールアレルギーで、コップ半分のビールを飲んだらダウンしてしまう始末なのだ。
『三毛猫ホームズの推理』角川文庫
このように、片山には三つの欠点がある。「血が苦手」「女性が苦手」「アルコールが苦手」となっている。欠点を必ず三つ作れとは言わない。重要なのは、物語にいかに影響を及ぼすかだ。
警察官で血が苦手というのは致命的だ。これは、片山が警察という属性なのとは対照的で、この欠点があるために物語は大きく動く。女性が苦手なのも物語に絡んでくる。なぜなら、今回の事件は女子大生連続殺人事件だからだ。つまり、これらの欠点は、物語を加速させたり、減速させたりする、いわば、車のアクセルとブレーキだ。
◼️有効的な欠点とは?
では、この欠点の例をどう活かすか。分かりやすいところでいくと、人付き合いが苦手なのに、いつの間にかハーレムが出来上がるというラブコメだろうか。もしくは、ホラーが苦手なのに数合わせで、ホラー研究会に入っているのもありだろう。このように、登場人物の属性と真逆のものを設定するのが良さそうだ。それならば、アクセルにもブレーキにもなるからだ。
◼️まとめ
どのような欠点を作るにせよ、物語の推進力にならなければ意味がない。ブレーキは推進力にならないはずだ、という指摘があるかもしれない。しかし、ブレーキがあるからこそ、アクセルが目立つのだ。この対比の関係でブレーキの役目も担うことが多々ある。私のように、小説家志望なのに、小説ではなく創作論を書くのが得意というのも一案だ。猫好きなのに、猫アレルギーなのもありだろう。自身や知り合いの苦手や欠点を物語に仕込むためには、常に人間観察が必要だ。あくまでも、本人の迷惑をかけない範囲でだ。苦手探しで人間観察をしていると、逆に素晴らしい点、つまり、長所も見えてくるはずだ。そうすれば、その人物と、より円滑なコミュニケーションを取れるはずだ。執筆のため、円滑な人間関係のため、常に観察眼を光らせておく必要があるだろう。




