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今日はなんの日、食べ物ダンジョンできました  作者: 木嶋うめ香


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なんの日ダンジョンさんにも聞いてみよう 3

『人が覚醒するには魔素が必要です。個人個人で必要量は異なりますが、魔素を体内に取り込むことで人の細胞が活性化し覚醒に至ります』

「魔素はダンジョンに入らなくても、ダンジョンから外に出てる魔素を吸い続けると覚醒できるんだよね」

『仕組みとしてはそうなります』


 え、ダンジョンさん返事してくれた? 会話出来ちゃうの?

 それなら、なんの日ダンジョンとかダンジョンさんじゃなく愛称で呼んでもいいのかな。ダンジョンさん私に凄く親切にしてくれるし、もう私の中ではうちの子な気持ちだし。

 なぁさんとか、なーちゃんとか呼んだら失礼かなあ。


『いいですよ』

「へ」

『初めてダンジョンに名づけした称号を得ました。この称号保持者に限り、なんの日ダンジョンのボス部屋で好きなだけ質問と会話ができます』

「会話できちゃうんだ! じゃあ、なーちゃんって呼んでもいいかな」

『はい、私はなんの日ダンジョン、愛称はなーちゃんです』


 嬉しい、会話ができるって仲良しになった気持ちしちゃうじゃない。

 でも、心の中も読めちゃう感じなのかな? それはビックリだけど、でもそのお陰で今まで助かったこともある気がするし、なーちゃんなら読まれてもいいか。

 なーちゃんは、私の心分かっても何か悪いことしたりしないと思うし。


「なーちゃん。この三日間色々私に優しくしてくれてありがとう。調理器具とかこれから沢山使わせてもらうね」

『宝箱を開けるのがお好きなようですから、ドロップ品を選ぶのは、なーちゃんの楽しみになりました』

「うん、宝箱ってねわくわくするのよ。ゲームでも宝箱って出てくるんだけど、探しまわって見つけた時とか滅茶苦茶嬉しくなるの」


 私はゲームで延々宝箱を探して歩くタイプだ。弟のみぃ君は宝箱が目の前にあっても開けるのが面倒ってパスする人だから、子供の頃はよく喧嘩した。


『そうですか、それでは今後も一層目のボス討伐の宝箱のみですが、あなたの日々が楽しくなるものをドロップ品に入れておきましょう』

「え、あんまり無理しなくていいよ。出来たばかりのダンジョンだから初入場の称号持ちの私以外はドロップ率低いって説明あったし、私用のドロップ品なんて大変なんじゃない?」


 調理家電を沢山手に入れておいてなんだけど。

 あ、それより自己紹介してなかった。


「なーちゃん、今更ですが山崎葵です。これから長いお付き合いになると思います、どうぞよろしくお願いします」


 どこに頭を下げたらいいか分からないから、魔法陣に向かって、これからよろしくねの意味で頭を下げる。


『こちらこそよろしくお願いします。葵』

「なんか会話できて嬉しいなぁ、他のダンジョンでも初入場の称号持ちとお話したりしてるの?」

『そのような事実はありません。私は愛称をつけてもらった世界初のダンジョンですから、特別に会話が出来ます』

「え、そうなんだ」


 ということは、会話が出来るのは秘密にしておいた方がいいのかな?

 そうしないと、ダンジョンのこと聞いてこいってあちこちから命令されそう。折角会話出来るのに質問ばっかりなんて、なーちゃんに負担になるだろうし私もしたくないよ。


『葵は面白い思考をしますね』

「え、そうかな」

『誰もダンジョンに負担になるなんて考えませんから、葵は面白いという結論になりました』

「そうかぁ」


 言動がズレてるとか言われがちだから、そういうの一応気をつけてはいるつもりなんだけどな。

 でも、あの三股野郎にも言われたことあるもんなあ。私やっぱりなんかズレてるのかな。


『三股野郎には、絶対に魔素が届かないようにしましょう。もうこれは決定です』

「え、どういうこと?」

『もう決定しましたし、そうしましたので変更は出来かねます。これから先、人は覚醒が当たり前になりますが、三股野郎には覚醒する未来はありません。元々犯罪思考の人間は覚醒対象外なのですが、浮気をなんとも思わない人間もその対象外に含まれたということです』


 なんだろう、説明されたのに理解できないとかあるんだね。


「犯罪思考の人間は覚醒出来ないんだね」

『出来ません。そういう思考の持ち主はダンジョン内で犯罪を起こす可能性がありますし、それだけでなくダンジョン内に悪感情が満ちるのは、魔素に影響しますので良くないのです』

「なるほど」

『覚醒したスキルをダンジョンの外で使われるのもダンジョンに影響が及びますので、ダンジョンに入らないから良いというわけでもありません』


 アニメとかだとダンジョンの中で殺めたりとか盗みとかあるけど、そういうのをやらせないためにダンジョン側で考えてくれてるのか。


『ちなみに覚醒後に犯罪を犯した場合、スキルが消えますし、身体能力が覚醒前までの能力まで下がります。スキルを悪用して犯罪を犯した場合は寝たきりになる覚悟が必要です』


 ひえっ、そんな凄いことになるんだ。

 そういえば、私に悪感情を持ってる人はドロップしないとかあったような? 犯罪ではなく悪感情程度だからそれで済んでるのか。


『その通りです。先ほどの質問に戻りますが、覚醒の条件は魔素を体内に取り込むことです。葵は誕生日にダンジョンに入りましたが、それが一番効率よく魔素を取り込めます』

「そうなの?」

『はい、誕生日というのはその人の体が一年のうち一番細胞が活性化しやすい日なため、ダンジョンに入ると細胞の活性化が一度に進むのです』


 それで誕生日にダンジョンに入ると覚醒するって話が都市伝説として出るくらいに噂になってたのか。


「私の覚醒は誕生日にダンジョンに入ったから、なんだね」

『はい、元々なーちゃんが出来る時にこの周辺は濃い魔素が空気中に漂っていましたから、葵と葵の家族とこの周辺で育っている植物に魔素は取り込まれていました。葵は魔素を取り入れる器が他の人よりも大きいので、誕生日にダンジョンに入ってもその日に覚醒しない可能性がありましたけれど、ダンジョンに入る前から魔素を取り入れていたので無事覚醒しました』


 そうなると、器が大きい人は誕生日にダンジョンに入ってもその時に覚醒しないかもしれないのか。そうなると何度もダンジョンに入らないといけないんだね。


『ダンジョンから放出される魔素がダンジョンの外に満ちていけば、器が魔素を取り込み成長と共に器も育ち成人前後で覚醒することになります。でも現在ダンジョンの周囲を魔法の道具で囲っているため魔素が外に出にくくなっています。その為覚醒者が増えずダンジョンも魔素放出が出来ないため、ダンジョンのエネルギーを新しいダンジョン作成やダンジョン内の魔物強化に使用するしかなくなりました』


 え、じゃああのダンジョンの前のゲートは覚醒が増えない理由だけじゃなく、ダンジョンが増える理由にもなっているの?

 とういうかダンジョンのエネルギーって何?


『ダンジョンは地球の中心部に溜まりすぎたエネルギーを魔素に変換し、魔物やドロップ品にすることで消費しています』

「地球の中心部に溜まり過ぎたエネルギー?」


 地球の中心部って内核とかいう部分になるんだっけ? 物凄い高温になってる。その熱の話なのかな?


『地球の中心には、ダンジョンの心臓と言えるダンジョンコアのようなものが存在していますが、これは人間には確認できません。説明のため仮に地球コアとしますが、これがエネルギーを過剰に溜めこみ過ぎているのです』

「エネルギーを過剰に溜めこむ? それはどういう理由で」

『そうですね、大昔は火山噴火が頻繁に起きコアからのエネルギーを地球全土に放出し、そのエネルギーで大型生物が生きられるだけの動植物が育っていました。今の地球より陸地が少なく水面が多く氷の大地も広かったのです』

「それって……」


 もしかして恐竜とかがいた時代まで遡ってたりする話なのだろうか、でも氷の大地なんてものもあったの? あんまり興味のない分野の話だから分からないなあ。


『ダンジョンコアは昔は一つだけ異なる世界からこの地球に飛んで来たもの、それが地球の中心にある地球のコアからエネルギーをもらい分裂して世界中にダンジョンを作ったのです』

「それがダンジョンの出来た始まり?」

『ダンジョンの中で人が魔物と戦い、魔物とダンジョンから魔素を体に取り込むことでエネルギーが使われる。ダンジョン内で魔素が消費されるからダンジョンコアは地球のコアのエネルギーを吸い込み魔素に変換しダンジョンの魔素や魔物にして消費する。そういう形でエネルギー消費が上手く循環するはずでした』


 なのに、ダンジョンの予想に反してゲートで囲んじゃったからダンジョンの外に魔素が流れなくなって覚醒者が増えない。

 覚醒者が増えないと、ダンジョンの魔素が消費されなくなって、でも地球のエネルギーは使わないといけないからダンジョンが増えていく。

 それ、駄目駄目じゃない。


「えーと、つまり世界中のダンジョンは探索者がダンジョンに入ってくれないと困る?」

『その通りです』

「探索者がダンジョンに入らないと、ダンジョンがもっと増える?」

『ダンジョンは増えすぎましたので、そろそろ新しいダンジョンが出来るのではなく、ダンジョンブレイクに移行するかもしれません』


 ダンジョンブレイクに移行する? え、魔物が溢れるってことだよね?


『誤解してはいけないことが一つあります。ダンジョンは地球が地球の形を保っていられるようにエネルギー消費しようと出来たものです。人のために出来たわけではありません』

「人のために出来たわけではない」


 そうか、なーちゃんが私に親切だから、ダンジョンって人のために存在してるって誤解したくなるけれど、地球のエネルギー消費のためならダンジョンブレイクもやむなしってことなのか。


「覚醒者を増やしたいって人は考えてるの。ゲートは管理のために今のままにするしかないとしたら、他に方法ってないのかな」

『ダンジョンに入る。魔石を身に着ける。魔素を含んだ食事を日々摂取する。覚醒者を親に持つ。未覚醒者の近くに常に覚醒者が居る。の順で効率良く魔素の吸い込みは出来ます』


 順と言うことは、ダンジョンに入るのがやっぱり一番効率が良いってことか。

 それも誕生日が一番いいと。


「魔素を含んだ食事って、つまりダンジョン産のってことになる?」

『はい。ただし通常の調理器具では調理中に魔素が抜けてしまうため、効率は良くありません。生で食せる果物や野菜の場合、水道水で洗うことで魔素が抜けます』

「魔素抜けちゃうんだ」

『はい、その代わり抜けた魔素は空気中を漂いますので、調理する人は魔素を吸い込みます。果物や野菜の場合、洗うだけでなくダンジョンの外に置いておくだけでも魔素は抜けていきます』


 と言うことは、果物や野菜を食べなくても空気中に魔素が混ざっていくってことか。


「植物とかも?」

『はい、その通りです』


 これは那智さんに相談した上で、支部長さんにもお話しないといけない感じかなぁ。

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