綺麗に見えない花火
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おそらく、片岡と秋は来ないと思っていた。だから、晴と羽多を祭りに連れて行った。
すると、祭りでは、予想外に多くの中学時代の友達に遭遇した。なかなかひらりにかまってやれない……。大丈夫だろうか。ここの祭りは河川敷だ。川で花火を上げる。ひらりは気にしていないとは言っていたけど……
「そんなに気になるなら、彼女の所行って来いよ。」
「彼女じゃねーし。」
あまりにひらりの方を見ていたら、友達にそう言われた。ひらりの方を見ると、いつも隣には晴がいた。晴に気を使う訳じゃない。でも、晴がいるのにひらりの隣に行く理由もない。理由も…………ない。
花火が始まると、ひらりと晴はどこかへ消えた。何故?どうしてだ……?全然、花火に集中できない。おかしい。花火が…………全然綺麗に見えない。花火の音が、耳障りだ。花火の上がる、ドンッという音に……心臓を爆破されているみたいだ。
「あれ?晴とひらりちゃんは?」
羽多が気がついて、探しに行こうとしていた。もうすぐ花火が終わる。
「待て。俺が探しに行く。」
気づけば……走っていた。縁日を抜けて、大通りに出ると、すぐに二人を見つけた。俺がひらりを呼ぼうとすると……晴は、ひらりを抱き締めていた。俺は……そのまま……ひらりを呼ぶのを止めた。
しばらくすると、花火が終わり、人が増えて来た。後から俺を見つけた友達が、隣に来た。
「後ろに例のあの子いたぞ?」
「いいんだ……。」
とうとう、一度もひらりを呼べなかった。呼ぶ事はせずに、駅に向かった。足を止める事なく、俺は、ただ……人の流れに乗って、どんどん流されているようだった。
「春壱!!」
そう…………呼ばれた気がした。でも、振り返らなかった。ひらりだ……。何度も何度も呼ばれた。それでも、振り返れなかった。
「須藤、呼ばれてるぞ?」
「…………。」
「春壱、ひらりちゃん呼んでるよ?」
羽多も合流してきた。俺は、そのまま、人の濁流に呑み込まれて、帰宅した。
羽多と最寄り駅で降りると、暗い顔をした晴がホームに立っていた。
「晴喜どうしたの?」
「こんな所で何やってるんだ?」
「…………。」
晴は答えなかった。
「僕は、選ばれなかった。」
「は?」
晴の言っている意味がわからない。




