須藤が無いなら……
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ランチはファミレスで秋ちゃんと女子トーク。
「ひらりちゃんってさ、兄貴と仲良いけど、好きになったりしないの?」
「え?どうして?普通に好きだよ?」
秋ちゃんはフォークをお皿に置いて言った。
「いや、そうじゃなくて、普通はさ、お互い気が合う相手なら、少しはいいな。とか思うもんじゃない?」
「うーん。春壱と特別仲良い気がしてないんだけど……この前、私の事好きになれないって言ってたし。」
「え……マジ?」
マジです。川で電話した時、ハッキリと、お前の事は好きになれない。って……。
「それに、友達?って聞いたら、友達だって答えたし。ま、友達だしね。」
今思うと何か凹む……。
「そうなんだ……。」
私より秋ちゃんの方が、明らかにガッカリしていた。そのうち、フォークでパスタを無駄にグサグサ刺すようになった。
「そ、そんなにガッカリしなくても……!ほら、春壱には、羽多ちゃん。羽多ちゃんいるし!もし、羽多ちゃんダメでも、責任持って他探すから!」
「何でひらりちゃんが責任持つの?」
秋ちゃんが不機嫌な顔でこっちを向いた。
「いや、だって……春壱には色々迷惑かけちゃってるし。女の子の1人や2人紹介しないと申し訳ないなって思ってて……」
私はダメかもしれないけど、他の子なら……秋ちゃんとも仲良くして……そう考えて、余計落ち込んだ。
落ち込んでいると、秋ちゃんはさらに突っ込んできた。
「人の事よりさ、ひらりちゃんはどうなの?エミちゃんのお兄さん……えっと……慎ちゃん?」
「どうって?」
「あの人の事好きなの?」
またまた!そんな……秋ちゃんまで先輩達みたいな事言って~!
「好きだよ?友達だもん。」
「いや、だから……」
秋ちゃんは少し乱暴にフォークを置いた。
「慎ちゃん好きな人いるんだよ?」
「ぅおい!!」
それは、秋ちゃんの全力のツッコミだった。
「ちょっとひらりちゃん!全然恋バナできないの?」
「秋ちゃんやめて……それ以上突っ込むと、人として欠落してるっていう悩み相談になるから。」
「そんな人生相談乗りたくないよ~」
秋ちゃんと私は二人で頭を抱えた。そうだ……じゃあ……
「秋ちゃんは?彼氏と順調?」
「え?いつの話?もう別れたよ?いたら兄貴同伴で遊びに来ないでしょ。」
え……えええええええ~!!
「展開早っ!私全然ついて行けないよ!今時の中学生ってそんな感じ?じぇじぇじぇジェネレーションギャップだよ!らららラブソング的な?」
「ひらりちゃん動揺しすぎ。言ってる事が意味不明だよ。」
「そっか……そうなんだ。私達干からびてるな~」
「達は止めて!私も入れないで!」
2つ違うだけなのに……私は全然子供なのかも……。凹むなぁ……。
その頃俺と片岡は買い物も済ませ、本屋へ寄っていた。
「あ、新刊出てる。」
「片岡も読んでるんだ。俺もそれ読んでる。面白いよな~」
「うん、面白い。」
俺は別の漫画を手に取った。
「こっちもオススメ。」
「うん、これも見てる。」
「マジ?片岡こうゆうの読まないと思ってた。」
片岡はいつも無表情で、あまり感情が読めない。でも、晴の読めないとは違う。
「結構何でも読む。」
「そうか。なんか……片岡全然人といる所見ないけど、普通に喋るじゃん。」
今は何となく、片岡の考える事がわかるようになってきた気がした。
「最近、無理してる。」
「え……?無理させてる?」
気がしただけだった。
「無理も…………意外と悪くない。」
意外と悪くないって事は、無理は嫌じゃないって事か。
「なんだ……。びっくりさせるなよ。」
「相田さんのおかげ。相田さんが踏み込んできたから……少し無理して、喋れるようになった。」
「あいつ、敢えて空気読まないで突っ込んで来る事あるもんな~」
そうだ。あいつは俺が嫌がっても、名前で呼んできた。そのせいか、いつの間にかクラスの何人かは、壱から春壱と呼ぶようになっていた。
「須藤は……相田さんの事どう思ってる?」
「どうって……いや、別に何とも思ってないけど……?」
さすがにこの質問にも飽きて来た。
「好きにならないの?」
「ナイナイ!変なウサギのパンツはいてる女だぞ?」
「あれは妹と同じ柄で爆笑した。」
片岡は珍しく、思い出し笑いをしていた。
「あれはないだろ。あれがお気に入りって軽く引いたわ。」
「須藤は本当に無いの?」
「はあ?お前もしつこいな。この前完全友達宣言したし。」
どうしてそこまで訊くんだよ……?
まさか…………
「須藤が本当に無いなら、相田さんの事、好きになってもいいかな?」
「はぁ?!え……?あ……ああ、当たり前だろ?何で俺に許可がいるんだよ。」
そのまさかだった……。
「相田さんに一番近いから。」
「そう……かもしれないけど……それとこれとは……別に……」
関係無い。とは言い切れない自分がいた。
「わかった。そろそろ約束の時間だ。行こう。」
片岡はそう言って、荷物を抱えて本屋を後にした。




