買い出しに
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もう、悪い夢の中にいるのは止めろよ。もう、暗い世界は終わり。
春壱の言う通り、世界の終わりに涙するなんて、もうやめにした。もう暗い世界は終わり。もう、夜が明けたんだから。
「私、泣き顔ブスなんだ……。気をつけよう。」
私は鏡を見て、そう呟いた。ふと、洗面所の奥の部屋に目を向ける。あの人の部屋だ。私はまた、あの人をこの部屋に閉じ込めて、毎日を過ごすんだ。ごめんなさい。私の中が、言葉の木でいっぱいになったら、私が森になったら、そっちへ行くね。それまで……もう少し待っててね。
私が電車に乗ろうとすると、ちょうどみんなが乗っている所を見つけた。良かった。ちゃんと合流できて。まぁ、4車両しかなくて合流できないなんて事はないけど……
「おはよ~!秋ちゃん久しぶり~!慎ちゃんも春壱もおはよ~!」
「おはよう。」
電車に乗ると、みんな口々に挨拶した。
「秋ちゃん本当に来てくれたんだ~ありがとう!」
春壱に連絡を取れるようにしてもらって、やっと秋ちゃんと遊ぶ事になった。
「おはよ~!来るよ~私が約束したんだもん。」
「勉強は大丈夫?私バカだから教えてあげられないけど……何でも協力するよ?」
「じゃあ何の協力もできないな。」
春壱が女子トークに割り込んできた。
「悩み相談とか?お兄ちゃんの愚痴とか聞くよ~?」
「聞いて欲しいのはこっちだ。」
秋ちゃんは春壱を無視して話を続けた。
「息抜きに付き合ってくれるだけでいいよ。同じ受験生は誘いづらいんだよね。」
「そっか。お互い気を使う時期だよね。」
「まぁ、まだ夏休みだから、そこそこ友達と遊んでるけどね。」
「あははは。みんな余裕だね~。」
私が春壱と、買い出しについて相談していると、秋ちゃんは、慎ちゃんを見て、少し気まずそうに話しかけていた。
「あの、片岡さん?って……エミちゃんのお兄さん?なんですよね?」
「あ、エミの友達?うん、そう。エミの兄です。いつもエミがお世話になってます。」
慎ちゃんは秋ちゃんに少し頭を下げて挨拶していた。
「やっぱりそうなんだ!エミちゃんとは去年同じクラスだったんです。」
「そう……。」
会話が終わってしまった。なんとかアシストしたいと思って………
「慎ちゃん妹いたんだね~」
とりあえず、そう言ってみた。
「慎ちゃん?」
「慎太郎だから慎ちゃん。秋ちゃんも慎ちゃんって呼ばせてもらいなよ。慎ちゃんいい人だから。」
慎ちゃんは私の方をしっかり見て言った。
「相田さん、それは……鶴よりマシなだけで……」
でも、そんな事聞いても意味がない。
もっと建設的な話をしよう。
「慎ちゃん、相田さんはもうやめよう?ひらりんって呼んでいいか……」
「いや、それは無理。」
慎ちゃんは食い気味で答えた。
「せめて名前で呼んでよ~」
「片岡、相手にするな。これはモラハラだ。」
そんなこんなで、電車の中で買い出しの担当決めをして、駅から別行動になった。
「じゃ、予定通り午前中は別行動で、午後はカフェ集合で!よろしく~!」
春壱と慎ちゃん、私は秋ちゃんと、それぞれ街に出掛けた。
ひらりと秋と別れた後、俺達はまだ買い物のリストと順番を確認していた。
「順番はこんな感じでいいか?」
「うん。そこは須藤に任せる。」
「悪いな片岡。買い出しなのに、ひらりは妹と買い物で。」
片岡は少し首を横にふった。
「いや、相田さんが須藤の妹とでかけるって言ってたから、ついでの方がいいかと思って。逆に須藤に付き合わせる事になって悪いと思ってる。」
「俺が美術部の展覧会に乗っかったんだから、当然だろ?」
本当はこの前の事があって、あいつに埋め合わせしてやりたかった。秋も元々乗り気だったし。秋と楽しめるように、こっちは真面目に買い出ししとくか。
「じゃ、行くか。」
「うん。そうだね。」
こうして、俺達も買い出しに出掛けた。




