家族だから…?
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数日後の部活終わり、春壱と歩いて帰ろうと校門を出ると、お姉ちゃんが待っていた。
「ひらり!」
「お姉ちゃん……どうしてここに?」
「金曜の夜、どこ行ってたの?叔母さんから連絡あって、留守だって言うから、心配したんだよ?」
心配……?今さら?
「終電逃して友達の家に泊まっただけ。」
「友達って?どこの誰?」
「…………春壱。」
私は正直に答えた。
「春壱君!?」
「いや、それはその、勘違いしないでくださいよ?」
「そうだよ。春壱は泊めてくれただけだよ。」
別に大した事じゃない。
「どうして?呼んでくれれば迎えに行ったのに。」
「別に。お姉ちゃんには関係ないから。」
私はお姉ちゃんを引き離すように、わざと冷たく言った。
「関係ない?ひらり、何すねてるの?」
「すねてる?別にすねてないよ。お姉ちゃんには関係ない。」
「いや、関係無くはないだろ?」
春壱が口を挟んだ。
「春壱君何か知ってるの?」
「お姉ちゃんやめて。姉妹の問題に春壱を巻き込まないで。春壱、帰ろう。」
私は春壱の腕を持って歩き始めようとした。
「ひらり!ちょっと待って!待ってったら!」
お姉ちゃんは私の鞄を掴んで引き止めた。
「ひらり、姉さんとちゃんと話しろよ。」
春壱は動かない。
「何を?何を話せばいいの?」
「晴の事だ。お前、晴に八つ当たりされたんだぞ?」
「晴君は悪くないよ!」
私と春壱のやとりを聞いて、お姉ちゃんは困惑していた。
「さっきからハル君ハル君って……ハル君って何の事?」
お姉ちゃんにとって、ハル君は春壱の事だ。晴喜の方は出てこない。晴君はそれまでの存在なんだ……。
「やっぱり……。関係ないじゃん。……春壱、帰ろう。」
私は春壱を置いて、先に歩き出す。後に残った春壱は、
「今日は失礼します。ひらり、待てよ。」
お姉ちゃんにしっかり挨拶して、早歩きで私に追い付いた。
「なぁ……。」
「何?」
春壱は追い付くとすぐに話しかけてきた。
「姉さんと仲いいのかと思ってた。」
「昨日言ったでしょ?大事な事は何も話してもらえないって。私には何も教えてもらえないの。だから、私も教えない。教えたくない。」
「それじゃ何も解決しないだろ?」
春壱の言う事は正論だ。正論だけど…………
「だから?」
「家族なんだから、ちゃんと話せばわかる。わかってもらえるはず。」
家族なんだから……?その言葉が通じる世界は、ちゃんと家族の形がある世界だけだよ。
「家族なんだから?まさか春壱にそんな事言われると思わなかった。私も昔はそう思ってたよ。今はそんなの……反吐が出る。」
「ひらり……何があった?」
「…………言いたくない。春壱には、こんな私は見せたくなかった。」
私は、春壱を置いてどんどん先へ進んだ。
私ははトンネルの前で足を止めた。そうだ、バニラだ。バニラの事を考えよう。助けてバニラ、私を楽しい世界へ連れて行って。
「夏休み、毎日部活あればいいのになぁ~あ、美術部の予定も聞いとこう。」
「毎日学校来るつもりかよ?」
「あ、秋輝ちゃんの電話番号教えて!一緒にカフェでデートする約束したんだ~!」
「お前人の妹何口説いてんだよ。いつの間に約束を……。」
「社交辞令かな?私の番号教えてといて」
「わかったわかった。」
春壱はもう沢山という顔をしていた。
「あ~あ。海行きたいなぁ~」
「海なんて暑くてベタベタするだけだろ。近くに海のような川があるだろうが。デカイ川が。」
「あははは、川でいいか。川で。よし、じゃあ、今年は川で鮎とかヤマメ釣るぞ!!」
私は無謀と知りながら、どうでもいい目標を立てた。
「釣りやった事あんの?」
そこへ春壱は冷静に訊いてきた。
「ない……。」
「じゃあ、教えてやる。」
え……?
「春壱できるの?」
私は逆に疑いの目を向けた。どうせノリで言った虚勢だろ~?その目から何か感じたのか、
「田舎育ちなめんな?ここら辺住んでる奴なんてみんなやった事ぐらいあるだろ。」
「それはさすがに言い過ぎじゃない?」
「まあ、さすがに言い過ぎたけど……。」
二人で大笑いした。二人の笑い声が、トンネルの中で何倍にもなって聞こえた。
「あははは!!!!春壱……ありがとう。」




