3分の1のプラネタリウム
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あいつの代わりに、演劇部を手伝う事になった。今日は七夕イベントの打ち合わせらしい。しかし……演劇部は……何というか……
「だから実季、それは現実的には不可能だよ!」
「じゃあ、半分の大きさで妥協する!頼むよなっちゃん!」
「半分でも無理!せめて3分の1!!」
部長ともう一人の先輩の話し合いが熱すぎる……。
「部長と夏川先輩って仲悪いんですか?」
隣で聞いていた先輩に聞いてみた。
「悪くないよ?二人はあれでいいんだよ。」
「いや、でも……」
話を聞くと、どうやら部長の無茶な提案に、夏川先輩が具体的に意見する感じか……。
「あの、何が3分の1なんですか?」
「プラネタリウムだよ~!ドームの大きさがね~高さ6メートル」
「6メートルぅ!?」
そりゃ確かに、せめて3分の1だな……。
「でも、あの二人少し羨ましいよね。あんなに意見言い合って、イベント作りあげて成功させちゃうんだから。」
なるほど、演劇部の要はこの二人なのか。
「だって……だって……今年が最後の七夕イベントだよ?」
「実季……。それを言われると弱い……けど、6メートルは無理!!」
そうか……三年生は今年が最後か。そりゃあ気合いも入るわなぁ
「去年は短冊と浴衣だけだったんだけどね~今年はプラネタリウムやりたいんだって。春壱君は短冊書いた?」
「短冊?」
「書いたらこの短冊の箱に入れといてね~!」
先輩に短冊の箱を渡された。箱には沢山の短冊にお願い事が書いてあった。何枚か見てみると、世界征服。五キロ痩せる。彼氏ができますように。春壱との壁が無くなりますように。これって………後ろの名前を見ると、相田ひらりと名前がある。俺との壁………?壁なんて…………
「あ、春壱君、飾るまでは短冊読んじゃダメだよ?」
「もう遅いです。」
話し合いの終わった部長が声をかけてきた。
「この、短冊どう思う?思い当たる事ある?」
「…………。」
答えられなかった。というより、どう答えていいかわからなかった。
「何か困った事があったら、何でも言ってね。」
「じゃあ、あの……先輩、もし、もしですよ?自分が離れる事で相手を傷つけずに済むなら、離れますか?」
「ちょっと質問の主旨が読めないんだけど、離れたら本当に相手は傷つかないの?」
「え?」
部長は短冊を箱にしまいながら言った。
「離れれば傷つかないとか、そうゆうのって、自己満足な場合の方が多いよね。もしくは、関わりたくない言い訳とか。傷つけ合ったって最終的にわかり合える人もいれば、いつまで経ってもわかり合えない人もいる。何が正しいかなんて、結局箱を開けてみないとわからないんじゃない?」
あれから数日、部長の言葉を考えながら、プラネタリウム作りに没頭した。相変わらず、あいつは幽霊みたいに気配を消していた。結局体育館は借りられず、部長は少しガッカリしていた。完成したプラネタリウムのドームは、演劇部の練習教室に入るように、二人くらいしか入れないコンパクトサイズになった。
珍しく元気のない部長に、珍しく夏川先輩が、部長を元気づけていた。
「実季、元気を出せ!この大きさだって、十分ひらりはびっくりさせられる。」
「そうだよね。きっと喜ぶよね。ひらりがやりたいって言ってた事だもんね。」
完成して初めて気がつく。これは、ひらりのためだ。だから、俺が手伝わされた気がした。
このプラネタリウムは、予定の3分の1の大きさだけれど、本当は先輩達の3倍の想いが入っていた。




