カジノ三昧
8 カジノ三昧
『ダッダッダッ・・・ダッダッダッ』ピアノ線の間隔をある程度読みながら、次に飛ぶべき順を瞬時に判断して飛び移っていく・・・ピアノ線のたわみの反動を使えば楽に高く跳躍できるし、慣れてくると動いている方がバランスを取りやすいと分かってきた。
「だありゃあっ!」
『シュダッ・・・シュッパンシュッパシュッパパンシュッパッ』ドーム奥のひな壇前で大跳躍し、四菱草めがけて鋼鉄の剣を振り上げ切り刻んでいく・・・かなり高い位置から落下しながら一気に攻撃を仕掛けたので、相当数の四菱草を葬ることが出来た。
「ようし・・・もう一丁・・・。」
『タタッ・・・ダッダッ』一旦地上まで降りてしまったので、もう一度腰ほどの高さのピアノ線に飛び乗り、そこから上の方へと辿っていく。
「だありゃあっ・・・」
『シュダッ・・・シュパッシュパパンシュバッシュッパパアァーンッ』それからまた遥か高みから一気にひな壇の四菱草を攻撃していく・・・その繰り返しだった。
『ゴゴゴゴゴッ』そうして、ドーム内の四菱草を倒しきった後にドーム奥の壁が開き、巨大四菱草が出現した。
『ピカッ・・ゴロゴロゴロゴロゴロ・・ガッガァーンッゴロゴロゴロゴロッ』目もくらむような閃光の後、大きな衝撃がドーム内に伝わってくる。
「まずいぞっ・・・今度の巨大四菱草は雷を発する・・・しかも強力な雷だ・・・とりあえず下がれっ・・・!」
『ダダダダッ』今この場でゴムの胴長とかドライスーツに着替えたいくらいだが、とてもそんな余裕はない・・・まずは安全のためにも距離をとるしかない。
『タタタタッ・・・シュタッ』「とうっ・・奥義・・・鰐襲旋風脚!」
ところがツバサは遥か高い位置からなおも高く跳躍すると、奥義を発動して巨大四菱草へ突っ込んでいき、『ドッガァーンッ』そうして四菱草の巨大な花弁中央へと深々と突き刺さった。
「や・・・やったあぁー・・・ようしっ・・・今だっ一斉攻撃!」
『ダダダダッ・・・シュッパンパパンッシュッパッシュッパンシュパッ』巨大四菱草のこれまた巨大でふとい茎めがけて斬りこんでいく。
『シュシュシュシュシュシュシュシュ・・パシュパシュパシュパシュパシュパシュ』後方からいくつもの矢が突き刺さっていくのが見える。
「光攻撃!光攻撃!」
『ぺっかーぺっかー』更にレイの光攻撃が加わってきた・・・。
『シュパパンッパンッシュパッ』『タッ』「ふしゅー・・・」攻撃の手を休めずに斬り刻み、やがて巨大四菱草は消滅した・・・。
「あっ・・・宝箱出現っ!」
レイが巨大四菱草が居たあたりへと駆けていき宝箱を開ける。
『ガチャッ』「やったぁー・・・乗り物券ゲット・・・、そうしてこっちは・・・コイン券だね・・・あれ?」
レイがふたつめの宝箱を開けるが、ちょっと首をかしげる・・・。
「どうした?」
「うん・・・コイン券2枚しかないよ・・・。」
レイが2枚のチケットを手渡してくれる・・・ううむ・・・100コイン券が2枚のみだ・・・入れ忘れたのか?いや、100コイン券という記載はあったが、何枚という事までは書かれていなかったからな・・・実は1枚であったとしても文句は言えないわけだ・・・。
だがしかし・・・乗り物券は人数分の4冊あるというのに・・・コイン券が2枚だけとは・・・まあ、先週後半のコイン券なしよりはましか・・・。
「まあ仕方がない・・・昨日もらったコイン券を全部使ってしまったわけではないからいいだろう・・・戻るとするか・・・。」
ちょっとすっきりしない気分だが、仕方がない・・・ここでごねたところで追加のコイン券が出るわけはないからな・・。
「あら・・またいらしてくれたのね・・・うれしいわぁ」
アレヘスの町へ戻ってカジノへ向かうと、バニーガールたちの歓待に迎えられる。
ううむ・・・きらびやかな電飾で彩られたカジノではあるのだが・・・なんだか故郷へ戻ってきたような、ほっとするような感覚になってきた・・・まるで我が家も同然のような気持ちになってきた・・・。
「あらっ・・いきなり激熱・・・凄いわねえ・・・。」
「きゃっ・・やったわっ!」
今日はなんだか調子がいいようだ・・・いつもの確変機に座ると、数回転で激熱の文字が画面に・・・すぐさま大当たりし、それが確変で大連荘・・・その後一進一退を繰り返したが、それでも2万発近い出玉となった。(合計400コインくらい)
途中伸び悩んだが、それでも勝ちは勝ちだ・・・源五郎もそれなりに当たりを引いたようで、300コインを超すくらいまで行ったと喜んでいた。
もう数日この調子で行ければ、アイテムゲットも夢ではない。
「あれ・・・?変ですねえ・・・昨日まではクエストの褒賞の欄に、カジノの金券の表記があったはずなのに・・・今日は宝箱2がありませんね・・・宝箱1の遊園地の乗り物券の記載だけです・・・。」
翌朝ギルドへ行き、クエスト票を取りに行った源五郎が、不審そうに首をかしげながら戻ってきた。
ツバサはWDにレベルアップしたのだが、ギルドのクエスト内容にちょっと問題がありそうなのだ。
タコ真珠貝の採取・・・先週の順から行けば、また巨乳美女のところへお邪魔する番だ・・・。
「ほかのクエスト票も同様でした・・・どうやら、ある程度以上貯玉ができると、コイン券は褒賞とはならないようですね・・・恐らくカジノでかけ事せずに、景品へと交換されることを禁じているのではないでしょうか。
カジノの景品なのだから、あくまでもカジノで儲けて手に入れろという事なのでしょう・・・まあいいじゃあないですか・・・頑張って勝てばいいのですよ。」
源五郎は、力強く握りこぶしを作って見せる。
まあ、予想通りだな・・・あくまでも俺たちにギャンブルをさせたいのだろう・・・俺としては望むところではあるのだが・・・ツバサはどう思うだろうな・・・無駄なことはやめて先へと進めというのだろうな・・・。
「申し訳ないが・・・今週までは付き合ってくれ・・・。」
ツバサに対して拝むようにしてお願いする・・・。
「いえいえ・・・まだアイテムを取得できるとは限らないわけですから、アイテム獲得できるまでは何週間でも粘りましょう・・・。」
すると横から源五郎が出てきて、今週どころか長期間の滞在を提案する。
「あたしもー・・・もうしばらくここに居て、毎日遊園地がいい!」
更にレイまでがやってきた・・・この辺りは今週の頭と変わらない光景だな・・・。
「でも・・・おかしくはないですか?その・・・カジノ・・・ですか?
勝ち負けが五分五分であれば、これだけ長くやっていれば当初とコインの数は変わらないはずです。
ですが・・・お聞きしている限り、随分とつぎ込んでいるように感じます。
つまり、どちらかというと出玉よりも投資分の方が多いのではないのかと・・・そんな状態であれば、この先どれだけ長い期間カジノ通いしたとしても、アイテムを獲得することは難しいと考えますよ。」
ツバサが冷静に分析する。
「いやあ、そうではないのですよ・・・僕たちだって負けてつぎ込んでいるだけではありません。
先週だって先々週だって一度は大勝ちして、もう少しでアイテム獲得・・・というところまではこぎつけたわけです。
そこで、もう一度勝ってさえいれば、少なくとも超硬シリーズのアイテムひとつずつは獲得していたでしょう。
つまり勝ち負けは1/2で、たまたま負けが2回続いているというだけです。
昨日は勝っていますからね・・・今日も大勝ちすることにより、アイテムへと近づくわけです。
本来なら今日もクエストの褒賞でコイン券があれば、そこそこの勝ちでもよかったのですが・・・まあこれは仕方がないでしょう。
調子は上向きですから、今日も間違いなく勝てますよ・・・。」
源五郎が自信満々に答える・・・ううむ・・・本来かけ事に絶対という言葉はないのだが・・・何が彼をここまで奮い立たせるのか・・・事業を起こすという事もある意味賭けなのだが・・・それを成功させた実績があるが故の言葉なのか・・・若しくはなにがなんでもここでのクエストを続けたいがためなのか?
流木集めの幻覚で、かなり記憶を取り戻している様子だからな・・・はっきりと夢の中の彼女たちの正体がわかるまで、続けようとしているのだろうか・・・。
「分かりました・・・そういう事でしたら、本日はクエストには向かわずに直接カジノへ行きませんか?
どうせ、クエストをこなしてもコイン券を頂けないのであれば、クエストをこなす必要性もないはずです。
今日1日頑張ってアイテム獲得しましょう・・・まずは1アイテムずつで十分です。
今日ダメでも持ち玉があるのであれば、明日も朝からカジノへ行きましょう。
そうして1日でも早く、次の地点へ向かいましょう。」
ツバサは決心したかのように、早々の打ち切りを提案する。
まあそうだな・・・別にクエストをこなさなくても直接カジノへ行ってパチンコするという手はあるわけだ。
ツバサの手前、提案できないでいたのだが・・・最近は16時からレイの勉強で早じまいとなっているからな・・・朝からできるのであれば俺は大歓迎だ・・・。
タコ真珠貝に悩まされているはずの巨乳美女には申し訳ないが・・・アイテムをゲットして、この地を離れる前にでも、クエストを引き受けて処理はしておいてやることにしよう。
「い・・・いえ・・・ちょっと待ってください・・・クエストをこなさずにカジノ三昧というのは・・・冒険者にあるまじき行為ですよ・・・そんな行為が長く続くと・・・それこそこの世界の存続が危ぶまれてしまうのではないですか?
やはり、毎日毎日クエストをこなしたうえで・・・あくまでも余暇というか、余った時間を使ってクエストをこなすという事が理想と考えますよ!」
ところがやはり源五郎はツバサの提案に反発してきた・・・幻覚を見ることが奴の目的なのだろうからな。
どうやらサードクエストを全てこなさなければ、フォースクエストは発生しないと推察しているのだろう。
恐らくツバサがクエストをこなさずにカジノへ直接行くことを提案するのは、源五郎のことも考慮してなのだろう・・・彼女も源五郎が幻覚を見ることにより記憶を取り戻そうとしていることに、感づいているわけだ。
このところ、ほぼ毎日半日とはいえクエストをこなしているから、冒険放送はずいぶんと撮りだめ出来ているからな・・・セカンド・サードクエストでも魔物の攻撃力や罠が変わっているので、それなりに飽きさせないとテレビスタッフも喜んでいるくらいだ。
「ツバサは別に、ずっとカジノ三昧と言っているわけではないよ・・・あくまでもアイテムをゲットするまでの短期間・・・今日1日か・・・長くても明日か明後日くらいまでだろう。
そのくらいの期間であれば、しばしの休日という事でまったく問題ないだろうと考えるぞ。」
すぐに源五郎をたしなめる・・・俺としてもこれ以上源五郎に幻覚を見続けさせるのは得策ではないと考えている・・・それはツバサが彼女たちのことを明かせない事情があると感じているからだ。
「えー・・・でも・・・クエストをこなさないと・・・遊園地の乗り物券が手に入らないんだよー・・・。
待ち時間がないから、すいすいと乗れちゃうし・・・毎日乗り物券全部使っちゃっているからね・・・。
買うと高いし・・・すぐにGがなくなっちゃうよー・・・。」
ところがレイが不満顔で頬を膨らませる・・・ツバサはともかくレイはカジノには行きたがらないだろうな・・・。
「それなら大丈夫ですよ、レイちゃん・・・あたしは毎日遊園地へ行っていますが、それほど乗り物には乗っていないですから、まだ乗り物券は5冊手つかずで持っています。
それだけあれば、あたしとレイちゃんは今日1日遊べますよ・・・。」
ツバサは笑顔で乗り物回数券を袋から取り出してレイに見せた。
「えっ・・いいの?これで今日1日遊べるの?」
レイが飛び上がって喜ぶ。
「じゃあ決まりだ・・・俺たちは今日1日カジノで稼ぐとしよう・・・そうしてアイテムゲットだ・・・。」
笑顔で源五郎の肩をポンとたたく。
「あっ・・・ええ・・・そっ・・・そうですか・・・。」
源五郎はひきつった笑顔で頷いた・・・表向きはカジノで稼ぐことを主張しているため、断れないのだ。
「あらー・・・今日は朝からなの?
どうしちゃったのかしら?まさか・・・あたしに会いたくて我慢できなかった?」
「あらー・・・あたしよ・・・あたしに会いに来たのよねー・・・?」
「ちがうわよ・・・あたしよー・・・。」
カジノへ着く早々、バニーガールたちから熱烈な歓迎を受ける・・・露出度の高い衣装で体を寄せ付けてくるため、かなり興奮してしまう・・・。
遊園地は10時からの開園なのでレイとツバサは一旦宿に戻って出直しとなったが、カジノは24時間営業なのでギルドから直行したのだ。
長期滞在ですでにおなじみのバニーガールたちとの会話も、随分と親しげになってきた・・・まさに飲み屋のお姉さん感覚・・・まあ、これはこれで俺は好きなのだがな・・・。
「きゃー・・やったわー・・・やっぱり朝一から来たのが良かったのよ・・・。」
「すごすごい・・・絶好調ね・・・。」
「確変連荘よ・・・すごいわよ・・・。」
ギャラリー(バニーガールたち・・・)が興奮して騒ぎ立てる・・・それくらい今日の俺は絶好調だった。
100回転を少し過ぎたところで熱くもなんともないリーチで大当たりして、そこから連荘に次ぐ連荘。
あっという間にドル箱の山を積み上げた。




